休学留学とは?大学生の就職活動に不利?メリット・デメリット、費用を徹底解説!

大学時代に半年から1年間の休学をして海外で学ぶのが『休学留学』。休学留学が人生に与える影響は大きく、将来像を改めて考えるきっかけになったり、まったく違う考え方が生まれたりしています。また、語学力が上がることによって就職活動の幅が広がり、目指すものが変わる場合も。

せっかく休学留学するなら、自分の将来に効くプランを立てたいもの。後悔のない休学留学のためにもしっかり知識をつけておきたいところです。

この記事では休学留学のメリットとデメリット、具体的なスケジュール、実現できる留学の種類と費用、そして就職活動への影響について解説します。ぜひ自分のケースにあてはめてみながら、参考にしてみてくださいね。

休学留学に興味が湧いたら

休学留学のメリット

最初に休学留学で得られる主なメリットをご紹介します。

・新卒として就職活動ができる
・語学力がUPした状態で就職活動ができる
・多様な価値観を吸収できる
・行動力が身につく
・失敗を乗り越える強さが身につく
・自由に留学内容を決めることができる

新卒として就職活動ができる

大学を卒業してしまえば、もう二度と『新卒』での就職活動ができなくなってしまいます。職歴のない人や浅い人にとって中途採用枠での就職活動はかなり不利になるため、留学のために会社を辞めるのは、かなり勇気のいる決断となります。

語学力が上がった状態で就職活動ができる

留学中や帰国直後に語学能力試験(例:TOEIC(r)、TOEFL(r)、英検、仏検、中国語検定 etc.)を受けて高いスコアを取っておけば、履歴書に書いて実績としてアピールすることができます。特に、グローバル展開している企業への就職を希望している人であれば、語学力は大きなサポートになります。

多様な価値観を吸収できる

休学留学を終えた人たちにヒアリングすると「海外の学生は同年代なのにすごく知識があり、社会や世のなかの在り方について深く考えていた。」「すごく勉強する姿に刺激を受けた」「失敗を認めてくれることに勇気をもらった」などの感想が多く聞かれます。これまでに出会ったことのない人たちとの交流が、帰国後の自分に影響を与えていることがわかります。

行動力が身につく

休学留学の期間は半年から、長くても1年間しかありません。限られた時間にどれだけ有意義な体験をするか、おのずと真剣に考えることになります。今までの自分なら「後でいいか…」と後回しにしていたようなことも、その場・その時に決断し、実行する力がつきます。

失敗を乗り越える強さが身につく

留学中に失敗しない人は一人もいません。現地で落ち込んだり悩んだりすることもあるでしょう。そんなとき、周りの人に相談し、助けてもらいながら自力で乗り越える経験を繰り返すことで強いメンタルを手に入れることができます。

特に外資系やグローバル企業では「レジリエンス(困難や逆境に直面したときに、心を保ち状況に合わせて柔軟に生き延びる力)」を重視する傾向にあり、貴重な人材として期待されています。

自由に留学内容を決めることができる

認定留学や大学の交換留学の場合、現地では大学に行くことが義務付けられます。ほかにやりたいことがあっても、大学留学以外は認められません。

一方、休学留学の場合は大学留学以外の選択肢もすべて自由に選ぶことができます。ワーキングホリデーやインターンシップでもいいし、音楽や美術を深めたり、好きなスポーツをやったり、世界を放浪してもよく、すべてが自由です。

休学留学のデメリット

メリットがたくさんある休学留学。一方、デメリットもしっかり理解しておくのがおすすめです。

主に次の3点が挙げられます。

・単位として認められないことがある
・1年卒業が遅れる
・自費留学になる

単位として認められないことがある

休学中にどんな留学をするかによって、現地で得た単位や経験は日本の大学では単位として認められない場合があります。日本の大学の判断によりますので、単位認定を希望する人はあらかじめ相談しておくのがおすすめです。

