思い立ったので留学! ~キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)


日本語の「留学」という言葉には独特の世界観があるように思う。
 
もちろん、英訳でも”study abroad”などと言えるのだが、「留学しています」「留学したんですか?」「留学中だって」など、一語で表せること、また日本の文豪である夏目漱石や森鴎外などがしてきた「留学」という言葉の使われ方から、そう簡単にはできない学びのための経験、という感じがするからだ。
 
英語では”I studied in Germany”、”I went to college in the U.S.”など、「どこでなにをした」という話し方をする(ほかにも言い表し方はたくさんあるだろうが)。その要領で、帰国後、日本語でも普通に「アメリカの高校(または大学)に通っていました」と他人に説明をしていたため、自分が留学会社に勤めるまで、自分の経験を「留学」という言葉に結びつけたことがなかった。
 
今では「留学」は珍しいことでもなくなり、留学業界では、私の現地高校での生活を「高校交換留学」、そして大学時代を「正規留学」と呼ぶ。たとえ語学学校で語学を勉強しようと大学に普通に入ろうと「正規」であることに変わりないとは思うのだが、この辺は「語学留学」と区別されているのが面白い。また、「短期留学」、「長期留学」と期間を基準に区別もされているのだから、日本人がいかに「留学」という一語を特別に扱ってきたかがわかる。
 
思い立ったので留学
 

自身が感じる「不」の解消

さて、寒さに弱い私は、去年から今年にかけての冬の寒さにやられ、また3月の寒い雨に震え、しかもちょっと気温が上がると湿気でうっとおしくなる天候に嫌気がさしてきている。きっと年齢的なこともあるのかもしれないが、身体的に順応するのが辛いと感じるのと同時に、現代人の傲慢と言うか、ほかに場所はあるのになぜここに留まって順応しなくてはいけないのか、と頭のどこかで考えているようだ。
 
そんなわけでいつか気候的に安定した場所に住みたいと思い、外国へ、しかもこれまでに行ったことのない場所へ、半ば下見のつもりで行ってみようと思い立った。
 
・・・と、ここまで来ると、「ロングステイ」という言葉がちらつく。
 
思い立ったので留学
 

渡航計画

家族がいると、母親が1人で行くというのはどうにも無理がある。まさか夫が家で子供をずっと見ていられるわけもない。そうすると子供を連れて行くことを考える。
 
ちょうど未就学児の娘なら自由もきくし、幼い頃からもっと国際的な感覚を身につけて欲しいとも思っているので、いっそ現地校に行かせるとか・・・。
 
色々と思いめぐらし、結局、ミュージカルに興味がある娘なので、夏のミュージカルプロダクションを、行きたい渡航先に絞って探すことにした。いくつもあるのでYelpなどで口コミを参考にしたり、実際のパフォーマンスの様子をYouTubeで探して見てみたりする。ネット時代に生きていて本当によかった。
 
プロダクションを決めたら、その場所と期間に合わせて滞在先を決める。
 
今話題のAir bnbやHomestay.comなどからステイ先を探すことにした。どちらのサイトも、ホストとの連絡が取りやすく、また、自分の目的にあった場所を検索しやすい。Homestay.comはマッチング機能もあり、どこまでも便利だ。
 
私はどちらかというと人好きなのもあり、現地のファミリーが住んでいる家に滞在することにあまり抵抗がない。それどころか実際にその土地の人がどのような生活をしているのか間近で見ることができ、更に、ちょっとしたことならすぐ相談できる人がいてくれるというのはありがたいとさえ思っている。
 

親子留学

さて、一連の準備や計画を済ませたところで、はたと気づく。留学業界ではこれは立派な「親子留学」ではないか。ママ&キッズのための情報サイト「グローリア」によると、「環境への感受性の高い年齢で」、「子どもの予定を調整しやすい小学校に上る前の4~6歳くらいまでのデビュー。その後、子連れ海外旅行のように毎年もしくは、隔年で」行けるのが親子留学の定義だ。
 
そのほか「ママ+子供」、「ママが行きたかった場所」などなど、まさにさきに述べた私の状況そのままである。
 
そうか、そうすると娘は「留学」することになるのか。すごいね、娘!と肩をたたいてあげたくなる。
 

安全面

本当に「親子留学」の場合、留学エージェントも通さず大丈夫なのか、ステイ先は安全なのか、などは気になるものだ。そこは口コミの数や内容、また実際にステイ先とコンタクトを取ってみたときの感じからある程度の判断をすることになる。ビデオチャットなども可能ではあるのだから、実際に話してみることもお勧めしたい。
 
また、個人名によっては検索でその人のソーシャルメディアアカウントに行きつくこともある。まったく非表示の場合はしょうがないが、サイトによっては、コンタクトの数も判断基準にできるかもしれないし、勤め先などの閲覧も可能だ。
 
滞在先住所がわかればGoogleストリートビューで近所の様子も見ることができる。
 

費用面

これは親子留学だと気づいてから、各種留学関連サイトで調べてみると、今回立てた計画では、プログラム料+滞在費で見てみると相場の半額くらいのようだ。
 
今回の計画の最大の難点は夏休みというハイシーズンを選んでしまったことで、これがオフシーズンであれば予算もぐっと抑えられただろうと思う。
 
ただ、ここは「どこでも仕事ができるはず」のフリーランスの翻訳者らしく、細々とでもいいから仕事は続けようともくろんでいる。
 
そうなると、ちょっとだけ「ワーホリ」なんて言葉も浮かんでくる。
 
パッと思い立って決めたプチ親子留学。どんな結果になるかは乞うご期待。
 
文:キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)
この執筆者の記事一覧
 
この記事を筆者のサイトで読む
 

 
 
《これらの記事も参考にしよう!》
■ 子どもと習い事とグローバル教育
■ 日本はまたやってしまった:差別国アピールが止まらない
■ 「ハーフ」の子育て
■ 翻訳者のお仕事 ? ツール編/字幕翻訳の仕事の一部と必須のツールをご紹介
■ 「苦手つぶし」よりも「得意伸ばし」を
 


2016-03-16 | Posted in コラムNo Comments » 

関連記事