海外に留学するにあたり、学生ビザは必要不可欠です。ドイツでは現地に到着してから申請を行います。
そのため、短期滞在として認められる90日間で申請を行う必要があるのですが、ビザの申請の前には閉鎖口座などの手続きも行わなければならず、期限内で申請を終わらせるには入念な事前準備とスケジュール管理が必要になります。
今回は筆者が大学院生としてビザを申請した際の経験をもとに、詳しい方法について解説していきます。 (正確には学生ビザではなく長期滞在許可として申請します。記事では便宜的に学生ビザと呼称します。)
※本記事の内容は2020年11月現在の情報です。
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申請に必要な書類
ビザの申請に必要な書類は、主に「日本で準備するもの」と「現地で準備するもの」の2種類があります。
日本で準備するもの
- パスポート
- ビザ用の証明写真 (証明写真の規定)
現地で準備するもの
- 住民登録証明書 (住民登録の際に発行されます)
- 滞在許可申請書 (ビザの申請のための書類です)
- 入学許可証
- 健康保険証明書
- 滞在費用の証明 (閉鎖口座もしくは奨学金の証明書)
- 普通口座の3ヶ月分の明細書
(参考: ドイツ連邦共和国大使館 総領事館 「ドイツの大学に入学準備及び入学」
閉鎖口座の開設
ドイツへ留学するには、その学生が問題なく生活できる資金があることを証明しなければなりません。
奨学金がある場合はその証明書を提出します。ない場合は特別な口座に一定以上の金額を入れなければなりません。この口座は閉鎖口座 (Sperrkonto) と呼ばれます。
これはドイツ独特のシステムで、学生は毎月決まった金額を受け取れます。
閉鎖口座の開設はドイツの様々な銀行で行うことが出来ます。なかでも、ドイツ外務省が推奨する銀行は以下の通りです。
- BAM
- Expatrio
- Coracle
- Deutsche Bank
- Fintiba
Expatrioと Coracle、Fintabaはオンラインで開設することができ、申請や手続きも比較的簡単です。いずれもセキュリティやサービスが高く、どれを選んでも問題ないと思います。特に、Expatrioは口座開設費が49ユーロと安く、口座維持手数料も月額5ユーロと良心的です。
開設に必要な費用は以下の通りです。(2020年11月現在)
ブロック金額 | 10,332ユーロ (1ヶ月あたり861ユーロ) |
アカウントバッファー | 100ユーロ |
口座開設費 | 49ユーロ |
口座維持手数料 | 60ユーロ (1ヶ月あたり60ユーロ) |
合計 | 10,541ユーロ |
この金額が閉鎖口座に振り込まれると手続きが完了し、口座がアクティベートされます。その際にビザの申請に必要な証明書も発行されます。
上記は1年あたりの金額です。2年以上滞在する場合は、更新の際にブロック金額や手数料をまた送金します。
金額が100万円近くになるため、為替レートの少しの変化によって送金の合計金額が大きく変わってしまいます。また、手数料も高くなってしまうので、送金を行う会社は入念に選ぶ必要があります。
個人的にはTransferwiseがオススメです。普通の銀行であれば市場の為替レートよりも高めに設定して仲介料を取るのですが、Transferwiseは市場の値をそのまま反映するため安く送金することが出来ます。
ただし、手数料として送金額の0.64%が追加でかかります。それでも比較的安いゆうちょ銀行で送金するよりも合計で4万円ほど節約できます (1ユーロ 120円の場合)。また、送金が非常にスピーディで、平日に送金した場合2日ほどで送金が完了します。
(※1日の送金は100万円までと制限されているため、送金は2回に分けて行う必要があります。また、国際送金にはマイナンバーカードの登録が法律で義務付けられています。)
申請書類の記入方法
滞在許可申請書 (Meldeschein) は外国人局のホームページでダウンロードできます。シュトゥットガルトの場合は以下の通りに記入しました。
形式は管轄する外国人局によって異なりますが、記入内容は基本的に同じです。結婚している場合は追加で配偶者及び子供の情報を記入する必要があります。
他の書類の準備
住民登録
ドイツの下宿先に住み始めて2週間以内に申請する必要があります。住んでいる地域を管轄する区役所に電話やメールで連絡し、申請日を予約します。この手続きにはパスポート、入学許可証、区役所のホームページでダウンロードできる専用の申請書、家主さん用の書類が必要になります。以上の書類を区役所に持参して手続きします。同時に仮の登録書が発行されます。
健康保険証明書
ドイツでは日本の健康保険は使用できません。30歳以下の場合、AOK, TK, DAKなどの公的健康保険に必ず加入しなければなりません。いずれの保険会社もサービスや料金に差はありません。
筆者の場合、大学内に事務所があったためAOKを選びました。ビザの申請に必要な書類は事務所での契約の際に発行されます。
普通口座の3ヶ月分の明細書
外国人局によっては必要になります。主に使用している銀行口座の直近3ヶ月分の利用明細を英語で用意します。ドイツの銀行では専用窓口を通して発行されます。
書類の印刷はドラッグストアのDMで
申請書類や入学許可証を始め、印刷が何度も必要になります。日本であればコンビニに印刷機があるのですが、ドイツではDMというドラッグストアに置いてあります。機体によっては日本語が使えますし、データをUSBにPDF形式で入れておけば確実に印刷できます。
DMが近くにない場合、Google Mapで「Copy Shop (印刷屋)」と検索します。個人経営の印刷屋は英語が通じなかったり料金が高かったりしますので注意です。
実際の申請手続きの体験談
予約方法
住んでいる地域を管轄する外国人局で手続きを行います。今までは予約無しで手続きが出来ましたが、現在は感染症対策もあって事前予約が必要です。予約はメール、もしくは電話で行なえます。また、9, 10月は申請が集中して予約が1ヶ月後になることもありますので、早めに予約を行いましょう。
自分の名字のアルファベットの部屋で手続きを行う
当日は予約のメールを受付に見せ、手続きの部屋を教えてもらいます。部屋の前にはA-E, F-M, N-S, T-Zという看板があり、自分の名字のアルファベットの看板の部屋の前で待ちます。名前が呼ばれたら部屋に入ります。
必要書類の確認といくつかの質問が行われる
先述の書類を提出し、いくつかの質問に答えます。筆者の場合は以下の通りでした。
- 滞在の目的
- 大学の名前と専攻科目
- 授業の開始日
- 目の色 (出来る限り目を見開いて見えるようにします)
手数料の支払い
書類に不備がなく申請が許可されたら、手数料を支払います。シュトゥットガルトの場合は100ユーロでした。(地域によって金額は違います。)支払いはカードでも行えます。
仮のビザの発行
手続きが完了すると、その日のうちに仮のビザが発行されます。これはA4用紙1枚で、紛失しやすいので厳重に保管します。
これがあれば学生登録などの手続きを行うことが出来ます。正式なビザはおおよそ8週間後に郵送されます。手続きが進行するにあたって連絡のメールや手紙が来ますので、見逃さないようにします。
書類が足りない場合は後日メールで送る
もし申請の際に書類が足りなかった場合、重要でないものであれば後日メールで送ることが出来ます。送り先のアドレスもその時に教えてもらいますので、出来る限り早く書類を送ります。
以上が学生ビザの申請手続きの解説となります。一見複雑そうですが、1つ1つを丁寧に行っていけば大丈夫です。そして、分からないことがあれば、外国人局や大学などにすぐに相談する姿勢が大切です。これからの輝かしい留学生活のためにも、入念に準備していきましょう!
(留学プレス編集部)