教育の質が高いことで知られるカナダの大学。THE世界大学ランキングでは100位以内に5校がランクインしており(日本は2校)、世界的に高く評価されています。日本からも多くの留学生がカナダの大学に入学し、学んできました。
カナダには公立・私立あわせて223校の大学があります。入学難易度も特色もさまざまです。「研究に力を入れている大学」「就職に強い大学」「環境学に強い大学」「留学生の受け入れを重視する大学」といった具合に、自分のやりたいことに合わせた大学を選ぶことができます。
また、カナダ大学留学の大きなメリットは「現地就職」が有利なことです。カナダの大学を卒業するとカナダに残って仕事ができるシステムがあり、海外で働きたい人にとってはぜひチェックしておきたい特徴です。
ここではカナダの大学留学に興味がある人のために、カナダの大学の特徴や学期スケジュール、留学の仕組みをわかりやすくご紹介します。
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カナダの大学の特徴
▲ブリティッシュコロンビア大学
大学の種類
カナダには次の3種類の高等教育機関があります。高校を卒業すると下記のいずれかの学校に進むことができます。
- カレッジ(二年制大学)
- ユニバーシティ(四年制大学)
- 専門学校(期間はさまざま。私立がほとんど。専門学校も多くの場合カレッジと呼ばれる)
このページでは主にユニバーシティ(四年制大学)について解説します。
二年制のカレッジについて知りたい方は「カナダカレッジ進学留学→現地就職したい人必見。カナダ公立カレッジ留学ガイド 」や「コミュニティカレッジに入るには?難易度や入学条件、留学までの流れや費用まで徹底解説!」で解説しています。また、日本人留学生に人気のカレッジ「アレクサンダー・カレッジ」の留学ガイドもあります。ぜひ参考にしてください。 |
四年制大学は日本と似た制度
カナダの四年制大学は、ざっくりいうと日本とほぼ似たような仕組みです。学部や専攻の自由度はやや異なりますが、一部の大学を除き、次のような類似点があります。
- 高校卒業資格があれば受験資格が得られる
- 1~2年次は一般教養課程、3~4年次は専門課程(私立では大学の方針による例外あり)
- 卒業すると学士号の学位を取得できる
- 卒業すると大学院への受験資格が得られる
学期と入学時期
カナダの大学では1年間が3つの学期に分かれています。
- 秋学期(8月末・9月初旬~12,1月)
- 春学期(1月~4月)
- 夏学期(4,5月~7月)
留学生の入学時期として一般的なのは秋学期と春学期です。多くの留学生は秋学期や春学期での入学時期からさかのぼって、語学準備期間や出願準備期間のスケジュールを立てます。
公立大学と私立大学の特徴
カナダの大学は公立(州立)と私立に分かれています。
州立大学
州立大学は、州政府(または準州政府や連邦政府)から資金援助を受けて運営しています。そのため私立大学と比べればおおむね学費は安めです。地元州民と留学生では学費の設定が異なり、留学生は州民よりも高い学費となります。
私立大学
私立大学は通常、州政府などから資金援助を受けていません。学生からの授業料のほか、卒業生からの寄付や教員の研究助成金などで運営しています。地元学生と留学生の学費差はありません。
教育の質は州が管轄
カナダでは国ではなく各州が大学教育に対して責任や基準を定めています。各州とも教育水準を高く維持するために大学には厳しい基準を課しています。
カナダの大学授業ってどんな感じ?
▲サイモンフレーザー大学
先生やスタッフと交流が密
日本とくらべると学生と先生の距離は近い傾向があります。授業内での質問は歓迎されますし、授業時間外でも先生の勤務時間内であればしっかり質問をすることができます。
教員と学生の比率は大学ランキングの指標のひとつにもなっており、多くの大学は一人の教師にたいして何人の学生がいるかを公表しています。
授業の進め方
カナダの大学では、大講義と小クラス、そしてチュートリアルという3本立てでコースが進められます。講義での内容をもとにティーチングアシスタントとディスカッションを行って学びを深めたり、疑問点を解消したりしていきます。
多文化と共生社会
カナダでは多文化主義が非常に重要視されています。いろんな背景を持つ学生と一緒に学ぶだけでなく、世界各国から集まった教授陣から学ぶことができます。
カナダの多文化主義は国策です。国のアイデンティティーとも言えます。カナダで学ぶ留学生はさまざまな伝統や考え方、生活様式を経験し、自然に多様性を受け入れていきます。新参者を受け入れ、歓迎するという風土でもあり、留学生がなじみやすい土地柄でもあります。
バイリンガルの大学
バイリンガル国家であるカナダでは公用語は英語とフランス語です。カナダの一部の地域では英語とフランス語が使われています。
そのためカナダにはバイリンガルの大学もあります。そのような大学では英語を勉強したのち第二言語としてフランス語を勉強することができます。
例えばオタワ大学では学生にフランス語の上達を積極的に奨励しています。学生同士がペアになって英語を30分、フランス語を30分話せるようなセンターも備わっています。
カナダのフランス語圏については「カナダのフランス語圏について!留学でのメリット、デメリットを解説」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
