国連平和大学(University for Peace、略称UPeace)は、平和に関する高等教育を行うために国際連合によって創立された大学院です。「国連」と聞くと立派な建物を思い浮かべるかもしれませんが、実際はコスタリカの首都サンホセから1時間ほどの静かな山の中にあるとても小さな大学院です。
「国際公務員を目指している」
「社会問題を解決したい」
「世界中の人と学びたい」
そんな希望を持っている方にとって、国連平和大学は関心の高い教育機関でしょう。本記事では、現在国連平和大学で国際平和学(メディア専門)を学ぶ筆者から、国連平和大学についてご案内します。
東京の国際連合大学と何が違うの?
東京に国連によって創立された国際連合大学があります。両校の違いは、東京の国連大学が研究機関である一方、コスタリカの国連平和大学は教育機関でもあること。そのため国連平和大学には修士課程が設けられています。筆者も現在、同修士過程で学んでいます。
世界50カ国以上から学生が集まる国際色豊かな大学院
生徒数は130名程度という小規模な大学でありながら、世界中から学生が集まっています。生徒の国籍は50カ国以上にも上るため、授業では基本的に英語が使われていますが、日常はコスタリカの公用語であるスペイン語、フランス語、ドイツ語、タイ語、ヒンディー語など、様々な言語が飛び交っています。まるでコスタリカの山奥に小さな「世界」が存在しているようです。
異なる文化、宗教、思想を持つ人々と交流し、平和や環境問題など様々なトピックについて意見を交わすことによって、視野が大きく広がります。相手にとって当たり前のことが、自分にとっては驚くべき発見であったり、世界中の人々と共に学ぶ環境は非常に刺激的です。
世界平和を実現するための人材を育成
国連平和大学には4つの学部が存在し、さらに13の専門分野に分かれています。 (2017年11月現在)
– 環境・開発学部
– 環境開発と平和 (Environment Development and Peace)
– 環境保障及び管理 (Environmental Security and Governance)
– 持続的天然資源マネジメント (Sustainable Natural Resource Management)
– 気候変動ポリシー (Climate Change Policy)
– 持続的食糧システム (Sustainable Food System)
– 社会的責任を果たす経営及び持続的経済開発 (Responsible Management and Sustainable Economic Development)
– 平和・紛争学部
– ジェンダー及び平和構築 (Gender and Peace Building)
– 国際平和学 (International Peace Studies)
– メディア、平和及び紛争学 (Media, Peace and Conflict Studies)
– 平和教育 (Peace Education)
– 国際法学部
– 国際法及び人権 (International Law and Human Rights)
– 国際法及び紛争解決 (International Law and the Settlement of Disputes)
– スペイン語修士プログラム
– 紛争、平和及び開発(Resolución de Conflictos, Paz y Desarrollo)
国連平和大学では、環境問題や紛争といった国際的な問題を解決し世界平和を実現するために、それぞれの分野のプロフェッショナルを育成することを目標としています。卒業生は国際連合や世界各国のNGO、政府機関、企業など様々な分野で活躍しています。
自然と文化が豊かなキャンパスで学ぶ
都会の喧騒から離れた自然豊かなコミュニティの中に、広大なキャンパスが広がっています。ハチドリのような日本では見られない珍しい生き物を見かけることもあります。授業のディスカッションは屋外で行われることも多く、新鮮な空気を吸いながら緑に囲まれた環境で物事を考えると、閉ざされた空間では思い浮かばないようなアイデアが浮かんできます。
豊かな自然と、様々な文化に触れることができる学習環境は、世界平和のための社会変革を目指す人々が学ぶのに最適な環境です。国際公務員を目指している、社会問題を解決したい、世界中の人と学びたい、そんなあなたには国連平和大学への大学院留学を検討してみては?
国連平和大学ホームページ
https://www.upeace.org/