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段階的な外出規制緩和に入ったフランス。マルセイユ留学生からの現地レポート。~三宅夏愛(フランス大学院留学生)

2020年5月17日現在、ヨーロッパ地域での感染者数では6番目、死者数ではイタリア、イギリスに次ぐ3番目(※)とCOVIDに苦しむフランス。

南部マルセイユでも、外出抑制を経て、現在は段階的に外出規制緩和の段階に入っています。ここまでは、大学の対面授業中止からオンライン授業への移行、罰金を伴う外出抑制といった経緯がありました。

今日は、隣国から忍び寄ってきたCOVIDの脅威に不安を覚えた日々からConfinement(コンフィヌモン=自宅待機)の過ごし方、学生生活の現状について、南部マルセイユの状況をお伝えいたします。

※COVID-19 situation update worldwide, as of 20 May 2020(European Centre for Disease Prevention and Control)
https://www.ecdc.europa.eu/en/geographical-distribution-2019-ncov-cases

イタリアから忍び寄ってきたCOVIDの脅威

隣国イタリアの惨状にフランス内でも徐々に危機感が高まってきていた2020年2月末。2月後半の休暇中にイタリアに行った生徒は2週間自宅待機をするよう、学校側から個人への要請がありました。

このころ、COVIDを恐れる生徒の一部は必須の授業以外は出席しないようになったり、COVID認識の差で口論になったりと、人間関係にまで影響が見られるようになりました。

特に私の属するコースでは3月初頭に設定されていた、ブリュッセルでEU連合の機関を巡る1泊2日の集中授業が中止になったあたりから授業に出る生徒は半分近くに減りました。

3月15日(日)には学校から緊急メールが入り

・次週の授業は全てキャンセルになったこと

・その後の授業についてはオンラインに移行する

との連絡を受けました。

1週間で調整をした学校側の対応には感心しましたが、もともと翌月に学科授業が終了する予定だったこともあり、不安や不明点は多く残されたままでした。

24時間で静まりかえった街

3月16日の20時からマクロン大統領によるCOVID演説が始まると、食べたり遊んだりしていたフランス人は作業をやめて、皆テレビに集中しました。

フランス語のみの演説のため、フランス語が不自由な私はリアルタイムでは一部分しか理解できませんでしたが、翌日朝10時にはマルセイユ領事館からの連絡メールが届きました。

翌日正午より、食料品や医薬品など生活必需品を扱う店を除き、全ての商店の閉鎖が義務付けられました。スーパーも入店人数が制限され、同一品の購入は2点までなどの制約が設けられました。(店舗による)

買い物やテレワークが不可の通勤、若干の運動(2人以上での運動は不可)等の外出理由を記した許可証を携帯しない、正当な理由のない外出には罰則(初期約4千円の罰金、順次引き上げで最大1万5千円)が下されるという徹底ぶりでした。

厳しい内容に加えて、24時間以内の発効と大変スピーディであるにも関わらず、特に大きな混乱もなく急に街がしずまり返ったのには思わず感服しました。それだけフランスの状況が厳しいものだったということですが。期間については、まずは外出制限が2週間、学校や商業店の再開は当面見えませんでした。

クラスメイトに別れを告げることもできず

授業は、マイクロソフトteamやその他ソフトを使用してオンラインでの授業に切り替わりました。

しかし、1週間で調整がつかなかった教授の授業はキャンセルに。画面での講義受講では、教授は生徒のリアクションを見られません。生徒は質問もしづらく、多くの場合で講義時間が半分程度にまで減りました。

グループワークでの課題類は、全てがチャットをベースに動くことになりました。予定されていたプレゼンはビデオ撮影での対応に変わりました。

4月の末には講義やテストが終わりました。各自がインターンや就職に旅立つ時期です。

キャンセルされた授業が振替られることはなく、クラスメイトに別れを告げることもできずに実質的な学校生活が終了しました。

学校側からは学位の取得には影響がないので安心することとにかく安全と健康を最優先することという連絡をもらいました。

フランス国内に留まることも、帰国することも実質的には選べる状況でしたが、私はフランスに留まることにしました。賃貸契約や社会保障等の手続き、荷物の整理、航空券の手配…と、いろんな機関が混乱に陥っている状況で動くよりは事態が少し落ち着いてから動くほうがよいと判断したためです。

Confinement(コンフィヌモン=自宅待機)の過ごし方

学校の授業がなくなり、家にいることが強制されるようになったconfinement(コンフィヌモン)。

スーパーへの買い出しは、移動や入店待ちを含めると2時間近くかかるうえ、趣味や娯楽のお店は閉鎖。ネットで物を買おうにも物流が満足いかない状況では「楽しみを買う」こともできなくなりました。

そんな状況から、パソコンや携帯など今手元にある物をいかに活用するかを本気で考えさせられるようになりました。

私にとって幸いだったのは、大家さん家族の横に住ませてもらっているため、少しの会話をしたり作った食べ物を交換したりと「人との交流」があったことです。大家さんはご近所付き合いがあって(距離を保ちながら)庭に集って歓談したり、国民的スポーツのペタンクをしたりという時には私にも声をかけてくれました。、言葉の壁はありましたが精神的に非常に助かりました。
 

▲4月18日 ペタンクで中高生と一緒に遊ぶ

自由にする時間が格段に増えたため、長らくさぼっていたフランス語の勉強をしたりしています。挑戦したいと思っていたことを始めるなど、なるべく有意義な時間になるように工夫をして時間を過ごしています。

5月11日、段階的に外出規制が緩和で新しいフェーズへ。

5月11日より、段階的に外出規制が緩和されました。居住地から100km以内の移動は可能、その際の外出許可証は不要となりました。

スーパーの入店人数制限が解除されて大型ショッピングモールの営業も再開されました。レストランやカフェ等は依然として休業のままです。

外に出ている人は割といるようですが、カフェや小さなお店は閉まったままのため大きな混雑にはなっていない模様です。私は未だに極力家にいる生活を続けています。

EU国間の国境に関しては、現状としては少なくとも6月15日までは閉鎖とされています。EU諸国に先駆けて社会の復帰を決定したドイツでの第二波が懸念されているように、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

個人の状況について

ここまで、フランス・マルセイユから、一人の留学生の視点からここの状況をお伝えしました。

海外の状況と日本の状況、どちらにおいても確かな情報を把握するには行政機関の情報が一番です。ネットで簡単に申請できる在留届を出しておけば、事情が動いた際には必要な情報を配信してくれますので、海外在住中の留学生の皆さんは積極的に活用していくことをオススメします。

私個人は、本来は4月の末に講義が終了したのち、ヨーロッパ諸国を少し旅行したあとの帰国を考えていました。しかし当初の飛行機は欠航になり、今後の予定は全く立てられない状況です。

賃貸契約はもともと6月末までが最長となっていました。1か月前までの退所通告と決められていましたが、柔軟に対応してくれている大家さんの厚意に甘えて日和見を続けています。

フランス国内か日本での働き口を探しつつ、卒業論文の執筆および各スキルの研鑽に励む毎日です。

文:三宅夏愛(フランス大学院留学生)

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