インターンシップ(コーププログラム)
インターンシップと学業を組み合わせた「Co-opプログラム」はカナダの大学の大きな特長です。
Co-opプログラムでは、たとえば1学期は勉強、1学期は有給インターン、といった具合にカリキュラムが組まれます。学生時代に実践トレーニングを積むことで就職活動が有利になるほか、自分に合う職業選びにも役立ちます。
また、業種や地域にもよりますが、学生は1学期あたり4,000~6,000ドル程度の収入を得られます。留学費用を抑えることにつながるため、他国への大学留学と大きく異なるメリットとなっています。
留学生サポート
カナダの大学は留学生の受け入れを積極的にすすめています。そのためどの大学でも留学生センターが設置されていて、メンター制度や住居、カウンセリング、付属の語学研修機関などさまざまな留学生サポートを充実させています。
学費
カナダの大学では、おおよそ年間20,000ドルから125,000ドルの学費が必要となります。かなり開きがあるのは日本と同じように医歯薬系学部では学費が高く、年間100,000ドルを超える授業料がかかるからです。
人口の少ない山間部の大学や設立年度の新しい大学などは比較的安めの学費設定となっています。一方で世界大学ランキングのトップランク校は州立大学であっても学費は決して安くありません。
地域による生活費の違い
都市部と地方では生活費の差があります。
特にオンタリオ州とブリティッシュコロンビア州はカナダで最も物価の高い州です。なかでも、トロントとバンクーバーはカナダで最も物価の高い2大都市です。
一方、最も物価の安い州として知られるのは、ニューブランズウィック州・ニューファンドランド&ラブラドル州・ケベック州などがあります。
生活費は留学先を決める重要なポイントではありますが、大学生活は長い期間です。自分の性格や趣味/嗜好、生活スタイルはそれ以上に大切です。
都市部であっても、住居をシェアしたり自炊をしたり、様々な工夫で生活費を抑えることもできます。
カナダの物価については「カナダの物価はどれくらい?留学前に知っておきたいカナダのこと」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
留学後の就労ビザ
カナダにはポスト・グラデュエイション・ワーク・パーミット(Post Graduation Work Permit)という卒業後の就労ビザがあります。大学卒業後にそのままカナダに残って働くことができます。
滞在できる期間は、受講したコースの期間によって異なります。
せっかく海外の大学を卒業したのだから海外で働きたいと思っても、留学生が就労ビザを取得するのは難しい国のほうが一般的です。留学生にとって、大きな特長のひとつと言えるでしょう。
ケベック州は独自の教育システムを持つ
フランス語圏であるケベック州は、教育制度や教育機関の呼び方が他の州と異なる場合があります。
ケベック州の「カレッジ」とは2年間の大学入学前のプログラム(または3年間の専門プログラム)のことを指します。フランス語では「セジェップ(Cégep)」と呼ばれます。その後、通常3年間の大学学部課程に進みます。
カナダでの留学生活
▲トロント大学
雄大な自然を満喫する
美しい風景で知られるカナダには、雄大な山々、青く輝く湖、広大な原生林があります。息を呑むような絶景や美しい散策を存分に楽しめます。
ハイキング、スキー、カヌーなど、さまざまなアウトドア・アクティビティを楽しんだり、ホエールウォッチング、オーロラ鑑賞、ナイアガラの滝なども欠かせませんね。
足を延ばさなくても、カナダの大学の多くは自然に囲まれています。キャンパスの周りを歩くだけでも美しい風景に出会えます。
変化に富んだ気候
カナダはロシアに次いで世界第2位という広大な国土を持っています。雪が降り積もり、凍てつくような気候の地域もあれば、春夏秋冬の四季がはっきりしているところもあります。
「カナダの気温はどれくらい?気温や気候と注意点をご紹介します」のページでも詳しく解説していますので、自分に適した地域選びも重要なポイントです。
生活の質の高さ
カナダは犯罪率が低く、比較的治安の安定した国のひとつです。ベターライフ・インデックスでは、カナダは10点満点中9.1点の安全性を獲得しています。
また、バンクーバー・トロント・カルガリーなどは「世界の住みやすさ指数」でトップ10に入る街です。健康・経済・医療などさまざまな面で世界平均を上回っており、暮らしやすい環境が整っています。
勉強量は多い
カナダの大学生は学生時代は真剣に勉強をします。将来のために学ぶ場が大学だと知っているからです。
テストや課題、ワークショップも少なくありません。英語を母国語としない留学生にとってはそのぶん予習復習も必要です。
大学で真剣に勉強する気がある人でなければ、カナダの大学に入ることはできても授業についていくのは難しいです。
しかし、本来大学とはそういうものです。逆に言えば、学ぶ気がある人にはカナダの大学は手を差し伸べる用意がしっかりあります。教授、メンター、チューターによるサポートのほか、クラスメート同士が協力し合うこともたくさんあります。
厳しさを乗り越えて刺激的に学ぶ四年間と、勉強以外を重視する四年間。どちらがいいか悪いかではなく、卒業する時にどのような自分になっていたいかをイメージしてみてはいかがでしょうか。
それらすべてを含めてカナダで大学生活を満喫したいと思っている人には、かけがえのない四年間になるでしょう。
