「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。
特に、日本と異なる教育制度を持つイギリスやオーストラリア、ニュージーランド、アイルランドなどの大学に進学を希望する高校生にとっては欠かせない重要なステップとなります。
大学入学前に1年も受講しなくちゃならないなんて、一見、直接大学に入るよりも回り道のようにも見えますが、実はメリットがたくさん!
大学指定のファウンデーションコースを修了することで合格保証をしている学校もたくさんありますし、高校時代の成績に自信がなかった人であればファウンデーションコースで取り返すことができます。
また、大学の授業についていく際に必要となるスキルや英語力を強化してから大学に入学するので、高校卒業後にいきなり大学をスタートするよりもずっと安心です。
本記事では、ファウンデーションコースの概要から、その特徴やメリット・デメリット、具体的なカリキュラム内容、入学条件について詳しく解説します。
海外大学留学に興味がある人は、ぜひ参考にしてくださいね!
ファウンデーションコースとは?
ファウンデーションコースが必要な主な国
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドなどが代表的な国です。
日本と異なる教育制度
「大学に入るのになぜファウンデーションコースが必要なの?高校はちゃんと卒業しているのに…」と思う人も多いかもしれませんね。
そこには、日本と海外各国の教育制度の違いが関係しています。
日本の大学は「北米式」の四年制
日本の大学は4年間です。アメリカ合衆国やカナダと同じシステムを踏襲しています。
北米式の大学教育は、原則として最初の2年間は「一般教養課程」、後半2年間は「専門課程」で構成されています。
「イギリス式」大学は三年制
一方、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドの大学は3年間です。一般教養課程はなく、3年間まるまるが「専門課程」です。
これらの国では、一般教養課程は高校で済ませてしまいます。
ファウンデーションコース=一般教養課程
イギリスやオーストラリアの学生は高校時代に一般教養課程を終えているけれど、日本の高校ではやっていません。だから日本の高校卒業生がイギリスやオーストラリアの大学に行こうと思うと、どこかで一般教養課程を修了する必要があります。この穴を埋めるのがファウンデーションコースです。
卒業までの年数は同じ
つまり、どの国に行くにせよ、一般教養課程を経て専門課程に進むのは同じ。
だから、ファウンデーションコース経由で大学入学…と聞くと回り道のようにも思いますが、実は卒業までの年数はアメリカの大学に行ってもイギリスの大学に行っても変わらないんです!
・北米式=合計4年間
(一般教養課程2年間+専門課程2年間)
・イギリス式=合計4年間
(ファウンデーションコース1年間+専門課程3年間)
ファウンデーションコースで学ぶこと
では、ファウンデーションコースで学べる授業について知っていきましょう!
ファウンデーションコースの目的は、海外からの留学生がイギリスやオーストラリアの大学1年生の授業にスムーズについていくために必要な能力をつけることです。
そのため、コース内容は、大学での専攻に関連した基礎科目と学術的なスキル、そして英語などの授業が中心です。
▼ファウンデーションコースでの授業例
・レポートの書き方
・研究や調査の方法
・プレゼンテーションスキル
・異文化理解
・専攻ごとの基礎科目(理系、人文系、社会学系、芸術系 etc.)
ファウンデーションコースのメリット
IELTSなどの英語スコアが不要
多くの大学では、ファウンデーションコースの成績を提出することで、英語力スコアの証明と認めています。つまり、わざわざIELTSやTOEFL(r)を受験しなくても、ファウンデーションコースでの授業を頑張っていればOKということになるんです!
大学の合格保証
ファウンデーションコースには次の2種類があり、多くの大学がそれぞれのコースで合格を保証しています。
①大学付属のファウンデーションコース
②大学付属ではない独立したファウンデーションコース
①の大学付属のファウンデーションコースの場合、その大学での授業を想定したカリキュラムが組まれています。大学も「付属ファウンデーションコースで〇〇の成績をクリアすれば合格保証」と定めている場合が多々あります。
おのずと、その大学に入学したい留学生がたくさん在籍しているので、クラスメート同士でも切磋琢磨できますし、スタッフや先生もその大学合格ならではのコツを進言してくれたり、進学後のアドバイスも充実しています。
②の外部の独立ファウンデーションコースは、民間のカレッジや教育機関が運営しています。世界のさまざまな大学と広い提携関係にあり、それらの大学との間で合格保証のための成績協定を結んでいます。
学習計画が立てやすい
合格保証している大学がある一方で、保証していない大学もあります。特に、世界大学ランキングのトップランク大学になると合格保証はしていません。
そんな場合には、ファウンデーションコースの進学アドバイザーが頼りです。
「この大学に行きたいなら最低でもこのくらいの成績はとっておこう」という基準を示してもらうことで、目標に対して学習計画を作りやすくなります。
大学入学後に困らない
日本での高校時代、ほとんどの人はクラスでの授業に出席するという「受け身」スタイルが多かったのではないでしょうか。成績は期末ごとのテストで決まります。
海外の大学に入ると、これが一変!
