園児をどこまでも『自由』にさせるイギリスの幼稚園。 園での一日とは?~グリーン美和(イギリス在住ライター)


わが子をどんな幼稚園に通わせるか。親ならいろんな理念や方法を考え、悩み、決断することでしょう。近年は海外での幼児教育に関心を持ち、短期~長期の親子留学をする家庭も少なくありませんが、国内にいても世界各地で行われている教育を知ることで、参考にできることもあることでしょう。
 
筆者の住むイギリスでは、園児を自由にふるまわせる幼児教育が行われています。園での一日をご紹介しましょう。
 

園での一日とは?

イギリスで幼稚園はナーサリー・スクール(Nursery School)もしくはプレ・スクール(Pre-school)といいます。現地のお母さんたちはナーサリーと呼んでいるため、以下ナーサリーと呼ぶことにいたしましょう。
 
ナーサリーには日本と違い私立と公立があります。ここでは公立のナーサリーにしぼってご紹介します。
 
ナーサリーには3才を過ぎた9月の入園が一般的です。日本では幼稚園年少さんの歳です。入園後1年の間ナーサリーに通います。
 
ナーサリーの園児の1日は10~15分のクラスタイム(Class Time)から始まります。まず登園したら各自、自分のクラスの教室で先生が出席の確認をします。そして、先生が絵本を読んでくれたり、お話をしてくれたり、歌を教えてくれたりします。ここまでは日本の幼稚園でもありそうな風景です。
 
さてこのクラスタイムが終わると園児お待ちかねの遊びの時間(Play Time)です。ここからが、日本の幼稚園と違うところです。
 
3時間の園生活のうち、実に約2時間半がこの遊び時間にあてられます。園児全員がそれぞれの教室からでたらそこは共通の広いスペースになっていて、たくさんの種類の違うおもちゃや遊具が用意されています。
 
例えばカーペットの上には何百ものつなげられるレールや沢山の電車、駅、信号等の小物が置かれています。数人の女の子もまじえながら男の子中心に、夢中になって遊んでいます。約2時間半もある自由時間中ずっとそこで遊んで離れようとしない強者の園児もいます。
 
ままごと用のミニキッチンやミニテーブル、食器や調理器具もあります。ぬいぐるみ,ベビーカーもあるそのエリアには女の子がたくさん集まって自由気ままにおままごとをして遊んでいます。
 
別の場所にはいろいろな種類の衣装があり、自由に着られます。お姫様のドレスや海賊の衣装だったり、消防隊員の衣装だったりその時の気分で自由に着て選べます。
 
工作コーナーには色画用紙に色鉛筆、セロテープ、糊と糊で張り付けられるような小さいもの(ビーズ、アイスの棒、ボタン、乾燥パスタ、シール、スパンコール、乾燥豆、カラフルな紐、カラフルな羽等)、お菓子やコーンフレークの空き箱、プラスチックのトレーや容器、トイレットペーパーの芯などがあり、自由に好きなものを描いたり作ったりできます。
 

 
作品数には制限がないので心ゆくまで作り続けられます。園児たちは最大限の想像力を働かせユニークな作品を次々に作ります。
 
中には箱などをたくさんつなげて大作を作る園児もいて、持って帰るのは大変です。子供とお母さんが二人掛かりで苦労しながらも壊さないように一生懸命運んで帰っている光景も通りで時々見かけますがとても微笑ましく通りがかりの人達は親子を笑顔で見守ってくれ、作品をほめてくれたりします。
 
絵具で絵が描けるコーナーもあります。園児の背丈の3分の2ほどある大きな画用紙がスタンド式の画板に用意されていて、子供が使いやすい太い筆と、大きめの容器にすぐに描き始められる2~3色の絵具が備え付けられています。自分が描きたい好きな絵を何枚でも描けます。固定観念のない3才児が描く絵はダイナミックで躍動感があります。
 

 
絵が好きな園児は1日に何枚も絵を描きます。4~5枚を一日で描いてしまうなんてことはよくあります。できた作品はその日に家にもって帰るのでお迎えに来たお母さんがその枚数の多さにびっくりしている光景も時々見かけます。
 
水遊びコーナーもあります。大きくて平らな容器に水が張られ、じょうろや、ミニバケツ、シャベルなどがあるので水をすくったりもどしたりして遊べます。大体の家では服や周りが濡れるという理由で、水遊びをさせてもらえませんが、ここでは自由に遊ばせてもらえるので園児に大人気です。
 

おやつも自由

遊び時間の途中におやつの時間(Snack Time)があります。ここでも自由が発揮されています。日本のように園児全員が同時に席について同じものを一斉に食べ始めるわけではありません。
 
イギリスのナーサリーではおやつの時間になると部屋の一角にテーブルが1~2台用意されます。テーブルにその日のおやつ(果物や野菜等2~3種類)が運ばれて来ます。おやつを食べたい園児はそのコーナーに行って食べられる一方、食べたくない園児はそのまま遊び続けられます。
 
まだまだ食事の量や時間が安定しない年頃の園児にとって、その日の食欲によって自分で決められるのはとても効率的で無駄が少ないと考えられているのではないでしょうか。
 
さてお楽しみの2時間半も終わり、帰る時間が迫ってきました。お片付けタイム(Tidy-up time)の後は園児全員が一か所に集まり、10分程みんなで歌を歌い、絵本を読んでもらって園の一日は終わります。
 
以上、ある公立ナーサリーの一日を例にあげイギリスでの園生活をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。イギリスのナーサリーには自由時間が多くそれぞれの園児の個性を伸ばすにはとてもいい環境がそろっています。園児にとってはとても楽しいところのようです。
 
文:グリーン美和(イギリス在住ライター)
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