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Withコロナ新時代に生まれた『オンライン留学』。そのメリットとデメリットとは?~留学プレス編集長・若松千枝加

コロナの影響で日本から海外へはしばらく行けなくなってしまいました。留学を検討していた方々は留学予定を延期せざるを得ませんし、留学中だった方々の多くも一時帰国されています。現地に残っている方々も、当面の対面授業はペンディングでしょう。

こんななか、俄然注目を浴びているのが『オンライン留学』

日本の学校も次々とオンライン化していますが、日本より早くロックダウン生活に入った欧米やオセアニア、アジアの教育機関が次々とオンライン留学を提供しています。

当初は、在学中の学生が自宅で継続して勉強できるようにと考案されたものでしたが、事態が長期化するにつれ、海外から新規で受講してもついていけるよう、どんどんカスタマイズされています。

とは言え、
「オンライン留学って楽しいの?」
「国内の外国語教室と何が違うの?」
「自宅にいても気分出るの?」
などなど、実際にはどんなものなのか、想像がつかない方もいるでしょう。

そこで私も、実際のオンライン留学授業を受講してみました。

受講したのは3つ。1つはスペインの語学学校の初級オンライン留学。2つ目はオーストラリアのビジネス英語オンライン留学です。また、語学ではありませんが、趣味で習っているフラメンコのオンラインワークショップも受講してみました。

本日は、実際の授業体験から分析した『オンライン留学』のメリットとデメリットをご紹介しましょう。

最初はレベル分けテスト。ドキドキの筆記とSkype。

まずは、最初に受講したスペインの某語学学校授業からレポートしましょう。

私は、国内で週に一回、のんびりスペイン語の個人レッスンに通っている初級者です。レベル的には、英語で言ったら中学1~2年程度。会話力が低く、かなりゆっくりのスピードで話してもらわないと聞き取れないレベルです。

国内で通っていたスペイン語教室もコロナの影響を受けて、今はオンライン授業に切り替わっています。そのおかげで、オンライン授業自体には慣れてきています。

しかし、国内の先生とは気心も知れているうえに日本語も通じる。しかもマンツーマンです。今回のようにまったくの新参者として海外のグループレッスンに入るのはドキドキの体験です。

では、さっそくオンラインでのレベル分けテスト模様からレポートをスタートいたします!レベル分けテストは筆記(ウェブ上で入力)+Skypeでの対面インタビューです。
 
Skypeは緊張したけれど、相手はプロの教師。

こっちのレベルを見極めてくれて、聞き取れる程度のスピードで話してくれました。内容も自己紹介や趣味のことなどで、思っていたよりあっけなく終了です。ホッとしました。

このレベル分けテスト、各国様々な語学学校の様子を聞いてみると、「オンラインインタビューだけ」「筆記だけ」「筆記+インタビュー」など、各校で異なるようです。

最初のテストは誰でも緊張するものですが、相手は百戦錬磨の教師たち。肩に力を入れすぎず、ぶっつけ本番で臨むのがよさそうです。

授業スタート!画面を通して留学生同士の自己紹介。

「初級2」というクラスに振り分けられ、初めての授業日を迎えました。ドキドキしながらzoomで入室してみると、まだ先生は来ていません。画面にはいろんな国の生徒が映し出されています。

ほかの学生さんたちから

「オラ(Hola)!」(やあ!)
「エンカンターダ(Encantada)!」(はじめまして!)

と声をかけられました。

なんだ、意外とフレンドリームードだな…と安心しているところへ、先生登場です。

「みんな、もう新しいメンバーと話したのね!最初に、ちょっとあなたのこと教えてくれる?」

不覚にも「ちょっとあなたのこと教えてくれる?」の部分のスペイン語がわからず、早くもタジタジに。すかさず先生が英語で言い換えてくれました。

「はじめまして。日本の東京に住んでいます。仕事は編集者をしています。スペイン語を2年勉強しています。フラメンコを習っているために、スペイン語を学んでいます。」

「ムイ、ビエン(Muy Bien、よくできました)!じゃあ、一人ずつ自己紹介してから彼女に質問してね。最初はダヴィから。」

そこから一人ずつ自己紹介と「フラメンコは何年やってるの?」「好きな国は?」「そっちは何時?」などの質問に答えていきました。

どうやら、クラスメートのうち9割はもともとその語学学校に留学していて、コロナ対策で帰国(あるいはスペインにとどまって自宅待機)せざるを得ないためにオンライン授業に参加している模様。国籍はフランス、イギリス、ドイツ、韓国、トルコなどで、日本人は私一人でした。

この自己紹介タイムのおかげで、クラスに参加している感がぐっと高まりました。リアル授業もそうだけれど、オンライン授業であっても(いや、オンライン授業ならなおさら)笑顔とか挨拶は大事なんだなというのを実感しました。

