ライス大学はアメリカのテキサス州ヒューストンにある研究型私立大学です。学部教育に力を入れており、少数精鋭で学生と教員の距離が近いのが特徴です。
ライス大学の名前は創立者である米国の実業家ウィリアム・マーシュ・ライス（William Marsh Rice）に由来しています。RICEの4文字は現在「責任感（Responsibility）、誠実さ（Integrity）、コミュニティ（Community）、卓越性（Excellence）」という大学の価値観の象徴としても表現されています。
NASAとの歴史が深く、アメリカで初めて宇宙科学専門学科を開講したのもライス大学です。
「経済的な理由で教育を受けられないことがあってはならない」という理念から、学費の安さや奨学金に幅広く条件を設けていることでも知られています。
工学部には日本人である河野教授が在籍しており、理工学研究を通じてアメリカと日本のつながりに貢献していることでも有名です。
ここではライス大学に興味がある人に向けて、大学の特徴や偏差値、世界ランキング、合格率、学費、入学条件などを紹介します。ぜひ参考にしてください。
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ライス大学の基本情報
| 設立年 | 1891年 |
| 形態 | 私立 |
| 難易度 | ★★★★★ |
| 合格率 | 11% |
| 学生数 | 約8,212人 |
| 留学生数 | 約2,079人（約25%） |
| 人気の学部 | 情報科学 経済学 生化学・分子生物学 運動学・エクササイズサイエンス 心理学 スポーツ・フィットネスマネジメント 認知科学 建築学 機械工学 電気工学 |
| 学費例（年間） 費用検索はこちら Estimate Your Cost | $54,100（学部課程） $35,350（大学院課程） |
場所
ライス大学のキャンパスはテキサス州ヒューストン（Houston）にあります。300エーカー（約1.2平方km）の並木道が続くメインストリートに面し、緑に囲まれたキャンパスが魅力です。
ヒューストンはテキサス医療センターやNASAの宇宙センターにくわえ、全米最大級の貿易港があり経済・産業が盛んな都市です。
大手企業も数多くオフィスを構えているため、ビジネス色の強いイメージを持たれがちですが文化的な色合いも強いのが特徴です。
大学のそばにはヒューストン自然科学博物館や、広大な敷地を誇るハーマン公園があります。
ライス大学では学生だけでなく、教員もキャンパス内の寮で一緒に生活する全寮制（レジデンシャル・カレッジ）を伝統的に導入しています。
学生は大学の授業だけでなく学内行事やスポーツ、演劇、講演会などへの参加を通じてより豊かな学生生活を送ることができます。
アメリカのプリンストン・レビュー誌では「生活の質（Quality of Life）」ランキング1位と評価されていることからも、キャンパスライフの充実ぶりがうかがえます。
参考：Campus Life、Residential Colleges
卒業生
ライス大学は米国議員やノーベル賞受賞者を始め、数多くの優秀な卒業生を輩出しています。著名な卒業生を以下に紹介します。
- ハワード・ヒューズ（エンジニア、実業家、映画プロデューサー、映画監督）
- アルベルト・ゴンザレス（元米国司法長官）
- ジョシュ・アーンスト（元ホワイトハウス報道官）
- ジョン・クライン（米国下院議員）
- ペギー・ウィトソン（NASA宇宙飛行士）
- ランス・バークマン（MLB選手）
- ロバート・ウッドロウ・ウィルソン（ノーベル賞受賞者）
日本人で初めて宇宙での船外活動を実施した土井 隆雄（どい たかお）さんは、ライス大学大学院博士課程（天文物理学）を卒業しています。
ライス大学の卒業後6年の平均年収は、$65,400（約850万円/1ドル=130円）です。
奨学金
ライス大学では留学生に対しても奨学金支援があります。「経済的な理由で教育を受けられないことがあってはならない」という大学の理念が現れています。
ライス大学は創設当時から「最高水準の教育」を実現しながら、他の大学に比べて低い学費水準を維持しています。
これを可能にしたのは学長をはじめとする役員やライス大学評議員会など、多くの人々が働き掛けたおかげです。
奨学金制度を受けるためには条件があるため、自分が該当するかどうか大学公式サイトで確認してください。
参考：Rice admission、International Students、University leadership
少人数制
ライス大学では、少人数制を採用しています。学生と教員の比率はわずか6：1と、いかに学生一人ひとりに目が行き届いているかを示しています。
これは初代学長のエドガー・オデール・ラベットが「教育水準を高めるため、学生数は少なくてはならない」と発言したことから始まっています。現在も少人数制を維持しています。
学生と教員の距離が近いことでコミュニケーションが頻繁に生まれ、学習しやすい環境といえます。
参考：Rice University、Rice University Brand and Identity Standards
