IELTSの難易度は?TOEFL iBTとの比較とセクション別の勉強法

海外留学を目指すときに受験を考える試験は、TOEFL® iBTとIELTSの2つだと思います。かつてはどちらか一方でないと出願できない大学は多かったですが、最近ではどちらのスコアも受け付けている大学が増えています。

そうなると「どちらの試験が自分にあっているか」と迷う方は少なくないと思いますが、両者は似ているようでタイプの異なる試験となっており、学習を始める前にどちらを受けるのか明確にしておく必要があります。

本記事では、TOEFL® iBT(以下、TOEFL)とIELTSの形式や難易度の比較、そしてIELTSに向けた学習方法を紹介していきますので、どちらを受けようか迷っている方はぜひ参考にしてください

IELTSの試験内容・特徴

IELTSはTOEFLと同じく、主に海外留学の出願に使用される試験です。TOEFLは主にアメリカの大学への出願に使用されるのに対し、IELTSはイギリスやオーストラリアの大学で使用されています。

IELTSのスコアは、最低点数の1.0から最高点数の9.0まで0.5刻みとなっています。TOEFLよりもスコアの刻み幅が広く、一つ上のスコアに到達するまでにより時間がかかるのも一つの特徴です。

また、IELTSとTOEFLは試験内容の面でも大きく異なります。たとえばIELTSの場合、リーディングやリスニングでもスペリングが問われるほか、スピーキングは試験官との対面実施です。ライティングのTask1と呼ばれる問題も、図表を言葉で描写していくもので、ほかの英語試験にはあまりない問題形式となっています。

IELTSとTOEFLの難易度を比較

IELTSとTOEFLを比較した際、IELTSの方が目標スコアの達成は難しいといわれます。理由の一つは、上でも少し触れましたが、スコアの刻み幅です。

TOEFLは1点刻みで算出されるのに対し、IELTSは0.5刻みです。したがって、IELTSの方がTOEFLに比べると一段上のスコアが遠くなってしまいます。たとえば、下記の文部科学省作成のスコア対照表を参考にすると、TOEFLの94点がCEFR(国際的な英語力評価基準)で言うところのB2で、それが95点になるとC1になります。一方でIELTSではB2は6.5でC1は7.0です。

(出典: 文部科学省)

IELTSでスコアを0.5上げることと、TOEFLで一点上げることにかかる労力はかなり差があるので、IELTSの方がスコアを出しにくいということです。

次に両テストの4技能における難易度の比較を見ていきます。(★が多い方が難易度が高い)

TOEFLIELTS
リスニング★★★★★★★★★☆
リーディング★★★☆☆★★★★☆
スピーキング★★★☆☆★★★★☆
ライティング★★☆☆☆★★★★★

リスニング(TOEFL ★★★★★/ IELTS ★★★★☆)

TOEFLでは、リスニングの難易度がもっとも高くなっています。理由は、事前に問題を見られないためです。音声が流れている間、メモをとることはできますが、どのような問題が出るかはわかりません。そのため、音声中のどこに解答が含まれているかがわからず、音声にずっと意識を集中していなければいけません。リスニング力はもちろん、記憶力も試されます。

一方、IELTSは音声が再生される前に問題を見ることができ、あらかじめ音声の内容や、空所補充問題で必要なワードを予想することができます。音声の流れと問題の番号が対応しているため、話の流れをつかみやすい点も特徴です。

リーディング(TOEFL ★★★☆☆/ IELTS ★★★★☆)

リーディングは、IELTSの方が若干難しい傾向です。理由は、問題の出し方にあります。TOEFLでは、パッセージ内のどの部分から出題しているかをピンポイントで指摘してくれる問題が多く、該当箇所だけを読めれば正答を導き出すことができます。

一方、IELTSでは、パッセージ内のどの部分に正解が含まれているかを自分で見つけ出さなければいけません。一つのパッセージが長いこともあり、該当箇所が見つからないまま時間だけが過ぎていくことも少なくありません。

また、IELTS特有の問題として「True (Yes)/False (No)/ Not Given問題」があります。これは問題文と本文の内容を照らし合わせるタイプの設問で「合っている or 間違っている」だけではなく、Not Given(書いていない)も選択肢に含まれます。そのため、TOEFLに出てくるような、通常の正誤問題よりも難易度が高いです。

スピーキング(TOEFL ★★★☆☆/ IELTS ★★★★☆)

スピーキングもIELTSの方が難しめです。理由は、求められるスキルの違いにあります。

TOEFLのスピーキングは全4問ですが、うち3問がIntegratedと呼ばれるタイプです。これはパッセージを読み、そのあとに聞くリスニングの内容を要約して話す問題です。そのため、自身でアイディアを考えて英語で主張していくというような作業は必要ありません。