1年卒業が遅れる

認定留学や大学が主催する交換留学であれば、現地での取得単位は日本の大学の単位として認められるため学年はそのまま進級できますが、休学留学の場合には基本的に1年間多く大学生活を行うことになります。

自費留学になる

大学の交換留学や派遣留学の場合、大学の学費内で留学費用を賄うことができますが、休学留学の場合は自費で行います。そのため、現地での留学費用は自分で貯めるか、親に一時的に借りたりサポートしてもらう必要があります。

休学留学のスケジュール

休学留学のスケジュール

休学留学は、どの学年で行くかがポイントです。ここでは学年別にどんな特徴があるか、その場合の具体的なスケジュールをご紹介します。

休学の届け出はいつ出すの?

多くの場合、休学開始の1~2か月前です。ただし、休学の届け出を出すタイミングは各大学で異なりますので、自分の大学のケースを確認しておきましょう。

大学2年で休学する場合

2年生での休学留学であれば、留学中に自分の価値観が大幅に変わった場合でも帰国後に進路変更をできる時間的余裕があります。休学留学を機に海外大学卒業に路線変更したり、学部を移ったりする人も少なくありません。

留学準備開始スケジュール

休学期間留学準備開始
2年の前期1年の9月頃
2年の後期2年の4月頃
2年の前後期1年の9月頃
2年の後期+3年の前期2年の4月

2年生で休学するメリット・デメリット

メリット・就職活動に響かない
・帰国後にさらに何かチャレンジしたくなったり、学びたくなったときにもじゅうぶんな時間がある
デメリット・大学に入学して半年程度で留学準備を開始しなければならない

大学3年で休学する場合

総合的に考えて3年次での休学留学は一番メリットが多く、デメリットが少ない時期だと言えます。実際、休学留学する学生のほとんどは3年次に実行しています。

留学準備開始スケジュール

休学期間留学準備開始
3年の前期2年の9月頃
3年の後期3年の4月頃
3年の前後期2年の9月頃
3年の後期+4年の前期3年の4月頃

3年生で休学するメリット・デメリット

メリット・何をやりたいか、2年生までじっくり考える時間があり、準備にゆとりがある。
・就職活動にも響かない。
デメリット・デメリットはほぼない。
・強いて言えば2年間かけて仲良くなった友人たちが一学年上になる点が挙げられる。

大学4年で休学する場合

4年次の休学留学の場合は、帰国してすぐに就職活動が始まるのがポイントです。帰国前から企業ホームページや採用サイトなどをチェックするのがおすすめです。

留学準備開始スケジュール

休学期間留学準備開始
4年の前期3年の9月頃
4年の後期4年の4月頃
4年全部3年の9月頃

4年生で休学するメリット・デメリット

メリット・ほとんどの単位を取り終えているケースが多いので、帰国後の単位取得に気を取られずに行ける。
・就職活動では留学経験を臨場感たっぷりにアピールできる。
デメリット・帰国後すぐ就職活動が始まる
・日本の大学での友だちは、帰国したときは卒業している

できる留学の種類と費用

休学留学できる種類と費用

ここでは、1年間休学した場合の留学種類と費用をご紹介します。

語学留学+専門科目

1年間まるまる語学だけを学ぶのもいいですが、せっかくなら自分の興味がある科目も合わせて学べたらいいですよね。「留学中盤から専門科目を学ぶぞ!」という目標があれば、前半は語学学習に集中でき理想的です。

専門科目には、ファッション、ビジネス、環境、メディア、デジタル技術、映画、アートなど様々なものがあります。資格がとれたり修了証が出るプログラムであれば履歴書にも書けるので、ぜひ検討してみてください。

語学留学+専門科目1年間の費用目安

アメリカ300万~350万円
カナダ280万~350万円
イギリス320万~400万円
オーストラリア280万~350万円
ニュージーランド270万~340万円
フランス280万~350万円
ドイツ280万~350万円

