英語を母語としない約210万人のテスト結果により、2024年度の日本の英語力は世界116カ国/地域のうち92位だったことが発表されました。
「EF EPI英語能力指数」の調査結果によるもので、実施したのはスイスに本部を持つイー・エフ・エデュケーション・ファースト(日本法人イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社|以下「EF」)で、2011年以降、同調査を毎年公開しています。
受験者の数、国が増えていくにつれて日本の順位は下がっており、毎年順位を下げ続けています。
英語能力指数全体ランキング
ランキング | カテゴリー |
1 オランダ | 非常に高い |
2 ノルウェー | |
3 シンガポール | |
4 スウェーデン | |
5 クロアチア | |
6 ポルトガル | |
7 デンマーク | |
8 ギリシャ | |
9 オーストリア | |
10 ドイツ | 高い |
11 南アフリカ | |
12 ルーマニア | |
13 ベルギー | |
14 フィンランド | |
15 ポーランド | |
16 ブルガリア | |
17 ハンガリー | |
18 スロバキア | |
19 ケニア | |
20 エストニア | |
21 ルクセンブルク | |
22 フィリピン | |
23 リトアニア | |
24 セルビア | |
25 チェコ共和国 | |
26 マレーシア | |
27 スリナム | |
28 アルゼンチン | |
29 キプロス | |
30 ナイジェリア | |
31 スイス | |
32 香港 | 標準的 |
33 ホンジュラス | |
34 ジョージア | |
35 ベラルーシ | |
36 ウルグアイ | |
36 スペイン | |
38 アルメニア | |
39 モルドバ | |
40 ウクライナ | |
41 ガーナ | |
41 コスタリカ | |
43 アルバニア | |
44 ロシア | |
45 パラグアイ | |
46 イタリア | |
47 チリ | |
47 ボリビア | |
49 フランス | |
50 韓国 | |
51 イスラエル | |
52 キューバ | |
53 ペルー | |
54 ウガンダ | |
55 エルサルバドル | |
56 ネパール | |
57 ベネズエラ | |
58 グアテマラ | |
59 ニカラグア | |
60 ドミニカ共和国 | |
61 バングラデシュ | |
62 イラン | 低い |
63 エチオピア | |
63 ベトナム | |
65 トルコ | |
66 チュニジア | |
67 パキスタン | |
68 レバノン | |
69 インド | |
70 アラブ首長国連邦 | |
71 パナマ | |
72 タンザニア | |
73 スリランカ | |
74 コロンビア | |
75 カタール | |
76 モロッコ | |
77 シリア | |
78 アルジェリア | |
79 モザンビーク | |
80 インドネシア | |
81 ブラジル | |
82 エクアドル | |
82 エジプト | |
84 モンゴル | |
85 マダガスカル | |
86 アゼルバイジャン | |
87 メキシコ | |
88 キルギス | |
89 カーボベルデ | |
89 クウェート | |
91 中華人民共和国 | |
92 日本 | |
93 ミャンマー | 非常に低い |
94 パレスチナ | |
95 アフガニスタン | |
95 マラウイ | |
97 カメルーン | |
98 ウズベキスタン | |
99 スーダーン | |
99 ハイチ | |
101 ヨルダン | |
102 セネガル | |
103 カザフスタン | |
104 オマーン | |
105 サウジアラビア | |
106 タイ | |
107 イラク | |
108 ベナン | |
109 タジキスタン | |
110 アンゴラ | |
111 カンボジア | |
112 リビア | |
113 ルワンダ | |
114 コートジボワール | |
114 ソマリア | |
116 イエメン |
出典:英語能力指数ランキング
日本は「観光客として旅行ができる」レベル
日本がランクインしている「低い」カテゴリは、主に次のような英語能力レベルにあるとされています。
- 観光客として英語を話す国を旅することができる
- 同僚とちょっとした会話ができる
- 同僚からの簡単なメールを理解できる
なお、日本は「低い」カテゴリのなかで最も低い順位となっており、「非常に低い」カテゴリとも僅差となっています。
18ー20歳の英語力低下、要因はコロナ?
日本の受験者のなかで、著しいスコアの低下がみられたのが18歳から20歳の若年層です。その要因のひとつとして、EFではコロナ禍における対面授業の制限やリアルな交流の減少を挙げています。
男女差は縮小
日本においては女性のスコアが男性のスコアを上回っていた時期が続いた後、2020年に男性が女性のスコアを上回る逆転現象が起きています。その後はほぼ同スコアとなり、現在はその差はほぼなくなっています。
日本における課題は?
同調査の発表会では、上智大学 言語教育研究センター教授で言語教育研究センター長の藤田保教授のパネルトークも行われました。
藤田教授は、調査結果について次のような所見を述べられています。
- 日本の英語能力が具体的に下がったというよりも、日本が変わらない間に他国が上がっていると思われる。
- 日本に英語教育を良くしようという機運があるのは確かだが、なかなか変わらないという面もある。大学入試にスピーキングを導入しようとしても実施できなかった例などからも「変わらなきゃいけない」と思いながらもそれを変えたくない、という社会構造がある。
- 日本が伸びていない理由のひとつが国内的なマーケットの広さにある。外に行かなくても日本で食べていける。同じアジアのなかでも韓国が伸びていて、日本が伸び悩んでいる要因となっているのでは?
- AIやネットが進化しているからと言って、英語力が不要とはならない。ちょっとした会話、コラボレーションにおけるコミュニケーションはいろんな国の人たちと共同で仕事していくときに必要不可欠。アイデアが生まれるようなちょっとした立ち話で仲間外れになってしまうと、結果的に大きな損失につながっていくのでは?
- 留学の価値のなかには、言語能力の向上だけでなく、価値観や文化を柔軟に受け入れられる力や特定の考えや味方に固執してしまわずに受け入れる力の向上がある。実際に自分が住んでみると、マイノリティの存在になってみる経験ができる。マジョリティが物事を決めているということを知り、マイノリティとして問題を解決していくという経験をしてみるのが大事。
- 日本の義務教育における英語教育改革では「知識の獲得」をすることから「知識をどう使うか」に焦点が当てられてきた。その点は現在の学生の姿勢に表れており、間違ってもいいから話してみようという傾向は高まっていると感じる。
★EPI英語能力指数の全体レポートは https://www.efjapan.co.jp/epi/ からダウンロードが可能です。