日本とニュージーランドの大学では受験システムが異なります。日本では偏差値で大学の難易度が予測できますが、ニュージーランドでは偏差値という考え方自体がありません。
しかし、ニュージーランドの大学に正規留学したい人にとって、大学の難易度は絶対に知っておきたいものです。自分の学力で合格圏内なのはどの大学なのか、何校の大学に出願をしたらいいのか、滑り止めはどこにしたらいいのか、などを決めるのに、偏差値に代わる目安が必要です。
この記事では、ニュージーランドの大学に正規留学をしたい人のためにニュージーランドの受験制度とレベル目安について解説します。
さらに、ニュージーランドの大学への合格を勝ち取りたい人のための入学条件についてもお伝えします。当日の点数で足切りされてしまう日本の大学入試と違って、ニュージーランドの大学進学ルートはひとつではありません。長期的にしっかり計画し、自分に合った方法で対策をたてれば合格がぐっと近づきます。
ぜひ参考にして、志望大学への合格を手に入れてください!
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ニュージーランドの大学進学制度

ニュージーランドの大学は2種類
ニュージーランドの大学は大きく分けて2種類あります。
ひとつは学術型大学。すべて国立で、ニュージーランドに8校あります。広い専攻分野を持っている総合大学で規模も大きいのが特徴です。
▼ニュージーランドの国立大学
- オークランド大学(University of Auckland)
- オークランド工科大学(Auckland University of Technology)
- ワイカト大学(University of Waikato)
- マッセイ大学(Massey University)
- ヴィクトリア大学ウェリントン(Victoria University of Wellington)
- カンタベリー大学(University of Canterbury)
- リンカーン大学(Lincoln University)
- オタゴ大学(University of Otago)
もうひとつはキャリア型大学です。ポリテクニック(国立の職業専門学校)がこれにあたります。
ポリテクニックは厳密に言うと大学(University)という位置づけではありませんが、大学卒業資格である学士号を取得できるプログラムをたくさん持っています。
キャリア型大学では、卒業後即戦力として活躍できる実務や職能スキルを学びます。仕事に直結するような学部が多く開講されています。
ニュージーランドの大学は3年制
日本の大学は4年制ですが、一般的にニュージーランドの大学は3年制です。
ニュージーランドの高校では日本の大学1~2年にあたる「一般教養課程」までを修了しています。そのため日本の高校卒業資格ではまだニュージーランドの高校在学中と同じとみなされ、そのまま大学に出願することはできません。
ただし、ポリテクニックだけは例外です。日本の高校卒業資格でそのままポリテクニックに入学できます。
具体的な大学進学ルートについては後述しますのでそちらを参考にしてください。
主な大学進学ルート

日本の高校卒業資格では、ニュージーランドの高校在学中と同じだということを先述しました。
そのため、日本の高校卒業生は卒業後すぐにニュージーランドの大学に出願することはできません。ニュージーランドの高校生が既に終了している「大学の一般教養課程」をどこかで履修する必要があります。
選択肢は主に
- ファウンデーションコース(大学進学準備課程)
- 国立専門学校ポリテクニック(または一部の私立専門学校)
の2つの教育機関を経由する4つのルートがあります。
▼ニュージーランドの大学進学の4つの方法

ファウンデーションコースから進学する
ファウンデーションコースは留学生用にカスタマイズされた大学進学準備課程です。コースは基本的に1年ですが、入学時の英語力や成績によって8か月~15か月まで幅があります。
ファウンデーションコースにはメリットがたくさんあります。
- 入学難易度が低め
- 留学生用に作られているので徐々に慣れていける
- 大学3年と合わせて合計4年で卒業できる
- 大学と提携しているファウンデーションコースならその大学進学に有利
- クラス規模が小さめで留学生に心強い
特に、志望の大学が決まっている人ならば、付属または提携のファウンデーションコースを選ぶのがおすすめです。そのファウンデーションコースでどれくらいの成績をとれば志望大学に合格できるかの基準が明確なので、その成績を目指してファウンデーションコース課程をがんばれば高い確率で志望大学への進学ができるからです。
ポリテクニック経由で国立大学に編入する
ポリテクニックは高校卒業後に英語力さえつければすぐ進学できます。ここで1~2年学んでから国立大学に進学するというルートもあります。
ポリテクニックと国立大学とは同じ専攻分野であるのが望ましいので、入学の際にはしっかり学部を選びましょう。
ポリテクニックにも多くのメリットがあります。
- 入学難易度が低め
- 学費が安め
- ポリテクニック1~2年+大学2~3年のおおよそ合計4年で卒業できる
- クラス規模が小さめで安心
- 学生の9割は地元学生のため英語力が鍛えられる
- ポリテクニック2年で準学士号が得られる
ポリテクニックで大学卒業資格(学士号)を修了する
ポリテクニックは職業訓練教育機関です。ポリテクニックを卒業したらすぐに希望の仕事に就きたい人が多く在籍しています。
国立の教育機関であるため研修施設が充実していることもメリットです。
もし即戦力としての力を磨きたいのであれば、わざわざ国立総合大学に編入せずにポリテクニックで学位を取ってしまうのも1つの方法です。
ポリテクニックはニュージーランドの教育システムと学生のキャリア形成にとても重要な役割を果たしています。学士号だけでなく、大学院レベルの修士号や博士号まで取れるコースを持っているポリテクニックもあります。
地域の産業への貢献度も高く、経済をけん引する存在でもあります。
→ワイン醸造学部で有名なポリテクニック「ネルソン・マルボロ工科大学(Nelson Marlborough Institute of Technology」の取材レポートを読む
偏差値の代わりとなる目安

