アメリカの音大ってこんなところ!【入試編】

翻訳業は基本、在宅なので家にいることが多いのだが、この2か月間は企業研修の英語講座を受け持っていたため、いつもより外に出て人と話をする機会が多かった。

授業の中でひょんなことからアメリカの大学進学について聞かれたことがあった。自分はそれしか経験がないので、普通のこととしてとらえていたのだが、口に出してみると意外に珍しいことだったかもしれないと気がついた。

そこで今日はアメリカの大学 進学がどんなだったかについて書いてみようと思う。大学とひと口に言っても、私の場合は専攻がバイオリン・パフォーマンス、つまり音大進学である。そして今回は最初の最初、入試編だ。

アメリカの音大に行くことになったきっかけ

私は7歳の頃からバイオリンを習っていたが、ピアノは黄色のバイエルぐらいまでしかやっておらず、日本の音大受験は、はなから考えていなかった。(日本の音大受験には通常、ピアノの実技が必要。)外国語と日本語が好きだったので、大学はそういう分野に強い所に行きたいと思っていた。

ところが高校で1年間のアメリカ交換留学中に高校のオーケストラのクラスから、選抜で州のオーケストラメンバーに選ばれるという幸運に恵まれた。その時から州内の音楽大学から入学案内の資料が送られてくるようになった。

そしてアメリカの音大受験にはピアノは必要でないことが判明。もともとアメリカにもっといたいと思っていた所に、これまでやってきたバイオリンのおかげで現地での大学進学が可能かもしれないとわかり、わくわくしたのを覚えている。

Violin by Alice Carrier
写真提供:“Violin ” by Alice Carrier

大学選び

当時、アメリカではすでにEメールがそこそこ普及していたので、連絡を取るのはそこまで大変ではなかったように思う。大学によっては返事が早いところ、遅いところと様々で、また、同じ音大でも力を入れている分野や楽器、アンサンブルなどが違う。最終的に選んだ大学に落ち着いた理由は、そこが弦楽に力を入れていたこと、それと、電話をかけて一番感じが良かったこと、だ。

私が行ったアメリカの大学

私が行った大学は、敷地約5.6キロ平方メートル、在籍生徒数は2万人を超えるマンモス校。総合大学なので、Universityの下、College of Art & Science、College of Business、College of Education…などなどたくさんのカレッジがあり、College of Fine Arts & Communicationの下にSchool of Musicという私が卒業した音大が入っている。

アメリカでは、大学名で選ぶのでなければ、普通は自分が学びたい教授がいる大学を選ぶ。私の在学中にもわざわざカリフォルニア州から、教授の1人に習いたくて入学してくる大学院生もいた。

出願から入学まで

私の場合には決めていた教授がいたわけではなかったが、自分で選んだ音大のバイオリンの教授、また、大学の留学生受け入れ窓口の人と、出願から入学について、直接のメールのやり取りを続けていくことになった。

音大に入るには、大学入学と音大入学の二つをクリアしなくてはならない。大学への入学、つまり大学在籍資格を得るには留学生の場合にはTOEFL550点、高校の成績表、銀行口座残高、健康診断書などなど、どこのアメリカの大学を受けるにしても必要となる書類の提出が必要だった。そこに、音大入学には、オーディションテープの提出、入学出願書にあたる書類などの提出が必要だった。それから実際に行ってから、楽典の筆記試験もあったことを記憶している。

オーディションは、いわゆる実技試験だが、遠方から入学を希望する場合は、これから専攻にしようとする楽器の演奏を録音したものを送る。私の時代はまだカセットテープの時代だったので、普通にオーディションテープと呼ばれていたが、今でもこの表現は使われているらしい。

曲目は基本的には自由で、バイオリンの場合は、タイプの違う楽曲を2曲(小曲、または協奏曲などのうちのどれか1楽章)と、KreutzerやDontなどの教本から1曲だった。

Cassette Tape by Rolf Venema
写真提供:“Cassette Tape ” by Rolf Venema

私の場合は、音大入学には前出の教授よりOKが出され、奨学生にまで選んでもらえることになったが、大学側に必要なTOEFLの点が少し足りないという状態がしばらく続いていた。渡航予定日が近くなるにつれて、「とりあえず、こっちに来てから授業を受けながらTOEFLを受け続ければいい」ということになり、音大には受かったけど母体の大学には受かっていないという状態が続き、最後ぎりぎりに受けたTOEFLでやっと合格点以上が取れて通常の入学となった。

今になって思うこと

今から海外進学を考えてる学生さん、または子供に海外進学をさせたいと思っている親御さんはこれを読んでみて、随分テキトーに進路を決めたように思われるかもしれない。

私の通っていた高校は私立で、大学へは何校か推薦入学枠があったので、せいぜいそのどこかに行ければいいと思っていた。ただ推薦枠に入るには学内成績が問われるため、試験の点だけは落とさないようにと頑張っていた気がする。ところが途中でアメリカに1年交換留学へ行ってしまい、上記のように大学もさっさと決めてしまったので、大学受験をどうしようかと悩む機会もなかった。

両親は私に、大学には行ってほしいというのはあったようだが、特に強くどこへ行けなどと言ったことはなかったと思う。10年近くも熱心にバイオリンを習わせておきながら、特に音大へ行けと強いたこともなかった。ある意味、娘に任せていたのか何なのか…いつか聞いてみたいと思う。

改めて振り返ってみると、やっぱり随分テキトーかもしれない。でもテキトーとは適当ということ。大辞泉でこの言葉の意味を引くと、1に、「ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。かなっていること。ふさわしいこと」とある。

これは考えようによっては、がちがちに計画を立てなくても、その時の条件・目的・要求に従って物事が自分にあてはまる方向へ動いてくれるかもしれないという希望にはならないだろうか。

次回はアメリカ音大でのカリキュラムについて書こうと思う。お楽しみに!

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