大学聴講プログラム

海外の大学で行われている授業に参加するプログラムです。現地学生に交じって授業を受けられるので、リアルな海外大学生としての留学ライフを送ることができます。語学力が心配な場合は『半年間語学+半年間聴講』というパターンもできます。

さまざまな国で大学聴講プログラムが実施されていますが、なかでも利用しやすいのがイギリスの『イヤー・アブロード・プログラム』です。イギリス全土の多くの大学で実施されているほか、語学力に合わせて『週に語学を〇時間+大学授業〇時間』のような柔軟なカリキュラムを持つ大学もあります。

1年間の費用は大学により変動がありますが、おおむね300万円~400万円ほどとなります。

ワーキングホリデー

海外でアルバイトをしながら勉強したり旅行したりできるワーキングホリデー。一番の魅力は、現地で働き報酬を得る経験ができることです。

ワーキングホリデーができる国一覧(2021年4月現在)

英語圏(または英語が日常生活でほぼ通じる国)
オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、シンガポール、香港、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、リトアニア、エストニア、オランダ
英語圏以外
韓国、フランス、ドイツ、台湾、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チリ、チェコ

ワーキングホリデービザの申請タイミングは各国で異なります。イギリスのように競争率が高く抽選制を取っている国もあります。行きたい国が決まっていたら、ぜひ早めに申請締め切りをチェックしましょう。

ワーキングホリデーの費用は、どのような過ごし方をするかで大きく変わります。ここでは、仮に語学学校に3か月ほど通った後、シェアハウスなどに滞在しながらアルバイトをし、バックパッカー格安旅行を楽しんだケースを想定して費用をご紹介します。

ワーキングホリデーの費用目安

カナダ100万~150万円
イギリス180万~250万円
オーストラリア100万~150万円
ニュージーランド90万~150万円
フランス100万~150万円
ドイツ100万~150万円

インターンシップ

1年間すべてインターンシップに参加することもできますし、語学力に不安がある人は語学留学とインターンシップを組み合わせることもできます。

インターンシップ内容は、将来やってみたい仕事や興味のある仕事にチャレンジできるのが一番理想的です。ただし語学力の要件が定められている場合もあるので主催会社に相談してみましょう。

アメリカ270万~350万円
カナダ200万~300万円
イギリス300万~380万円
オーストラリア280万~350万円
ニュージーランド270万~340万円

1年間の有給インターンシップなどを主催しているプログラムもあります。その場合、報酬を得られるだけの基準を満たす語学力が求められることがあります。有給インターンシップであれば報酬を得ながら滞在できるため、1年間の費用目安は70万円~120万円程度と格安で済む場合もあります。

海外ボランティア

海外ボランティアの良いところは、社会貢献と自己成長の両方が叶うこと。途上国で支援を経験してみるのもいいでしょう。

また、多くの先進国では日常生活のなかにボランティアが息づいています。語学学校や大学に通いながら、週末をボランティア活動に使うなどすれば、同時に多くの経験をすることができます。

アメリカ300万~350万円
カナダ280万~350万円
イギリス320万~400万円
オーストラリア280万~350万円
ニュージーランド270万~340万円
フィリピン100万~120万円
カンボジア80万~100万円

就職活動への影響は?

休学留学の就職活動への影響は?

「休学留学を就職活動に活かしたい」という人も多いでしょう。ここでは、留学経験を就職活動に活かすために抑えておきたいポイントをご紹介します。

休学時期を検討する

休学が就職活動に最も響かないの留学時期は

・2年次の一年間
・2年後期+3年前期
・3年次の一年間

の3つのパターンです。

もし可能なら、上記のタイミングでの休学留学を検討するのがおすすめです。

志望する業界や職種に活かせるかを考える

もし志望業界が決まっているのなら、その関連での留学ができないか一度検討してみるのがおすすめです。

たとえば

・ホテル業界に興味があるならホテルインターンシップに参加してみる
・飲食業界に興味があるならワーキングホリデーでさまざまなレストランで働いてみる
・アパレルに興味があるならファッションの専門科目を取ってみる