しかも、コロナの危機をみんなで共有しているというのも大きかったのか、リアル授業にはもれなくついてくる『転校生』感が少なかったのは新鮮な発見でした。

第一関門到来。ジェスチャーや表情ではごまかせない。

クラスがスタートしました。

多くのオンライン会議と同様、みんなが勝手にしゃべるとネットワークの混線を起こしやすいのと、先生がクラスをコントロールできなくなるため、こちら側の音声はミュート。しゃべりたい人はチャットで「質問です!」「失礼します!」みたいに表明し、先生がその人を指名してから意見を言うスタイルでした。

このスタイル、つい一歩引いてしまいがちな日本人でも、頑張って発言することができます。むしろ、リアル留学のほうが、発言権は弱肉強食です。

とは言え、言葉に詰まってしまったときが最大の難所。

オンラインでは、ジェスチャーや表情でごまかすことができません。何回も「ちょっと待って…(汗)」と言葉を中断してシーンとさせてしまい、なんとも言えない気まずさを感じたのも事実。

結構、他の国の生徒たちは、あれこれ適当にひたすらしゃべるので(たくさんしゃべってる割にはでたらめぽい気もするんだけれど)オンラインの難しさは感じてないみたいでした。

ここは日本人留学生にとってはひとつ、越えなければならない課題かもしれません。

ビジネス英語のオンライン留学は中学生から社会人までが参加。

オンライン・スペイン留学体験でちょっとペースをつかんだ私は、今度はオーストラリアのオンライン留学を経験できるチャンスに出会いました。

オーストラリアでは大学や語学コースのオンライン授業を積極的に紹介していて、5月初旬から無料でいろんな授業を受講できるキャンペーンを実施しているのです。

→ クイーンズランド大学とボンド大学、日本の学生に向けて無料でライブ授業を配信。
→ シドニー大学、サザンクロス大学、無料で日本人向けに語学のライブ授業を配信。

さっそく私も某大学英語コースが実施しているビジネス英語クラスに登録しました。ちなみに私の英語レベルはビジネスレベルです。

時間になったのでさっそくzoomイン。

こちらは無料授業ということもあって、80名近くの人が受講しています。普段はもちろんもっと少人数に分けられているそうです。

先生のオーストラリア訛りの英語が聞こえてきたら、旅行や出張で気軽にオーストラリアに行けていたときを思い出しちゃいました。なんだか切ない。また早くオーストラリアに行きたいな。

さて、気を取り直して授業、授業。今日は「プレゼンテーション」がテーマです。

こちらも受講者はミュートで、テキスト画面を共有。ときどき先生から質問や課題が投げかけられると、チャット画面にバシバシ入力するというスタイルでした。

途中から少数グループに分割し、そこでディスカッションしながら課題解決するセッションもありました。今回は日本人向けに開催された無料授業でしたので、生徒は全員日本人。ですが、もちろんディスカッションの使用言語は英語。

ビジネス英語のクラスだけあって、みなさん英語がうまい!

この授業、なんと下は中学生から参加していたとのこと。「中学生がビジネス英語!?」とビックリしたものの、プレゼンテーションは社会人だろうと中学生だろうと必要なスキル。

むしろ、中学生や高校生にとっては、日頃から海外の授業にこうして慣れておけば、海外の大学に進学したくなったときにも生きるし、TOEFLやIELTSなど英語能力試験を受けるのにも有利かもしれませんね。

自粛期間だからこそ受講できた世界一流のオンラインワークショップ。

ここまで、語学授業のオンライン体験をお届けしてきました。さらにもうひとつ、語学ではないクラスの体験もレポートしたいと思います。

スペイン語クラスの箇所で触れたように、私は趣味でフラメンコを習っています。実は日本は、スペインに次ぐフラメンコ人口を誇ると言われる、世界有数のフラメンコ大国。そのため、平常時はスペインから有名なアーティストが来日し、ワークショップが盛んに開催される環境にあります。

今回オンラインで受講したワークショップの講師は、フラメンコの伝統的名家の御曹司で超一流のアーティスト。正直、来日時に対面でワークショップに参加するとなると、受講者は名だたるプロや上級者ばかりで、私なんぞはレッスンの足を引っ張る可能性大。受講自体、躊躇していたと思います。

しかしそこはオンライン!クラスの足を引っ張る心配もなければ、いざとなったら自分の画面オフにしちゃう(笑)という力技もあります。

わくわくしながらzoomイン!憧れのダンサーのクラスがスタートしました。大切にしているリズムのことや考え方についてスペイン語で解説から始まります。

いやはやところが、私のリスニング能力が足りないせいで、ところどころしかわかりません!チャットでプロのダンサーの方が日本語訳を入れてくださり、本当に助かりました。

そして振り付けスタート。シューズを履かずに家で裸足でできるものを、画面を通して振り移しししてくれます。ところどころ音が途切れるところがあるのは致し方ないというところでしょうか。それ以外はリアルのワークショップとほぼ遜色なく、充実のクラスとなりました。

予想に反して「見てるから、みんなやってみて」と、こちらの出来具合もチェックが入ることに。「付いていけなくてもいいか」なんていう甘い考えは通用しなかったわけですが、一部の受講者の方々は自分の動画オフにしていたようでした。

でも、せっかくですから見てもらったほうが満足感ありますよね。動画オンにしていたおかげで名前読んでもらえたりして、気分はウキウキ。

このワークショップ、リアルならおそらく2~3倍の受講料だったはずです。渡航費や宿泊費、ギャラを考えればもちろんそうなります。あまりに充実の体験だったため、すかさず追加受講を申し込んだのでした。

オンライン留学のメリットとデメリット。友達はできる?語学力は?

