英語の留学先としても人気のカナダは、州によって英語圏とフランス語圏が分かれています。英語留学はもちろん、フランス語留学の選択肢にも入るのが、カナダの魅力です。
留学先としてカナダを検討している人や、ほかの留学先と比較して選びたい人のために、カナダのフランス語圏についてご紹介しています。また、カナダを留学先として選んだときに得られるメリット、デメリットを解説しています。
なぜカナダは英語圏とフランス語圏があるかの歴史背景についても紹介していますので、カナダの英語だけでなくフランス語文化にも触れてみたい人も、ぜひ参考にしてください。
カナダ留学に興味が湧いたら
カナダのフランス語圏について
まず、カナダのフランス語圏はどこか、フランス語圏では英語も通じるのかについて解説します。
カナダのフランス語圏はどこ?
カナダの公用語は英語とフランス語です。カナダはイギリス、フランスからの移民が多いため、英語圏でもありフランス語圏でもあります。17~18世紀ごろのカナダ国内でのイギリスとフランスとの戦いがきっかけで、英語圏とフランス語圏に分かれました。
カナダ国内でのフランス語圏を大きく分けると、ケベック州がフランス語圏、そのほかの衆が英語圏となっています。また、ケベック州に隣接している西のオンタリオ州と東のニューブランズウィック州、さらに首都のオタワにもフランス語系の住民は多いです。
カナダのフランス語圏は英語が通じる?
フランス語圏であるケベック州は、交通標識や看板などはフランス語表記です。ただし商業都市モントリオールは観光地でもあるため、英語も多く話されています。英語で授業を行う専門学校などもあるため、ケベック州は英語留学、フランス語留学両方が可能です。
カナダを英語・フランス語留学先に選ぶ5つのメリット
英語圏、フランス語圏が共存しているカナダは、英語、フランス語両方の留学先として選択肢に入ります。カナダを留学先に選んだ場合のメリットを解説します。
フランス語初心者でも留学しやすい
カナダでフランス語留学するならフランス語圏のケベック州の都市モントリオール、または英語圏ながらフランス系住民も多い首都オタワが留学先の候補になります。もともと英語圏に囲まれているため、フランス語も英語も通じるのがメリットです。留学生も受け入れてもらいやすくなっています。
留学費用が安い
カナダへの留学は、留学費用全体が抑えられるメリットがあります。もともとイギリスやアメリカに比べて、カナダへの留学費用は安いです。さらにケベック州の都市はカナダの中でも物価が安くなっています。
治安が良い
カナダは比較的治安のよい国です。さらにケベック州は年間殺人事件が1~2件のみとさらに治安がよい州となっています。ただしカナダ全体でマリファナが合法化されているため、危険と指定されている場所には行かないようにしましょう。
移住先としても候補に挙がる
カナダ全体がもともと移民の多い国のため、移住がしやすいのもメリットです。将来生活に支障のないレベルで英語やフランス語を話せるようになったら、カナダへの移住も検討できます。
ケベック州には、現地カレッジの規定以上のコースを卒業するとその後の永住権申請がしやすくなる、独自の移民プログラムもあります。
日本人の割合が少ない
カナダは日本人の割合が比較的少ない留学先です。日本語から離れられるので、英語やフランス語漬けの日々を送れます。留学の成果も上がりやすいでしょう。
カナダを英語・フランス語留学先に選ぶ3つのデメリットと対策法
カナダへの留学前に知っておきたい、留学先として選ぶと発生する3つのデメリットを解説します。
フランス語の訛りが強い
ケベック州のフランス語は、移民から流れて独自に発達したフランス語です。フランス生粋のフランス語とは違うだけでなく、英語圏に囲まれているため訛りもあります。モントリオールなどの都市にはフランス語ネイティブの講師を採用しているスクールもあるため、そのような場所をフランス語留学先として選ぶとネイティブのフランス語を勉強できます。
フランス語をあまり使わない場合がある
フランス語を使わなくても英語で生活できてしまうため、フランス語があまり伸びない場合があります。しっかりフランス語を学びたいなら、ケベック州内でもモントリオールではなくケベック市に留学するのがよいでしょう。
英語とフランス語を一緒に覚えようとすると大変
カナダのフランス語圏へ英語留学をするときのデメリットはあまりありません。ただし、英語とフランス語を一緒に勉強しようとするとやや大変なデメリットがあります。
カナダのフランス語圏の割合や背景について
カナダのフランス語圏への留学前に知っておきたい、フランス語圏の割合や歴史的背景について解説します。
カナダのフランス語圏はどのくらいの割合?
カナダのフランス語圏であるケベック州は、カナダ最大の面積を誇る州です。人口は約800万人でオンタリオ州に次ぐ多さで、カナダの約四分の一に当たります。
ケベック州の住民の約80%がフランス系で、フランス語を母語としています。英語を母語とする人口はわずか8%ほどです。さらに10%が移民系のため、フランス語を主に話している人の割合が高くなっています。カナダ全体で見れば、約五分の一の国民がフランス語を主に使用していることになります。
ケベック州をはじめとしたカナダのフランス語文化について
カナダではフランス語を母語とする人々をフランコフォン(Francophone)、英語を母語とする人々をアングロフォン(Anglophone)、英語もフランス語も母語としない移民系の人々をアロフォン(Allophone)と呼んでいます。
大規模な商業施設や大企業はアングロフォンが経営していたため、ケベック州はもともとフランコフォンが大多数ながら英語圏の地域でした。1977年、言語政策としてケベック州内の公用語をフランス語とする「フランス語憲章」が定められ、ケベック州はフランス語圏になります。
なお、カナダ全体では商品のパッケージに英語とフランス語両方の表記があります。国歌も英語版とフランス語版があります。国土のほとんどは英語圏の一方、フランス語圏も含めた国民を認めている姿勢が表れていると言えるでしょう。
カナダは英語・フランス語圏の留学先候補になる
カナダは英語圏とフランス語圏があるため、フランス語圏であるケベック州内へ留学をすれば、英語とフランス語両方に触れられる機会が得られます。英語も通じるためフランス語留学初心者でも生活しやすい、全体的な留学にかかるコストがほかの国よりも安いなどもメリットです。
英語留学をしながら簡単なフランス語も勉強してみたい、という人の選択肢にも入るでしょう。
英語とフランス語が共存している環境での生活や勉強は、貴重な経験になります。英語留学やフランス語留学を検討しているときには、カナダもぜひ候補に入れてみましょう。