河野教授
ライス大学には日本人の河野淳一郎（こうの じゅんいちろう）教授が在籍しています。河野教授は1995年にニューヨーク州立大学で物理学の博士号を取得し、2000年にライス大学工学部の教授に就任しました。
200以上の学術論文を発表しており、今までに2つの特許を取得しています。2002年には米国科学財団のCAREER賞を受賞するなど、数多くの功績を残しています。
河野教授は全米で知られる国際研究体験プログラム「NanoJapan」など、複数の教育プログラムを立ち上げています。理工学研究に興味を持つ日本の学生や国際研究協力を通じて、米国と関わるきっかけとなる役割を担っています。
参考：Junichiro Kono | Faculty | The People of Rice
全米初の宇宙科学専門学科を開講
ライス大学は1959年にNASAとの最初の共同研究を開始しました。
ヒューストンは1961年にNASA有人宇宙船センター（現在のジョンソン宇宙センター）の建設地として指名され、「スペースシティUSA」への変貌が始まりました。この舞台裏にはライス大学の卒業生で理事長の、ジョージ・R・ブラウンの懸命な働き掛けがあったといいます。
ライス大学50周年祭でジョン・F・ケネディ元大統領が大学で演説し、アメリカが「世界一の宇宙進出国」となることを宣言します。ケネディ元大統領の演説を受け、1963年にライス大学は全米初の宇宙科学専門学科を開講しました。
1969年7月20日、人類初の月面歩行が成功します。
その後のアポロ計画では、ライス大学のジョン・フリーマン教授が製作したイオン検出実験装置が月へ運ばれました。この実験装置は現在も月面に残っており、装置の内側にはライス大学の旗が隠れているそうです。
ライス大学の学部
学部課程
ライス大学には7つの学部、50以上の専攻があります。
▼7つの学部
- 建築学部
- 経営学部
- 工学部
- 人文科学部
- 音楽学部
- 自然科学部
- 社会科学部
▼専攻
| 建築学（School of Architecture） | 建築学 |
| 経営学（Jones Graduate School of Business） | 経営学 |
工学（George R. Brown School of Engineering） | バイオエンジニアリング 化学・生体分子工学 土木・環境工学 計算・応用数学・オペレーションズリサーチ コンピュータサイエンス 電気・コンピュータ工学 材料科学とナノ工学 機械工学 統計学 |
| 人文科学（School of Humanities） | 古代地中海文明 美術史 アジア研究 古典学 英語 ヨーロッパ研究 フランス研究 ドイツ研究 歴史学 ラテンアメリカ研究 中世・近世研究 哲学 宗教学 スペイン語・ポルトガル語・ラテンアメリカ研究 女性、ジェンダー、セクシュアリティ研究 視覚芸術・ドラマティックアート |
| 音楽学（The Shepherd School of Music） | ファゴット チェロ クラリネット 作曲 コントラバス フルート ハープ ホルン 音楽 音楽史 音楽理論 オーボエ オルガン 打楽器 ピアノ トロンボーン トランペット チューバ ヴィオラ ヴァイオリン ヴォーカル |
| 自然科学（Wiess School of Natural Sciences） | 天文 天体物理学 バイオサイエンス 化学物理学 化学 地球・環境・惑星科学 生態学・進化生物学 環境科学 運動学 数学 神経科学 物理学と天文学 |
| 社会科学（School of Social Sciences） | 人間学 認知科学 経済学 言語学 経営経済学・組織科学 数理経済分析 政治学 心理科学 社会政策分析 社会学 スポーツマネジメント |
大学院課程
ライス大学の大学院課程には、8つのスクールがあります。志望のプログラムはPrograms of Study | Graduate and Postdoctoral Studies から検索してみてください。
- 建築学（School of Architecture）
- 経営学（Jesse H. Jones Graduate School of Business）
- 工学（George R. Brown School of Engineering）
- 人文科学（School of Humanities）
- 音楽学（Shepherd School of Music）
- 自然科学（Wiess School of Natural Sciences）
- 社会科学（School of Social Sciences）
- 生涯学習（Glasscock School of Continuing Studies）
ライス大学の難易度
合格率
ライス大学の合格率は11%です。
ランキング
ライス大学のランキングは以下の通りです。
偏差値は？日本の大学だとどれくらい？
難易度がテストの点数によって決まる日本の大学入試と違い、アメリカの大学入試は書類選考で決まります。そのため偏差値という制度がなく、日本の大学との比較は簡単ではありません。
