日本文化を尊ぶ、サンフランシスコの桜祭り ~ワイズりか(アメリカ在住ライター、イラストレーター)


つい先日、サンフランシスコで毎年恒例の桜祭り(Cherry Blossom Festival) が開催された。なんとこの近くに19年も住んでいて、一度もこのお祭りに出かけたことがなく、これが最初の経験となった。考えてみると、私が東京に住んでいた当時、東京タワーには子供の頃一度だけ行ったきりで、2度と行かなかったのと感覚が似ているのだろう。
 
それにしても、このイベントで改めて認識させられたのは、自国の文化を保持することのすばらしさである。なぜすばらしいのか?それは今から書くことで理解することが出来ると思う。
 

ハッピを来て太鼓、そしてお習字。

サンフランシスコは移民の多い街である。そのため、民族のコミュニティもたくさん混在している。
 
日本人移民の人口はロスアンゼルスのそれに比べ、それほど多くはない。しかし、それでも日本人コミュニティがあり、人々は移住して長い時間がたってもそのまま日本文化を保持し、アメリカに住む人々に伝え続けている。
 
このお祭りは、サンフランシスコの街中にあるジャパンタウン(Japan Town)を中心に、そのまわりに位置するショップや施設を巻き込み、土日の2週間で開催される。今年は、4月9~10日、そして16日~17日だった。
 
このイベントには、あらゆる民族バックグラウンドを有する人たちが、日本文化に触れようと集まってくる。街中を練り歩く神輿、パレートや出店などさまざまな日本文化を体験できる催しものが多々ある。書道、茶道、武道、盆栽、人形、折り紙、太鼓など、独特の文化がここでそのまま伝えられている。
 
▼ジャパンタウン
ジャパンタウン
 
▼Japan Cultural and Community Center。桜祭りの期間に、習字の展示、踊り、カルタの実演等が行われる。
サンフランシスコの桜まつり
 
ちょっと目を引いたのは、このイベントの参加者だ。日本人の移民だけでなく、多民族が参加している。例えば、太鼓。アメリカでは本当に大人気で、イベント中に太鼓のコンサートも行われていた。さまざまな人種がハッピを着て、太鼓をたたく姿を見た。多民族が共存するサンフランシスコの典型的な光景である。
 
▼太鼓道場の方々のパフォーマンス
サンフランシスコの桜祭り
 
また、書道の部屋に行くと、日本人ではないカタカナの名前が添えられた習字が飾られている。それらを見て、日本文化がこのような形で親しまれていることに大変な喜びを感じた。
 
▼習字の部屋
サンフランシスコの桜祭り
 
▼私の英語の名字を書道で。桜まつりの期間中、誰でもこのように習字で書いてくれるため、たくさんの人が日本語で名前が書かれたしおりやうちわを、得意そうに持ち歩いていた。
サンフランシスコの桜祭り
 
また、たこ焼き屋の前で白人系の家族が「I like Takoyaki!」と言って、おいしそうに食べている姿も微笑ましい光景だった。
 
さらに、道行く人の中には浴衣を羽織り、さっそうと歩いている人も見かける。彼らにとっては、格式ばった着方は無用だ。それぞれのスタイルで楽しむのだ。ジーンズの上から浴衣をシャツのように羽織る人。浴衣を着て、動物の顔に変装する人。赤い髪のかつらを被っている人。浴衣もアメリカ式にそれぞれの個性が出ている。これも、日本の浴衣が国際舞台に出て行き、それぞれに楽しみ方を見出しているわけだ。浴衣や着物の進化を見ているようでおもしろい。
 

桜まつりの歴史

Cherry Blossom「桜」といえば、日本でも春の訪れを祝ういわゆる国民的なイベントであるが、ここアメリカでもサンフランシスコだけでなく、各州で開催されている。 
 
その発端は、1912年に日本がワシントンD.C.に3千本の桜の木をプレゼントしたことにある。その後、この地で桜祭りを開催、次いでアメリカ各地に広がっていった。今ではテレビ放映されるほど、大々的なイベントのひとつにまでなっている。それぞれのイベントは、必ずしも日本文化を強調したものとは限らないようだ。どうやら、桜の季節に日本人独特に楽しむ行事は、海外の人によって多様に変化しているようだ。
 
サンフランシスコの桜祭り、Cherry Blossom Festival(正式名:Northern California cherry Blossom Festival)は、1960年代、当初コミュニティレベルで小規模に行われていたものが少しづつ規模が拡大していき、現在に至る。サンフランシスコの日本人コミュニティの尽力がこのイベントを支え続けているからだろう。
 

I AM JAPANESE!!

昔の言葉に「郷に入れば、郷に従え」という言葉がある。確かに、新しい場所に行けばその土地に馴染むためにそれなりに従わなければならないことはたくさんある。しかし、それは滞在期間が短い場合ではないかと思う。
 
しかしながら、もし長く住む、あるいは永住になるのであれば、自分がいままで培った自国の文化や習慣までもすっかり変えてしまう必要はない。むしろ、自分が生まれた国に誇りを持ち、それが自分のアイディンティティの一部として生活するほうがずっと素敵だと思う。もちろん、住んでいる国にもリスペクトをしながら、と言うことを付け加えておくが。
 
私は渡米仕立ての頃は、どうしてもこちらの文化をもっと重きにおいて生活しがちになっていた。また、日本のコミュニティ活動は認識していたものの、それほど大きな関心を払わなかった。しかし、長年海外に住んでいることで逆に日本の良さをもっと意識しだすようになった。日本に住んでいた時には見えなかった何かが見えるようだ。とにかく、日本はすばらしい国である。だから、長年住んでいる日本人移住者も、そのまま文化を子から子へと引き継いでいるのだろう。
 
また、実際住んでいて、日本の文化に興味を抱いている人や具体的にどの部分が好きというだということ等を伝えてくるアメリカ人の友人たちがたくさんいる。
 
これから海外生活や留学をする予定の方は、ぜひとも日本人であることに誇りを持ち、しっかり海外の人にアピールすることをお勧めする。
 
昨年は日本への観光客が最多という記録に至ったと聞いた。ある意味で、ちょっとした日本ブームが起こっているのだろうか?
 
2020年のオリンピックも間近に迫った今、胸を張って、「I am Japanese.」と誇らしく言うことにしている。日本のことをもっと知ってほしいと、微力ながら、かっこいいニッポンを応援しているのである。
 
文:ワイズりか(ライター、イラストレーター)
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