国や大学によって異なりますが、一般的には大教室での講義、中規模クラスでの参加型授業、少人数での研究やラボ型授業、の組み合わせで進みます。
最初のうちは、ネイティブスピードの授業を聞いて理解するだけで精一杯というのが普通です。さらに、レポート、ディスカッション、プレゼン、大量の調べもの…と日本の高校ではあまりやってこなかったような不慣れなことがたくさん!
海外大学の授業では「参加」することが必須。授業で発言をしなかったり質問をしなかったりすると「授業に貢献していない人」とみなされ、成績がつきません。
こういった海外大学での習慣に慣れるのもファウンデーションコースの役割です。そのための英語力を伸ばし、発言の仕方、質問を考える習慣、レポートを書くときの構成、といった「授業についていくスキル」を身につけてから大学に入学できるので、安心して授業に臨めます。
ファウンデーションコースのデメリット
英語力/成績によって期間が異なる
通常のファウンデーションコースは1年間のプログラムです。各ファウンデーションコースでは入学時に英語力(一部のコースでは高校時代の成績も)を入学基準としています。
そのスコアによってはファウンデーションコースの期間が1.5年となる場合もあります。一方で、スコアが高い人は6か月に短縮されたコースで済むこともあります。
合格保証がない大学もある
なかにはファウンデーションコースからの合格保証を出していない大学もあります。特に、難易度の高いランキングトップ大学になればなるほど、合格保証は出していません。
ファウンデーションコースを経なくても良い場合も
これはデメリットと言えるかどうかわかりませんが、高校時代の成績が優秀で、かつ英語力が高い学生に限り、ファウンデーションコースを経ずに受け入れてくれる大学が一部にあります。
また、やはり成績優秀な学生に限りますが、ファウンデーションコースの代わりに「インターナショナル・イヤー・ワン(International Year One)」というプログラムを受講すると、イギリスやオーストラリアの大学の2年次に編入できます。インターナショナル・イヤー・ワンを使えば卒業までの年数が1年間短縮できるという魅力的なルートとなっています。
ただしいずれの場合も、トップランク大学ではあまり採用されていません。どちらかというと入学難易度が平均的か、比較的入りやすい大学に多いシステムです。
高校までの成績が極めて優秀で英語力も高い人であれば、一般的には大学もランクが高いところを狙いがち。卒業までの期間を短縮して留学総費用を抑えたい人や、志望大学が上記のようなシステムを採用している場合にはうまく活用してみるといいでしょう。
ファウンデーションコースに代わる方法
ファウンデーションコースは、ざっくりひとことで言えば、大学1~2年相当の一般教養課程の代わりの授業を受けるということです。
日本の高校卒業生がイギリスやオーストラリアの大学に進学する際のもっとも一般的な方法はファウンデーションコースですが、ファウンデーションコースでなくても「大学1~2年相当を埋められるのであればそっちでもいいよね」ということになります。
ファウンデーションコース以外の例としては次のようなルートもありますので、興味がある人は検討してみてください。
・日本で大学1~2年次までを修了する(一般教養課程を修了したとみなされる)
・公立カレッジや専門学校を経由する(一般教養課程相当となる)
・英国の高校やインターナショナルスクールに入ってAレベルをとる
・IBディプロマをとる
ファウンデーションコースを行っている国
イギリスのファウンデーションコース
イギリスでは多くの大学が付属や推奨のファウンデーションコースを持っています。
コース内容は学部での専攻に直結したものがメインです。例えば、ビジネス、エンジニアリング、アートなど、さまざまな分野に特化したコースがあり、大学進学後に必要な知識とスキルを身につけることができます。
オーストラリアのファウンデーションコース
オーストラリアのファウンデーションコースも留学生にとても人気があります。イギリスと同様に学部に直結したカリキュラムが組まれています。
特に、医学、看護、工学、ビジネスなど、専門的な分野に焦点を当てたコースが多く、進学後に備えることができます。
その他の国のファウンデーションコース
イギリスやオーストラリア以外にも、ニュージーランドやアイルランドなどでもファウンデーションコースが開講されています。これらのコースも基本的にはイギリスやオーストラリアと同じように大学入学後の基礎固めと英語力向上を目指したものになっています。
