ドイツで学ぶオペラ歌手の登竜門!受ける価値のあるコンクール3選~金子倫子(在ドイツ・メッゾソプラノ)


ドイツは現在ヨーロッパ諸国の中でも特に、クラシック音楽家にとって活躍の場が多い国として広く認識されています。経済難から芸術文化関連の施設経営が年々厳しくなっているイタリアやフランスと比べ、ドイツは安定した経済力ゆえに、国がしっかりと芸術文化の継承と発展を支援しています。

そんなドイツで音楽留学をするのであれば、現地のコンクールで腕試しをしてみるのも大きな経験・財産になります。そこでこの記事では、ドイツで特に重要視されている有名コンクールを3つ、それぞれの特徴とともにご紹介します。


▲Bad Wildbadの歌劇場内部
 

ドイツで最重要視されているコンクールのひとつ『ARD』

ドイツ国内で最も重要視されているコンクールのひとつがARDです。主催はミュンヘンのラジオ局です。

こちらは声楽に限らず、幅広い分野の音楽家のためのコンクールで、毎年開催される種目が変わります。その中でも声楽部門は比較的コンスタントに開催されています。

2018年のコンクールでは、「1986年以降出生の者」と年齢制限がされています。

用意するプログラムの量が多いため、参加を決めるだけでも大仕事になるのがこのコンクールの特徴です。オペラ・アリアだけではなく、オラトリオやリートも準備する必要があります。また、複数の言語での歌唱と、異なる時代とスタイルの曲を用意しなければいけません。コンクールのために毎年新たに作曲される、現代音楽の課題曲があるのも大きな特徴です。

ARD音楽コンクールのホームページ↓
https://www.br.de/ard-musikwettbewerb/index.html
 

若手オペラ歌手のための国際コンクール『Competizione dell’opera』

こちらは若手オペラ歌手のための国際コンクールです。ドレスデンが拠点となっています。

年齢制限は2018年の要項では、「女性は1986年1月1日以降、男性は1985年1月1日以降に出生した者」とあります。この制限には大幅な変化はなく、例年32、33歳がリミットになっています。

ドイツのオーガナイザーにより発足されたイタリア・オペラのためのコンクールではあるものの、近年では審査員にボリショイのジェネラル・ディレクターが入っていたり、2011年にはモスクワ、2018年はサンクトペテルブルグがコンクールの開催地となるなど、ロシアとの関連性が強いコンクールです。

主催者側から指定されたイタリア・オペラのアリア・リストの中から6曲を選択し、準備する必要があります。

Competizione dell’Opera ホームページ↓
https://competizionedellopera.de/
 

若い学生でも比較的気軽に受けられるコンクール『Neue Stimmen』

こちらの声楽コンクールは2年おきの開催になります。次回は2019年の一月です。世界各地でまず予選会が行われ、それを通過するとドイツでの本選に参加することができます。

年齢制限は女性28歳、男性30歳と定められています。

プログラムは計5曲、少なくとも3つの異なる時代作品から選出する必要があります。他のコンクールと比べるとプログラムは少量なので、若い学生でも比較的気軽に受けられるコンクールではないでしょうか。

Neue Stimmen ホームページ↓
https://neue-stimmen.de/
 

▲デュッセルドルフ、Deutsche Oper am Rhein内部

ドイツで開催されるコンクールの数はあまり多くはありません。そのため、受ける意欲のある学生はいくつかの超有名コンクールに的を絞って準備することになります。コンクールでの受賞をきっかけにキャリアが花開いたオペラ歌手も、ドイツ国内には数多くいます。

また、コンサート形式で催されるコンクールも多いため、他の参加者の歌を聞くのもとても有意義な経験になります。せっかくクラシック音楽の本場に留学するのなら、できる限りの経験を積んで将来の糧にしたいものですよね。自分のレパートリーと照らし合わせて、興味のあるコンクールへの参加を検討されてみてはいかがでしょうか。

文:金子倫子(在ドイツ・メッゾソプラノ)
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