ホームレス家族と過ごした2015年サンクスギビング ~ワイズりか(アメリカ在住ライター、イラストレーター)


今年もアメリカのサンクスギビングが終わった。11月のアメリカは、もっぱら、どこに行っても感謝祭の話題でもちきりとなる。「感謝祭はどこで過ごすか?」「感謝祭には誰を招待するか?」「感謝祭には、どんなごちそうを用意するか?」等、とりあえず誰と話しても、まずは感謝祭の話題からスタートするのが定番だ。
 
例年の私なら、感謝祭には食べ物を持ち寄って、家族とともに友人宅に集合し、そこで一緒にお祝いをする。毎年の楽しい習慣だ。
 
しかし今年は「Thanksgiving=感謝祭」の名にふさわしい、印象的な出来事を体験したサンクスギビングとなった。それが、ホームレス家族との触れ合いだ。
 

感謝祭ウイークにホームレスシェルターの家族と過ごす

感謝祭に先立って、いつも一緒にお祝いをする友人家族から、ホームレスシェルターで料理を持ち寄って、感謝祭のスペシャルディナーを食べて過ごさないかという誘いを受けた。
 
かねてから「私にも何か感謝祭に出来ることはないか」と考えていた矢先。さっそくそのグループに加わることにした。
 
シェルターは、ある教会の中に設置されている。中にテントが張られ、ホームレスの家族が寝泊りに利用している。利用できるのは子供連れの家族に限定。
 
利用する家族は条件として昼間キャリアセンターに行き、就職活動をすることを義務付けられている。食事時間にシェルターに戻り、ボランティアから与えられた食事を食べ、備えられたテントで寝ることができる。
 
▼ホームレスファミリーが寝泊りしているテント
ホームレスシェルターのテント
  

なぜホームレスになったのか

この施設を利用する家族は、最初からホームレスなのではない。
 
成功から一転、突然仕事を失い、家のローンが払えなくなったビジネスマン癌による夫の死で、家族を支えきれなくなった母親、ドメスティックバイオレンスの問題をかかえたシングルマザーと子供たち、職を失った夫とその妊婦の妻。
 
人生には何が起きるかわからない。
 

ディナー当日

感謝祭の食事の準備を考えていた友人達と私だったがその矢先、そのスペシャルディナーがキャンセルとなった。
 
悪い知らせではない。対象となっていた7組の家族のうち6組の家族は、感謝祭の直前に住む場所を見つけ、このシェルターを去ることになったのだから。
 
残っているのは一組だけ。小さな男の子とティーンエイジャーの女の子を持つ黒人のシングルマザー家族だ。
 
その家族も感謝祭の前日にテキサスへ立つため、感謝祭当日のディナーとはならなかったが、2日前の11月24日に、この1組の家族のために友人達と食事を作り、持っていくことになった。
 
▼持ち寄った食事について話しあうヘルパーたち。
ホームレスシェアルターボランティア
 
今回私が作ったのが、お寿司と餃子。感謝祭にちなみ、七面鳥のひき肉を使った特製餃子である。彼らにとっては外国料理。ちょっと不安はあったが、これがなかなか好評を得ることとなった。
 
私たちは一緒に食事をしながら、たわいないおしゃべりを楽しんだ。飼っている犬の話や、小さな子供が遊ぶおもちゃの話など、家族や親戚のようにワイワイと。
 
話が暗くなりかけると、「ほら、もっと明るい話題を話そうよ」と誰かが声をかける。こんな状況にいながらも、子供たちはとても明るく、私たちが話すどんなことにでも、大笑いしながら、反応してくるのが印象的だった。
 
▼子どももボランティアを経験できた貴重な一日
ホームレスシェアルターボランティア
 
友人は、自宅から犬を連れてきた。犬も一緒に過ごすことにしたのだ。これがとてもよいアイディアだった。犬がいることで、その場の雰囲気も和んだのだ。
 

感謝祭の意味を考える

「感謝」と言う言葉が嫌いな人もいるだろうか。私は好きだ。 人に感謝を示すことで、人とのコミュニケーションがスムーズになり、そこに微笑みが生まれる。

私は今年の感謝祭で「感謝」の意味をもっと深く考えてみた。

平凡ながら住む場所も家族もいる。食べるものから衣類にいたるまで、ささやかながらも何の不自由も感じずに暮らしてきた。日ごろの幸福に対する感謝の気持ちとして、今年、何か人の助けになることができないかと感じ、実行する機会に恵まれた。

ホームレスシェルターのボランティアによって子供たちの将来によい影響を与えた話を記事で読んだことがある。子供たちは、その親切をずっと覚えているそうだ。ホームレスシェルターに住んでいた人が後に職業について、今度は自分がボランティア側になる人もいると言う。

慈善活動は、無理にやる必要はない。出来ると思った時にやればよい。犠牲ではなく、楽しんでやればよいことだ。私にとっては与えられていることへの感謝のお返しをすることも、来年の目標にできたらと思う感謝祭となった。
 
文:ワイズりか(ライター、イラストレーター)
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