一方、IELTSのスピーキングでは、基本的に「あなたはどう思いますか?」や「あなたの国の人はこれについてどう考えていますか?」と尋ねられるため、自分でアイディアを出して回答する必要があります。

それぞれまったく別のスキルが求められますが、IELTSの場合は英語力だけではなく、アイディアが浮かばなくて解答ができないこともあるため、その分難易度が高くなっています。

ライティング(TOEFL ★★☆☆☆/ IELTS ★★★★★

ライティングは、IELTSの方が圧倒的に難しいです。理由は、求められる表現の幅広さや出題内容にあります。

TOEFLのライティングでは、決まりきったセットフレーズや型を使用できるため、自分でつくるセンテンスの量は指定語数よりも少なくなります。また、そこまでフォーマルな形で書かずとも点数につながるため、細かい形式にこだわる必要はありません。

一方、IELTSのライティングは、もっとも難易度の高いセクションです。Task1とTask2の2つがあり、Task1ではグラフや図を英語で描写します。日常的にあまり使わない表現も必要とされるため、難易度は高めです。

また、グラフや図を描写する際にはポイントを絞っていくのですが、そのポイントをつかむのが独学ではなかなか難しい点も受験者を悩ませています。なお、ポイントがつかめていないと、ネイティブであっても7.0以上のスコアは出にくいです。

さらにTask2では、スピーキングと同様、アイディアを自分で出して主張しなければいけません。とくに、高校生をはじめとする若年層の受験者は、解答に困るような問題が出てくることも少なくありません。

そのほかに、IELTSではアカデミックライティングが求められる点も特徴的です。アカデミックライティングとは、学術的な文章にふさわしい書き方のことで、フォーマルな文章になります。

IELTSとTOEFLは難易度以外にも違いがある?

IELTSとTOEFLの違いは、難易度だけではありません。発音やアクセント、試験形式の点でもいくつかの違いがあります。以下では、それぞれの違いについて紹介します。

イギリス英語とアメリカ英語

TOEFLはアメリカ英語、IELTSはイギリス英語がメインとなっています。ライティングやスピーキングにおいては、受験者のアクセントやスペリングがアメリカ式でもイギリス式でも点数に影響はありませんが、リスニングでは理解度に大きく影響を与えます。

一般的なテキストはアメリカ英語で作成されているため、IELTSを受ける場合は必ずイギリス英語の発音に慣れておく必要があります。

TOEFLは試験開始が先着順

TOEFLは試験会場に到着して、受付が済んだ人から順番にパソコンがあるブースに案内されて試験を始めていきます。そのため、受付のタイミングによってはほかの人がスピーキングをしている間にリスニングをしたり、周りがスピーキングをする中でライティングをしたりしなければいけません。

一方、IELTSは一斉に試験が始まり、一斉に終わるため、このようなことは起こらず各技能に集中して取り組むことができます。

PC受験とペーパー受験

TOEFL iBTはパソコン受験のみですが、IELTSはパソコン受験とペーパー受験を選ぶことができます。パソコンの操作が苦手な方はペーパー受験を選択することができる点はIELTSを選択するメリットの一つです。

ただIELTSの場合、パソコンで受験するとライティングでコピー&ペーストができたり、リーディングで文章に黄色くハイライトを付けたりできるため、パソコンならではのメリットも捨てがたいです。

事前に下記リンクのようなサイトでIELTSのPC受験がどのような形式や操作感なのかを試してから受験形式を決めるとよいでしょう。

(IDP:https://ielts.idp.com/uae/prepare/ielts-test-preparation-material/computer-delivered)

IELTSの難易度が高い理由

一般的にIELTSの難易度はTOEFLと比べて高いといわれています。しかし、IELTSの難易度が高いのはなぜなのでしょうか。以下では、IELTSの難易度が高い理由について解説します。

スペルが重要

ライティングにおいてスペリングが重要なのはもちろん、IELTSではリスニングとリーディングにおいても空所補充の問題があり、スペリングの正確さが問われます。そのため、日頃から単語を覚えるときにスペルをしっかりとインプットしたり、発音からスペルを予想したりするような学習が不可欠です。

リーディングのトピックが幅広い

TOEFLのリーディングでは、英語圏の高校や大学の授業を想定したアカデミックな内容が出題されます。一方、IELTSはより一般的な読者に向けた内容が多くなっています。ときには、哲学やビジネス、社会学など、日本語でも難しいようなトピックも含まれます。

スピーキングが対人

TOEFLのスピーキングはパソコンに向かって話す録音形式であるのに対し、IELTSは実際に試験官と会話します。対面のスピーキングをメリットと感じる方もいますが、ネイティブと英語で話すことに緊張してしまう方も少なくありません。なお、IELTSのパソコン受験では、画面越しに試験官と対話します。英語力だけでなく、コミュニケーション力や対応力が問われる点も難しさの理由です。

