アメリカ社会と銃の話 ~ワイズりか(アメリカ在住ライター、イラストレーター)


日本社会において、銃という言葉には罪悪感を感じたり、怖くなったり、なんとなく違和感を感じるかもしれない。
 
アメリカ社会と日本社会は、文化や食の面でも大きな違いがいろいろあるが、とりわけ銃に関しては、イメージや考え方もかなり温度差がある。州によって法律が異なるにしても、家庭で銃を所持することは、基本的に問題がないし、実際多くの人が所持していると見られる。
 
だから、あなたが留学先でホームステイをするとして、もしもその家庭で銃を所持していることがわかったとしても、ほとんどの場合それほど驚く必要はない。ごくごく一般の家庭で銃を所持していることは、何も珍しいことではないからだ。例えば、敬虔なクリスチャン家庭であっても、それは同じことである。
 

なぜ、銃を所持するのか?

アメリカ人は、とかくFreedomと言う言葉を意識したがる。Freedomを辞書で引けば、「自由」と出てくるが、アメリカ人にとって、この言葉は、どちらかと言えば、「自分が○○する権利」を主張している言葉だと強く感じる。
 
○○の部分は、「言葉で自由に表現する」権利、「車を持ってどこでも自分の意思で自由に行ける」権利、「自分の好きな宗教を自由に崇拝する」権利等。銃に関して言えば、「自分や家族を守るために武器を持つ」権利も、Freedomを勝ち取るための権利のひとつと見ているようだ。
 
あるアメリカの知人はこう言う。例えば、突然災害が起こり、普段の生活にいよいよ困るような状況に陥り、隣近所を歩くにも、危険な状態になったとする。自分や家族を守るのにお金だけでは通用しない。その地域にミリタリーやサポートが届けられるのに何日かかるかはわからない。現実はアメリカでは甘くない。
 
その時までに個人でどうにかすることを強いられる。銃があれば、ある程度の身を守れるだろう。「自分自身や家族の身は個人で守る」が銃所持の主な理由だ。
 

身の安全の他に、普段は娯楽で楽しむ

身の安全が主と言え、その他に銃を娯楽として楽しむ人もいる。射撃場に行って、非常時の練習がてらに、実弾入りで銃を撃つ機会を持つこともあるのだ。
 
例えば、普段から家庭でためておいた空き缶を持って行き、射撃場で空き缶をターゲットにして、銃を撃つ。射撃場は、厳しいルールがあり、また複数のスタッフが目を光らせているので、まずは安心して射撃を楽しむことが出来る。
 
さらに、カブスカウトやボーイスカウトに所属している場合は、8歳からBBGunを練習する機会がある。それほど多くはないが、その流れで子供でも家族と射撃場に出かけて、正しい銃の取り扱い方を学び、実弾で射撃練習をすることもある。
 
ホームステイ先でも、このような娯楽をするファミリーに当たる可能性もある。その時は、それがアメリカンライフのひとつなのだと理解しておくと良いだろう。
 
▼恒例のカブスカウト・アクティビティ“Cub On”では、このように子供たちがBBGUNでシューティングの体験をする。BBGunには、実弾は入っていないが目に当たると致命傷になる。
Cub scout,  bb gun
 

しかし意見は2つに分かれる

誤解を招くといけないので、付け加えておきたいことがある。アメリカ社会と銃について、クローズアップすると、アメリカ人のだれもが銃を所持している印象を持つ人も少なくないだろう。
 
しかし、実際には意見は2分している。「多くの人が所持している」と先述したが、ある家庭では、銃に関してはあくまで拒否を続け、それを遠ざける人もいる。これは、あくまでも私の印象だが、その大抵は子供が多くいる家庭である。アメリカ社会で、あまりにも銃を使った犯罪が減らないため、子供たちには「銃=犯罪」という教育をしているのかもしれない。
 
一方、「銃を持つことは正しい。自分で自身を守るためには子供の時から銃について正しい知識を植えつけておくべきだ。そうすることで、大人になった時に正しい使い方ができるのだ。」と主張する人たちもいる。
 

銃社会を社会のバックグラウンドとして学ぶ

現在、アメリカの50州のうち42州で銃を持つためにはそれぞれの背景調査があり、それに基づいてCertificateを発行する。所持している人は、認可されている人に限られている。
 
さらに、銃自体も高価なため、それほど気軽に購入できるものでもない。
 
私はアメリカに住んでいる19年間、銃で危険な目にあったことはまったくない。それにしても国が変われば、社会事情とその歩んできた歴史が異なる。日本人には違和感のある文化も存在するのは確かだ。
 
今回、それほど耳にしないアメリカの銃社会についてお話させていただいたが、将来アメリカ留学を考えている方は、とりあえず、これもアメリカ社会についての知識のひとつとして捉えていただければと思う。
 
文:ワイズりか(ライター、イラストレーター)
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