多民族国家マレーシアの国民食 ~森千恵(マレーシア在住ライター)


マレーシアは国民の約60%強がマレー系、中華系が約30%弱、インド系約7%弱、さらにはオラン・アスリと呼ばれる先住民族やその他の民族からなる多民族国家。そのため、マレーシア料理と言っても、ひとくくりにはできません。
 
中華料理だけでもペナンは福建料理が多い一方で、クアラルンプールやイポーは広東系の料理が多く、その他にも海南系、潮州系、客家系と様々。インド料理にしてもヒンズー系の南インド料理、シーク教やパキスタン系の北インド料理・・・とあり、多様です。
 
食の多様さは民族によるものだけではありません。宗教により豚肉(イスラム)、牛肉(ヒンズー、仏教の一派)が不可。インド系もあまり豚肉を食べないため、一般的なのは鶏肉と羊肉で、ベジタリアンも多いのがマレーシアです。マクドナルドでもチキンバーガーやお粥メニューがあるくらいです。
 
多様性のあるマレー料理ですが、その中で全ての民族の子どもからお年寄りまで愛されている、これぞ国民食と言えるのではないかという料理を3つご紹介します。
 

カヤジャムトースト、温泉卵

カヤジャムとはココナッツミルク、卵黄、砂糖から作られるジャムのこと。Kopitiamやホーカーなど、コーヒーショップのような店ではカヤジャムトーストと温泉卵セットを食べられます。卵がトーストに乗っているものもあります。日本のクリームパンのようにカヤジャムがパンに詰まった「カヤパン」やパイ状の「カヤパフ」 もあります。スーパーなどではパンの近くにカヤジャムがいつも売られています。
 
▼定番のモーニングセット、練乳入りコーヒーか練乳入り紅茶テ・タレと共に。
カヤジャム
 

ナシレマ

ナシレマとは、ココナッツミルクで炊いたご飯に乾燥カタクチイワシを揚げたもので、ピーナッツ、ゆで卵、キュウリのスライス、ナシレマの命であるサンバルソースを添えます。バナナの皮または紙で三角に包まれているのが基本。
 
▼紙に包まれているバージョン
ナシレマ
 
もともとはマレー料理ですが、今では全ての民族共通のマレーシア料理代表です。
 
サンバルはマレー系では甘め、中華系はさっぱり、ママック(インド系ムスリムの店)のは辛いと違いがあります。
 
もともとは朝食に食べていましたが、今は1日中食べられ、学食、社食、スーパーなどでも売っています。学食では小さい子でも食べられる辛くないサンバルのナシレマもあり、まさに国民食です。
 
基本のナシレマにフライドチキン、揚げ魚、レンダン(マレー風肉の煮込み)付きの豪華版もあります。
 

ロティ チャナイ

子どもから大人まで大人気のロティチャナイ。40代以上の中華系マレーシア人の中には子どもの頃は食べたことがなかったという人達もいますが、今では誰もが口を揃えて、「みんなが好きな食べ物」としてロティチャナイをあげます。
 
ロティチャナイは小麦粉にマーガリンやバターを練り込み、鉄板で焼いたサクサクでモチとっしたパンケーキ。ママックと呼ばれるインド系ムスリムの店で食べられます。
 
▼「ロティ チャナイ」(上)、パパダン(豆のクラッカー)とテ・タレ(練乳入り紅茶)
ロティチャナイ
 
主に朝ご飯やおやつとして食べられ、ダルと呼ばれるひよこ豆のカレーをつけて食べますが、ダル以外にチキンや魚のカレーをつけたり、砂糖をまぶして食べる人もいます。冷凍のロティチャナイがスーパーにもずらりと並んでいるくらい定番の料理です。
 
マレーシアでは各民族の宗教、習慣、行事、言語と同じように食も尊重され、受け継がれ、守られ、発展しています。ここでご紹介したカヤトースト、ナシレマ、ロティチャナイのほか、ババニョニャ(マレーと中華ミックス)などの存在は多民族が平和に共存しているマレーシアを象徴する食だとしみじみと思います。
 

おまけ:マレーシアの国民的ドリンクのミロ

▼ミロの無い飲食店、お宅は無いと言ってもいいくらい
ミロ
 
文:森千恵(マレーシア在住ライター)
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