ホーエンハイム大学 (Universität Hohenheim) を現役留学生が解説します!【世界の大学レポート】

海外大学・大学院留学に興味がある方のために、留学生記者が自分の学校をレポートする『世界の大学レポート』。今日はドイツのホーエンハイム大学に留学しているカトウソウタさんのレポートをお届けします。

ホーエンハイム大学(独語:Universtät Hohenheim)は1818年に設立された農業アカデミーに由来する大学であり、ドイツ内の農業分野でトップに位置している名門大学です*1。キャンパスはドイツの南西部バーデン・ヴュルテンベルク州の中心地であるシュトゥットガルトに位置しています。

ホーエンハイム大学はドイツ語だけでなく英語で受けられるコース・授業が充実しており、英語のコースでは約半数以上が留学生と非常に国際的です!これからドイツに留学したいという方に是非オススメの大学です。

今回は私の留学先であるホーエンハイム大学の魅力と、大学のあるシュトゥットガルトについて詳しくご紹介します!

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ホーエンハイム大学の基本情報

ホーエンハイム大学は1818年に設立された農業アカデミーに由来する大学です。大学の背景にはヨーロッパ史上最悪と言われる飢饉があり、国による自然科学の教育と研究を目的に設立されました。今もその伝統を受け継ぎ、ドイツのランキングでは1位、世界のランキングでは18位と世界的に評価されている大学です。

ホーエンハイム大学ランキング
ホーエンハイム大学のランキング
*1 QS World University Rankings, Agriculture & Forestry

校舎はカール・オイゲン公爵の別荘であるホーエンハイム宮殿が開校当時から使用されています。

ホーエンハイム宮殿
ホーエンハイム宮殿 (撮影: カトウソウタ) 

宮殿内にはシャンデリアのあるダンスホール、青く装飾された美しい会議室、豪華なバルコニールームと映画に出てくる建物のようです。また、宮殿の前には広大な庭園が広がっています。

ホーエンハイム庭園
ホーエンハイム庭園 (撮影: カトウソウタ)

ホーエンハイム大学の入学基準

学部課程

学部課程では開講しているコースはドイツ語で行われます。また、出願方法もドイツ式 (Uni-assist) になっており、留学生は非常に少ないです。

学部で出願する場合、提出する書類は次の通りです。

  1. 大学入学資格(HZB)
  2. 高校卒業証明書
  3. ドイツ語 (ゲーテ語学証明書) B2以上
  4. オリエンテーションテストの受験

修士課程

一方、修士課程では英語で学べるコースが充実しています。出願方法も海外からの出願を考慮したものになっています。

英語で学べるコースの場合IELTSなどの英語検定で一定以上のスコアを取る必要があります。

  • IELTS 6.5以上
  • TOEFL® iBT 90以上
  • TOEFL® PBT 577以上
  • ケンブリッジ英検 C1以上

※出願するコースによって若干点数が異なります。

提出する書類は次の通りです。

  1. 高校の卒業証書
  2. 大学の卒業証書
  3. 大学の成績証明書
  4. 英語のスコア (IELTS, TOEFL®, ケンブリッジ英語検定など)
  5. ドイツ語のスコア (英語で開かれるコースでも必要な場合がある)
  6. 志望動機書
  7. 推薦書 (1~2枚)
  8. CV (履歴書)
  9. 2年以上の職業訓練や農業インターンの経験の証明書 (就労証明書)
  10. 3か月以上の海外での研究または職業経験の証明書

⑨と⑩は経歴がある出願者だけが提出します。

提出する書類にはそれぞれ点が振られており、合計点で他の出願者と競います。ホーエンハイム大学ではそれぞれの配点が公表されています。

書類Max
GPA50点
志望動機書25点
就労証明書10点
海外での研究または職業経験15点

推薦書には直接点は振られていませんが、GPAが低かったり就労経験が無いなどで点数が下がってしまった際の補助になると合格審査委員会の方に伺いました。

ホーエンハイム大学の年間の留学費用

ドイツは世界的にも学費が安いことで知られています。ホーエンハイム大学のあるバーデン・ヴュルテンベルク州は1セメスター (半年) あたり1,500€ (約19万円) です。また、学生自治会費、管理費、学生団体費などの費用が合計で1万円ほど追加されます。