目安としてQS大学ランキングでライス大学に近いランキングにある、日本の大学を紹介します。
- 79位：東北大学
- 100位：ライス大学
- 112位：名古屋大学
入試制度が異なることや言語の違いなどを考慮すると、難易度は簡単には表せません。世界的な評価という点で参考にしてください。
ライス大学に留学するには？
Houston: Hermann Park and Rice University 2021|Flickr
大学（学部課程）
ライス大学の学部課程で求められる入学要件は以下の通りです。
| エッセイ | 2022-2023年の例題： 1. あなたが希望する学部で学習したい理由を説明してください。（150ワード以内） 2. ライス大学の何があなたにとって魅力的ですか？（150ワード以内） 3. 学生生活はユニークな人生経験と伝統に大きく影響されます。ライス大学ではキャンパスでの生活の質を向上させることが重要と考えますが、あなたはどのようにライス大学のコミュニティに貢献しますか？（500ワード以内） |
| ライスボックス（Rice Box） | ライス大学の伝統のひとつである「ライスボックス」は、自分にとって魅力的なもののイメージ（画像）を表現するための項目です。自分自身、興味、または自分にとって重要なことを表現するイメージを提示してください。このイメージは評価として使用されないものの、自分という人間を表現するために提出することができます。言葉での説明が不要な、それ自体で語れるようなイメージを選ぶようにしてください。 |
| 推薦状3通（カウンセラーと教師2名） | 3つの推薦状の他に、自身の業績や才能についてユニークな知識を持つ人がいる場合、その人に補足的な推薦状を提出してもらうことができます。（例えばアルバイト先の雇用主、スポーツのコーチ、指導者、他の教師など） |
| 面接 | 面接は自身をアピールする絶好の機会です。必須ではありませんが、ライス大学で学びたい意思や情熱を伝えるチャンスですので積極的に活用してください。 |
| 英語能力テスト | 下記のいずれかのスコアを提出してください。最低スコアはそれぞれ以下の通りです。 TOEFL：100 IELTS：7 Duolingo：120 |
| 最終学歴の成績表 | ライス大学で求められる評価はそれぞれ以下の通りです。 科目：単位数 英語：4 社会科：2 数学：3 実験科学（例：生物、化学、物理）：2 外国語：2 上記のいずれかのカテゴリーの追加単位：3 合計 16 カリキュラムに不備がありながら合格した学生は、ライス大学入学前の夏休みに高校または大学レベルのコースを受講し、必要な学習を完了することが求められます。 |
エッセイや課外活動の実績などを通じて、ライス大学の求める学生像に対して具体的なアピールができるよう自己分析をしておきましょう。
大学院課程
ライス大学の大学院課程は応募するプログラムによって異なります。ここでは参考としてジェシーH.ジョーンズビジネススクールのMBAプログラムで必要な出願要項について紹介します。（参考：MBA Admissions Guide）
- 学部課程の成績証明書
- GMAT、GREまたはEAのいずれかの標準テストスコア
- 履歴書
- 推薦状（2通まで提出可能）
- エッセイ
- 英語能力テストのスコア（TOEFL、IELTS、Duolingoのいずれか*）
*ジェシーH.ジョーンズビジネススクールでは英語能力テストの最低スコアの規定はありませんが、できるだけ高得点を提出することが望ましいです。
希望するプログラムによって必要書類が異なりますので、公式ホームページを確認してください。
ライス大学付属英語コース
ライス大学には世界125カ国から留学生が受講している付属の集中英語コース「Intensive English Program | English as a Second Language (ESL) Rice University」があります。
大学や大学院に正規入学はできないけれど名門ライス大学のキャンパスで英語を勉強したい人や、大学進学のための英語力向上をしたい人、仕事やキャリアのために英語力を磨きたい人など、英語を勉強したい人なら誰でも受け入れています。
最短7週間から受講できるので、語学留学のみが目的の人でも受講できます。ライス大学の学生たちと同じキャンパスで学んでみましょう！
ライス大学への留学を実現しよう！
独特な文化と伝統のもと、少人数制を維持することで高い教育水準を実現しているライス大学。
合格率は11%と難易度が高いものの、奨学金制度や入学要項が幅広く用意されていることは留学生にとって魅力のひとつです。
多様性を重視するライス大学では、高校での成績以外にあなたがどんな人物であるかにも重点を置いています。
なぜあなたがライス大学に興味を持ち、ライス大学の学生として何を追求したいかを伝えることが重要です。あなたの経験や業績を詳しく説明し、ライス大学のコミュニティにどんな影響を与えることができるか説明できるように準備をしましょう。
ライス大学への留学にチャレンジして、最高の学生生活を実現してください！
（留学プレス編集部）