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ファウンデーションコースへの入学条件
ファウンデーションコースへの入学には、いくつかの条件があります。主な入学条件を説明しますので、ぜひ参考にしてください。
学歴と成績
ファウンデーションコースへの入学には、高校卒業またはそれと同等の資格が必要です。
また、コースによっては、特定の科目で一定以上の成績を収めていることが求められる場合があります。特に、医学系のコースでは、理系科目での高い学力が求められることが多いです。
芸術系大学を目指す人のためのファウンデーションコースでは、作品(ポートフォリオ)提出のための授業が組まれています。一部のファウンデーションコースでは作品提出を義務付けている場合がありますが、基本的には高校時代にポートフォリオ制作の基礎を学んでいない人でもファウンデーションコースに入ってから本格的に学ぶことができます。
英語力
英語力はどこのファウンデーションコースでも提出が求められます。一般的には、IELTSで5.5〜6.0程度のスコアが必要とされます。
また、英語力スコアによって6か月、9か月のコース、12か月、1.5年、といった具合にコース受講期間を複数設けているファウンデーションコースも多いです。
ファウンデーションコース入学のための英語力が足りていない人は、付属の英語コースに通うのがおすすめ。日本からの留学生のほとんどは、高校卒業後すぐに現地の英語コースに入り、それからファウンデーションコースに移行しています。
ファウンデーションコースごとに難易度が異なる
ファウンデーションコース自体にも難易度があります。
たとえば名門大学附属のファウンデーションコースでは高いIELTSスコアや高校時代の優秀な成績が必要です。
一方、高校時代の成績を問わないファウンデーションコースもあります。「高校時代はあまり勉強に熱心じゃなかった」という人はあえてそういったファウンデーションコースを選んでしっかり高い成績をとることで、ランクの高い大学を狙うこともできます!
ファウンデーションコースに関するよくある質問
Q1: ファウンデーションコースはどのくらいの期間ですか?
通常、ファウンデーションコースは1年間のプログラムです。一部のコースでは6ヶ月の短期プログラムや18か月間のロングバージョンも開講しています。
Q2: ファウンデーションコースを修了したら必ず大学に進学できますか?
ファウンデーションコースを特定の成績基準を満たして修了した学生に対して合格を保証している大学もたくさんあります。そのため、もし志望大学が決まっているなら、その大学に有利なファウンデーションコースを選ぶのがおすすめです。
Q3: ファウンデーションコースの費用はどれくらいですか?
ファウンデーションコースの学費は国や大学によって異なりますが、一般的には年間で200万円~300万円程度が相場です。
Q4: ファウンデーションコース中にアルバイトはできますか?
ファウンデーションコース中に学生ビザでアルバイトをすることが許可されている国もあります。
ただし、ファウンデーションコース期間中というのは言ってみれば受験準備と同じこと。ここでの成績によって進学先の大学が決まることになりますし、その大学は一生自分の履歴書に残る学歴となります。
アルバイトでの仕事を通じてスピーキング力やリスニング力を高められる面もありますが、まずはファウンデーションコースでは勉強に集中して、晴れて志望の大学に合格することをおすすめします!
ベストなファウンデーションコースを選ぼう!
この記事ではファウンデーションコースの概要から具体的なカリキュラム内容、入学条件について詳しく解説しました。
クラスでの発言に慣れていない日本人留学生や大学生活特有の英語力に不安がある人にとって、とても優れたシステムといえるファウンデーションコース。ベストなファウンデーションコース選びが、理想の大学進学につながると言っても過言ではありません。
「いろんなファウンデーションコースの中身を見てみたい」
「合格者の体験談なども読んでみたい」
そんな方には各留学会社が発行しているパンフレットや資料をお届けしていますので、気軽に取り寄せてみてください。読みながらご家族でも相談して、イメージを膨らませてみてくださいね!
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