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カナダの大学への留学方法
▲ダルハウジー大学
四年制大学に直接出願
カナダの四年制大学入試は日本と異なり、一発試験ではありません。基本的には書類提出となります。
全ての大学で最終学歴(高校)の成績と英語力テストの証明書が必要です。大学や学部によっては推薦状や追加のテスト、あるいは作品提出などがあります。
語学学校から四年制大学へ
カナダの大学入学に必要な英語力はTOEFL iBTで88以上、IELTSで6.5以上必要とされるのが一般的です。大学によってはもっと高いスコアを要求されます。
日本にいながらこのスコアをクリアするのは、なかなか難しい面があります。そこで、多くの日本人留学生は四年制大学に進学する前にカナダの語学学校へ語学留学します。
ほとんどの大学が付属の語学学校を持っているか、または民間の語学学校と提携しています。大学によっては、これらの語学学校で上級クラスを卒業すればTOEFLやIELTS免除で出願できることもあります。
行きたい大学が決まったら、付属(または提携)の語学学校も必ずチェックしておきたいですね。
語学学校には進学担当のスタッフもいます。語学力をアップさせながら進学担当者と相談し、現地からいくつかの大学に出願できます。大学を直接訪れたり、大学周辺の環境をチェックしたりしながら大学選びができるのもメリットです。
条件付き入学
条件付き入学とは、英語力以外は合格ラインに達している人にもらえる「仮合格制度」のことです。英語力が上がった時点で正式合格となります。
条件付き入学制度では、英語力が上がるまで大学が指定する語学学校に通う必要があります。
簡単な流れを例で示すと、次のようになります。
- 成績基準はクリアしているけれどTOEFLスコアがあと少し足りない高校3年生が、高校在学中に出願
- 大学から「4月から大学付属語学学校で英語力を磨いてくださいね」という条件のもと仮合格が届く
- 3月に高校を卒業してカナダへ出発、4月から語学学校へ通う
- 7月頃に英語力が基準に達したので9月の秋学期から大学に正式入学
日本を出発する前に仮合格までを手にしているので、あとは英語力を磨くことに集中すればよいという安心感があります。
ただし、カナダのすべての大学が条件付き入学制度を持っているわけではありません。「条件付き入学とは?英語力が足りない留学生でも大学の合格をもらえる内定制度を活用しよう!」のページでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
語学学校→カレッジ→四年制大学へ編入
カナダの四年制大学に行くには、必ずしも1年生から入学する必要はありません。二年制のカレッジを経由して、四年制大学の3年生に編入するという方法もあります。
編入は留学生だけでなくカナダ人学生も活用しているポピュラーな進学方法です。とりわけ留学生には大きなメリットのあるシステムです。
留学生にとってのメリットは次のようなものがあります。
- カレッジは四年制大学よりも入学難易度が低く、早く入学できる
- カレッジの学費は四年制大学よりも安い
- カレッジは規模が小さく、授業に慣れ親しみやすい
- カレッジには大学編入プログラムがあり、特に地元大学への編入に有利
早めに大学生活をスタートできれば、そのぶん留学費用も抑えられます。ぜひ上手に活用してください。
▼「アレクサンダーカレッジ」は日本人にも人気
日本の大学/短大→カナダの四年制大学へ編入
日本とカナダの教育システムが似ていることを冒頭でお伝えしました。そのため、日本の大学や短期大学で2年生までを修了した人はカナダ大学の2年次または3年次への編入が可能です。
カナダ大学の何年次に入れるかは、日本の大学で取得した科目が振替単位としてどの程度まで認められるかによって決まります。
カナダの大学の選び方
▲ロイヤルローズ大学
専攻
カナダの大学で学べる専攻分野は多岐に渡ります。特に学生数2万人を超えるような大規模大学では、高い確率でやりたいことが見つかるでしょう。
当サイトでもカナダの大学を次々に更新して紹介していますので、行きたい学部があるかどうかチェックしてみてください。
ランキング
大学のランキングで選ぶのもひとつの方法です。カナダには世界大学ランキング上位に食い込むような名門大学もたくさんあります。「カナダ大学ランキング【2022年版】学生や社会の評判、科目別など5種類のランキングをご紹介 」を参考にしてください。
場所
記事内でも触れたとおり、広大なカナダでは地域によって学生生活が大きく異なります。
大学四年間を過ごす重要なポイントです。気候・物価・生活スタイルを考慮しながら、自分に合う立地を検討していきましょう。
カナダの大学へ行って有意義な留学生活を送ろう
カナダは多文化社会で、留学生の受け入れに積極的な国です。大学でも留学生サポートが充実していて、メンタリング制度やカウンセラー、語学サポートなどさまざまなサービスを行っています。
治安の安定度や暮らしやすさも定評があります。海外で働きたい人にとっては、大学卒業後に取得できるポスト・グラデュエーション就労ビザも魅力のひとつでしょう。
地域によって、気候や物価などが異なります。ぜひ、自分に合った大学選びをして、充実した学生ライフを楽しんでください!
(留学プレス編集部)