【セクション別】IELTS対策のおすすめ勉強法

IELTSの学習を進める上で重要なのは、試験の特性に沿った方法で学習をすることです。以下では、4技能それぞれの最適な学習法について解説します。

リーディング

リーディングでは、「解答の該当箇所を明確にすること」が重要です。学習の際は、正誤だけでなく、パッセージ内の根拠も考えてみましょう。なお、解説を読んで確認するのではなく、まずは自分で解答の根拠を探してみてください。

本文で該当箇所が見つかったら、次に「問題文でどのようなパラフレーズ(文章の言い換え)が行われているか」に注目です。IELTSでは、本文と問題文で単語・センテンスがパラフレーズされており、受験者の英語力を測っています。つまり、パラフレーズに気づくことができれば得点につながります。

リスニング

リスニングでは、「ひっかけ問題のチェック」が重要です。IELTSのリスニングでは「ディストラクター」と呼ばれるひっかけの音が登場します。とくに、穴埋め問題では頻繁に登場するため、問題を解いたあとは必ず確認しましょう。

典型的なのは曜日や数字のひっかけです。穴埋め問題は、空所の前後や文脈から空所にどのような単語が入るのかがすぐにわかるようになっています。そのため、曜日や数字が入るべき問題はすぐに見分けがつきますが、答えとなる単語とは別に1つや2つダミーが登場します。

また、スクリプトと問題を照らし合わせるときには、リーディングと同様、パラフレーズの確認も必須です。とくに穴埋め問題は、単語の言い換えに気がつけるかが重要です。空所に入る単語が音声中で言い換えられることはないため、空所の前後のパラフレーズを理解できれば、自然と空所の単語もわかります。

ライティング

ライティングでは、「サンプルエッセイを真似すること」が重要です。ゼロから英文をつくるのは時間がかかる上、初心者はどうしても英文の精度が低くなってしまうため、学習効率もあまりよくありません。

サンプルエッセイを読む際は「どのような表現を用いているのか」に注目すべきです。IELTSは、TOEFLに比べて典型的なテンプレートが活用しづらいものの、定型表現を知っていればある程度時間を節約できます。

とくに、図表を描写することが求められるTask1は、日常会話でなじみのない表現が登場します。Increase(増加する)やdecrease(減少する)はもちろん、level off(横ばいになる)、reach a peak of(最高値を記録する)などの表現をおさえておきましょう。

また、ライティングの学習では添削を受けるのがおすすめです。もし身近に英語ができる方がいなければ、オンライン添削サービスを利用も検討してみてください。(バークレーハウス・ライティング添削講座)

スピーキング

スピーキングでは、「アイディア」「作文」「発音」の3つに分けてトレーニングすることが重要です

「アイディア」は、問題に対して自身の意見をまとめることです。とくに社会性のあるトピックなどは、若年層の受験者にとってハードルが高い問題です。IELTSのスピーキングで出題されやすいトピックは、日頃からネットで調べたり、家族や知人と話し合ったりするのも効果的です。まずは日本語で意見を出せるようになりましょう。

「作文」は、センテンスをつくることです。アイディアを英語で表現するために必要な文法や単語をインプットして、実際にセンテンスをつくるトレーニングが大切です。はじめからスラスラと話すことを目指すのではなく、まずは文章を書きだす練習をしてみてください

「発音」は、個々の単語の発音、センテンス内における発音変化のインプットです。発音については、知識としてのインプットはもちろん、実践練習も非常に重要です。

はじめに知識として発音を知ること、次に正しく発音できることの順に学習していきましょう。たとえば、thinkのthをどのように発音するかを知らない人は、どれだけ練習しても日本語の「し」になってしまいます。まずは英語の発音について、口の形、舌の位置などを知識としておさえます。

実践練習では、単語レベルで一つずつ発音する練習、センテンスレベルで発音する練習の両方が必要です。前者は単語帳、後者はリスニングのスクリプトと音声を使用して練習するのがおすすめです。

ポイントは一人で読んで練習するのではなく、音源を真似て練習することです。自分の発音を録音して教材の音と聴き比べるのも効果的です。

以上が4技能の学習におけるポイントです。各技能のより詳細な学習法を知りたい方はこちらも参考にしてみてください。

(バークレーハウスブログ: https://berkeleyhouse.co.jp/ieltsblog/category/exam/ielts/ )

まとめ

本記事ではTOEFL iBTとIELTSについて比較しました。一般的には「IELTSの方が難しい」といわれていますが、それぞれメリットや個人の相性もあるため、まずは公式問題集でどちらも解いてみることをおすすめします。

また、どちらの試験でも留学に必要な英語力を身につけることはできます。目標に向かって学習を頑張ってください。

バークレーハウス専任講師:古谷 理太
バークレーハウス、No.1 Englishより寄稿)

IELTSとTOEFL iBT、難易度比較とセクション別勉強法
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