生活費も比較的安めです。

シュトゥットガルトの場合

家賃 (光熱費込) 300€ (約40,000円)
食費200€ (約20,000円)
教材費基本的には0€ (※教師が教科書のpdfを配布)
健康保険料 100€ (約12,000円)
合計80,000円/月

学生寮の場合、家賃はもう少し安くなります。

ミュンヘン工科大学などがあるバイエルン州では1セメスターあたり144.40€ (約18,000円) と格安ですが、家賃などの生活費がとても高いため、合計では大きく変わりません。

英語で学べる修士課程

私の所属するCrop Sciences (作物科学科) を含め、ホーエンハイム大学には英語で学べる学科が沢山あります。

農学部の場合

  • Agricultural Economics (農業経済学)
  • Agricultural Sciences in the Tropics and Subtropics (熱帯・亜熱帯農学)
  • Crop Sciences (作物科学)
  • Landscape Ecology (景観生態学)
  • Organic Agriculture and Food Systems (有機農業と食品システム)

などのコースが英語で学べます。

ホーエンハイム大学:英語だけで学べるコースの一覧

コースの名前をクリックするとカリキュラムの内容から詳しい出願方法のページが開きます。是非興味のあるコースを色々調べてみてください。

(英語で授業が行われるコースでも、ドイツ語の資格が応募条件にある場合があるので要注意です。)

工業と自然の街 シュトゥットガルト

大学がキャンパスを構えるシュトゥットガルトは、ドイツでも指折りの大都市です。ポルシェとメルセデス・ベンツが本社を構えており、ドイツを代表する工業都市としても知られています。

その一方で、黒い森 (独語: Schwarzwald) の近くに位置するため、伝統工芸と豊かな自然の顔も持ち合わせています。

ホーエンハイム近代化された旧市街
近代化された旧市街 (撮影: カトウソウタ) 
ホーエンハイム市庁舎前
市庁舎前 (撮影: カトウソウタ)

SONYやRICOH、Nidecなどの日本企業の支社があるため、比較的多くの日本人が駐在しています。そのため、シュトゥットガルトには大きな日本人会があり、定期的に懇親会が開かれています。

シュトゥットガルト日本人会
http://www.japan-club-stuttgart.de/jp/

観光では、東に行けばエスリンゲン (Esslingen)、南に行けば黒い森 (Schwarzwald)、西に行けばストラスブール (Strasbourg) と名だたる観光地が軒を連ねています。

さらにシュトゥットガルト空港からはEU各国のLCC (格安航空) の便が飛んでいるため、ドイツ国内は勿論のこと、とても安く海外旅行に行けることも魅力です。

大学の授業スタイル

実は、ドイツの大学の授業スタイルは日本とそこまで変わりません。強いて言うなら、課題の回数と量が比較的多いです。つまり、期末試験にそこまで重きが置かれておらず、課題を普段からきちんとこなしていれば単位を取ることは難しくありません。

しかし、日本の一般的な大学と比べて授業内容が高度であるため、予習復習にとても時間がかかります。大変ではありますが、その分得られる知識や技術も多いです。

シュトゥットガルトでの生活

大学のキャンパスは市内からやや離れていますが、バスや地下鉄など公共交通機関が非常に発達しているので不便しません。さらに、大学の周辺は比較的安価なアパートが多く、大きな都市でありながらミュンヘンなどと比べて生活費を半額近く抑えることが出来ます。

大学周辺にはスーパーや郵便局、薬局など生活に欠かせないお店も充実しています。市内にはGoAsiaを始めとする大型のアジア食材店や喜長などの本格和食レストランがあり、日本食が恋しくなっても大丈夫です!

言語の面では、大都市ということもあって英語が通じやすいです。市役所や外国人局、はたまたスーパーの店員さんまで流暢な英語を話されます。

ホーエンハイム大学は日本ではまだまだ知名度がありません。しかし、カリキュラムから、シュトゥットガルトの街まで含めて、とっても魅力的な大学です。農学や経済学で留学を考えている方には、是非検討リストに入れて頂きたいです!

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ホーエンハイム宮殿
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