今回私が参加した語学授業2つのうち、スペイン語のほうは初めてだったこともあり、緊張と不安で授業が終わると最初はどっと疲れました。しかし、汗びっしょりだった一時間目からくらべると終わり近くにはペースもつかめ、さほど疲れずに受講できるようになりました。

少なくとも「文法めちゃくちゃでもとにかくしゃべる」という度胸はついたようです。それもこれも、やはり少人数で「話さざるを得ない」状況に追い込まれたからこそだと思います。

一部のクラスメートとSNSでつながって、彼らの母国での投稿を見たりしたことも親しみを覚え、クラスになじめる要因になりました。

今後も友達でいられるかは、正直わかりません。お茶したわけでもランチを一緒に食べたわけでもないし、友人関係を築けたとは言い難い面があります。

ただ、一人だけやたら日本に興味を持っているフランス人がいて、今もメッセンジャーでたくさん質問してくる人がいます(英語で)。まあ、こんな風に、ことさらフレンドリーだったり、日本大好きな人がいたりすると、今後もつながっていけるかもしれませんね。

オーストラリアの授業も、きっと少人数の回に参加すればもっと生徒同士コミュニケーションがとれたはずです。

私は英語については国内の英会話学校に通っていないため一概に国内学校と比較することはできません。しかし率直に感じたのは、オーストラリアのクラスメートの英語力が高かったことと、そのせいで刺激満点だったこと。

先生の質も大事だけれど、語学授業の場合はクラスメートの質が大事だということを再認識しました。

自宅での留学。モチベーションを保つのに課題残る。

その土地に居住して通学するリアル留学では、文化や習慣を自然に学んだり、その土地の空気を感じることができます。それこそ、留学の醍醐味。こればかりは、ネットを通して得られるものではありません。

また、時差についても考える必要があります。自分の受講したい国の時間帯に合わせて授業が行われるため、その時間帯が自分の日本での仕事や学業に影響しないかどうかと考えたほうがいいでしょう。

オンラインでも、宿題は遠慮なく出されます。その点は、日本の日常生活との分量もバランスをとっていくといいでしょう。

とはいえ、夜の外食の機会が減っている今、日本の夜の時間帯をオンライン留学にあてるというのは悪くありません。テレビ番組も再放送が多くなってきていますし、コロナの暗い話題も聞き飽きてきた、なんて方もいらっしゃるでしょう。

オンライン留学中はかなり集中力が必要です。余計なこと考えている暇もありません。

一般的に、新しい知識や経験は一晩寝ると身につきやすいと言われているので、夜の時間帯に外国語に触れてそのまま日本語を少なめにして寝るというのも、新しい学び方ですね。

逆に、日本とあまり時差がない国を選んで、朝活に使ってみたい方もいるかもしれません。

時間帯も、自分のライフスタイルに合わせて考えてみるとよいと思います。

リアル留学や日本の外国語教室との費用の比較。

学校により異なりますが、おおむね、リアル留学の授業料の約30%~半額というものを多く見受けます。

週に1回程度通う日本の外国語教室と、毎日のように授業が行われるオンライン留学を比較するのは難しいですが、単純に一時間あたりの料金で計算すると、同じか、もしくはオンライン留学のほうが安い場合も。

日本の外国語教室がのんびり長く続けるのに向いている一方、一気に集中して語学力を上げたり、多国籍のクラスメートたちに刺激を受けながら学ぶのに向いているのがオンライン留学。

コロナ収束後にリアル海外留学を検討している方だけでなく、受験や仕事でがっつり対策したい方は、一週間でもいいからオンライン留学をやってみるのもいいのではないかと思います。

「できない」で落ち込むより「できた」を数えよう。

先述したように、ジェスチャーが使えないオンライン留学にはオンラインならではの難しさ、伝わりづらさというのがあります。

最初はどっぷり落ち込む可能性もあります。

でも、大事なのはできたこと、通じたことを誇りに思うことではないでしょうか。初日にできなかったことは2日目に、2日目にできなかったことは3日目に、どんどん向上していきます。

それに、グループレッスンは不安だな…と思うなら、プライベートレッスンからスタートするのも一手だと思います。マンツーマンで慣れていってから、クラスに入る。この流れなら、自然にクラスに順応できます。

集中して努力するのは大事なことですが、あまり根を詰めすぎては本末転倒。できなかったことより、できたことを数えていくと、毎日その数が増えていることに気が付くはずです。

オンライン留学はリアル留学の代替品というより、コロナをきっかけにした新時代に生まれた新しい概念です。リアル留学ができるまでのつなぎではなく、学習の新しい選択肢として発展していくのを期待したいところです。

(留学プレス編集長 若松千枝加)

文:若松千枝加(留学プレス編集長)
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