海外ボランティアを通して東南アジアの社会問題を知る セブ島編 ~大川彰一(国際教育コンサルタント)


この夏に海外での研修に参加された方も多いと思います。前回記事では、海外インターンシップについて書きましたが、同じく実践的な研修とされる「海外ボランティア」に参加可能なNPOやNGO団体について、今回より触れていきたいと思います。
 
海外ボランティア1
 

グローバル人材育成としてのボランティア活動

近年、文部科学省や経済産業省を中心にグローバル人材育成を推進していく方向性があり、その一環として大学生の海外ボランティアの研修プログラムも増えています。実際に筆者もこれまでそういったプログラムの開発や運営にも関わってきました。
 
特にASEAN諸国(東南アジア諸国連合)は、ここ10年間で高い経済成長を遂げている一方で、様々な社会問題を抱えており、国際協力による支援活動も盛んです。
 
今回はその中から、語学研修でも人気のあるフィリピン、セブ島の団体を2つご紹介します。
 

教育を通じて子供達を支援する国際協力団体「DAREDEMO HERO」

セブ島のNGO団体「DAREDEMO HERO」では、『誰でもヒーローになれる』をモットーに、勉強したいが家庭環境や学費が原因で勉強できない子供たちを中心に支援をしています。その子供たちが将来、貧困問題を解決する一員になるように教育をしています。
 
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筆者がこの春、訪問した際、スタッフの内山さんに団体施設「HERO’S HOUSE 2」周辺のスラム地域を案内してもらいました。この地域の子供も多く来ているそうで、そのためか地元の人からも頻繁に挨拶されたり、なぜか危険な雰囲気はあまり感じませんでした。それ故、地域に根付いた活動をされていると実感したのです。
 
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HERO’S HOUSEには教室があり、ここで毎日日本語や英語、パソコンの勉強をしているということでした。私が訪問した際は、子供達が一人ずつ日本語で挨拶してくれ、日頃真剣に学習している様子が伺えました。
 
親の世代が教育を受けていないため、代々それが受け継がれているのが、スラム街の現状。子供だけでなく、親にも意識付けするため、家庭訪問も行っているそうです。
 
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なお、こちらの団体でもボランティア活動として、近隣の学校で語学研修を受けながら、午後の時間などを利用して活動に参加することもできます。
 
活動内容は、子供たちへの食事支援や、日本語クラスのお手伝いなど、参加者の特技や趣味を活かし、様々な活動が体験できます。
 
【専門家の視点で考える成功のポイント】
現場のニーズにあった活動をしている団体を選ぼう
 
最近は旅行や短期研修でもボランティア活動を取り入れているところが多いのですが、毎回同じ内容で実施しているところは、現場サイドでは「またか…」という感覚があったりします。例えば、孤児院訪問でも同じ日本の歌を毎回教えられている子供は、日本人より詳しくなっていたりすることもあります。
 
活動内容は、参加するタイミングで現場が求めている内容に沿って行うことが、少しでも現地への貢献へとつながります。ボランティア団体を見極める際は、最初からあまりスケジュールが決まりすぎていない方が、お勧めです。
 
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音楽教育を通じてスラム街の子供達を支援する「セブンスピリット」

フィリピンのセブ島にあるNPO団体「セブンスピリット」では、音楽を通して貧困地域の子供たちのライフスキル育成に取り組んでいます。
 
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先日、代表の田中さんにお話をお聞きする機会がありました。設立の経緯をお聞きすると、ご自身がセブ島に留学中に、スラム街の子供達が日本では当たり前のように受けている教育もフィリピンの貧困層では満足に受けることができない現状を知り、何かできることはないかと考え、子供達を支援していく決意をしたそうです。現在は地域住民の方や現地の小学校とも協力しながらセブ島に音楽文化が根付くように活動をされています。
 
セブ島の貧困地域では治安の悪化や売春などの問題が現在も続いています。その原因の一つは教育不足とされている中で、この団体では、楽器の演奏を通じて個人のライフスキル育成を目指しつつ、平日の夜を中心に練習を重ねています。
 
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筆者が団体を訪問した際も、子供達が日本の楽曲を含めて3曲を上手に演奏していました。指導されている永田さんにお聞きすると、ここ2年ほどでレパートリーも増えてきたということ。現在は、日本のオーケストラとの共演も予定されているということで、さらに力が入っているようです。
 
なお、こちらの団体でもボランティア活動として、近隣の学校で語学研修を受けながら、午後の時間や週末に活動に参加することもできます。
 
活動計画を一緒に考え、運営のお手伝いをすることが主な活動内容となります。
 
海外ボランティア
 
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代表の田中さんは、団体の将来の方向性として、子供の将来のために現地の大学などの教育機関との連携をさらに強化していきたいということです。
 
【専門家の視点で考える成功のポイント】
初めてのボランティア活動でもまずは参加してみること
 
残念ながら、数週間の参加で社会問題の解決につながるかというと、その効果は少ないかもしれません。ただ、まずは自分の目で発展途上国の現状を把握し、自分をお客様扱いしない現地の人たちと接することができるのは、大きな収穫です。特に多感な学生の時期に、ボランティア活動に参加することで、自分自身の将来への方向性のヒントを得たり、自信につながったりするケースも多く見られます。
 
社会に貢献するというより、先進国の環境に慣れきった精神を一度リセットできる場としての意味合いが大きい気がします。
 
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次回はタイでのボランティア活動についてお話する予定です。お楽しみに。
 
文:大川彰一(国際教育コンサルタント)
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