といった具合に、探せばチャンスはたくさん転がっています。

もちろん、志望業界が決まっていなくても心配することはありません。どんな業界・職種に応募する場合も現地での経験をアピールすることができます。

ポイントは、帰国後に現地での経験を言語化し、その経験が志望企業にどんなメリットをもたらすかを考えること。自己満足で終わらせず、相手のメリットを基準に考えてみることです。

失敗を乗り越える経験をする

企業が重視している能力のひとつは危機管理能力、そしてもうひとつは先述したレジリエンス(失敗からの回復力)です。

現地で失敗をしたり、トラブルに見舞われたらチャンスだと思ってください。どう回避し、乗り越えたか、しっかりと記録をし、就職活動のときには論理だてて説明できるようにしておきましょう。

記録を残す(ブログ、noteなど)

手書き・デジタル、どちらでも構いません。留学中の出来事はできるだけ詳細に記録しておきましょう。留学初期に感じたことや起きたことは、日がたつにつれ忘れてしまうものです。のちのち振り返って、自分の成長を客観的に整理するためにも、事実を残しておくことが大切です

しっかりと語学力を上げる

留学はその経験だけでも貴重ですが、語学力を高めておくことがのちのち大きな武器となることを忘れないでください。年収にも、転職にも、語学力は大きくかかわってきます。高い語学力は絶対にあなたを裏切りません。24時間、外国語に触れられる大きなチャンスを無駄にせず、ぜひ一生懸命語学力を上げてきてください。

休学留学に興味が湧いたら

実際に休学留学した人に聞いてみよう【体験談】

(取材協力:EF Education First Japan

▼2020年6月から1年間ロンドン留学を経験したNさんのお話をご紹介します。

ロンドンで休学留学を経験した野澤さん

留学を決めた理由は?

もともと教員になる予定でしたが、大学3年時の教育実習で「(教員の)世界で今後40年間過ごすことは無理だ」と感じました。

「教員にはならない。ただ、別の選択肢は…?」と考えた時に、中学のときから伏せていた本音(=ヨーロッパサッカーの仕事に関わること)を思い出しました。

周りからは「ここまで来たのに留学に行くの?」「教員は安定しているよ」と言われましたが、「自分がどうしたいのか」で決断しました。

留学中の印象は?

ひとクラス10人~15人の少人数クラスで、主に英語の4技能を満遍なくカバーするカリキュラムですが、常にスピーキングであったり自分の意見を主張することを求められます。

日本の教育にどっぷり浸かってきた自分にとって、この文化の違いは強烈な刺激でした。

クラス外は、すべて自分の自由時間となります。

私の場合は、現地のサッカークラブでイギリス人の子どもにサッカーの指導をしていました。

ロンドンで休学留学を経験した野澤さん

留学後は?

留学前の自分の姿が思い出せないくらい、すべてが変わりました。

日本の教育(公立小・中・高・浪人・国立大教育学部)にどっぷり浸かってきた自分にとって、ロンドンでの経験はすべてが新鮮で、「日本で学んだ常識」を悉く覆されました。

「周りの目を気にする必要はない」
「自分の意見を主張することの大切さ」
「自分と相手の違いを認める」

この3点は帰国後も常に意識していることです。

ロンドンで休学留学を経験した野澤さん

休学留学は一生の宝物

以上、本記事では休学留学の種類やメリット/デメリット、費用の目安や就職活動への活かし方をご紹介してきました。

休学留学ができるのは大学時代だけです。いろんな文化と人種、社会や芸術に触れ、新鮮な感覚に満ち溢れた半年~1年になるでしょう。就職や仕事に活かせるだけでなく、自分の生き方そのものを根底から覆される可能性もあります。

後悔のない留学にするためにも、まずはぜひたくさん情報を収集してください。そして、あなただけの休学留学を作ってみてくださいね。

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