日本の大学入試は一発勝負の試験結果で、点数が出ます。その点数を元に偏差値が決められ、ある程度の合格率を割り出すことができます。
一方、ニュージーランドの大学受験は試験の点数では合否を決めていません。偏差値の代わりに「大学ランキング」「最終学歴の成績」「競争倍率」「英語力」などが難易度の目安となります。
大学ランキング
まず最初に目安にしたいのが大学ランキングです。ランキングは大学の研究成果や学生満足度、多様性、施設などさまざまな指標を元に決められています。
参考までにQuacquarelli Symonds(QS)が発表した「世界大学ランキング」のニュージーランド国内トップ3をご紹介します。
QS 2022 | |
1位 | オークランド大学 |
2位 | オタゴ大学 |
3位 | ヴィクトリア大学ウェリントン |
また、スペインの公的研究機関CSICの研究グループCybermetricsLabが発表したポリテクニックも含めたランキングでは次のようにトップ10が発表されています。
1位 | オークランド大学 |
2位 | オタゴ大学 |
3位 | カンタベリー大学 |
4位 | マッセイ大学 |
5位 | ワイカト大学 |
6位 | オークランド工科大学 |
7位 | リンカーン大学 |
8位 | ヴィクトリア大学ウェリントン |
9位 | UNITEC(ポリテクニック) |
10位 | オタゴ・ポリテクニック |
最終学歴の成績
最終学歴の成績は、合格率を測る重要な目安です。ニュージーランド大学入試でもっとも重視されているのがこの成績といっても過言ではないでしょう。
成績は合否判定の大きな材料のひとつではありますが、仮に高校での成績が極めて低かった場合でも、ファウンデーションコースやポリテクニックを経由する際の成績で挽回ができます。
この点については一発試験で合否が決まる日本の入試制度と比べると、再チャレンジや挽回ができるのがニュージーランド大学進学の魅力とも言えるでしょう。
英語力
留学生の出願には英語力スコアの提出が必要です。大学が定めるIELTSスコアやTOEFL(r)スコアを調べましょう。DuolingoやPTEといった試験も認めている大学もあります。
本来、英語力スコアは大学の授業についていける最低限の英語力を証明するためのものです。しかし、当然ながらレベルの高い大学になればなるほど学生の論文やディスカッションの質も高く、おのずと高い英語力も必要となります。
そのため、レベルの高い大学では規定の英語力スコアを高く設定する傾向にあります。
倍率(合格率)
合格率も目安のひとつとなる指標です。以下に合格率予想平均をご紹介します。
オークランド大学 | 45% |
オタゴ大学 | 45% |
カンタベリー大学 | 50% |
マッセイ大学 | 65% |
ワイカト大学 | 60-70% |
オークランド工科大学 | 不明 |
リンカーン大学 | 49% |
ヴィクトリア大学ウェリントン | 64% |
予想合格率は多くの場合、ニュージーランド学生も入ったパーセンテージとなっています。
ただし、合格率は学部によって異なります。各大学とも看板学部のような学部は極めて合格率が低くなりますし、それ以外の学部は合格率が高くなります。
留学生の基本対策は英語力と成績をしっかり提出することです。合格率の高さや低さに一喜一憂するよりも、成績と英語力に集中して対策を行うことが重要です。
ニュージーランドの大学合格に向けた計画のヒント
何よりも成績にこだわろう
ニュージーランドの大学入試でもっとも重要視されるのは成績です。まず、できるだけ高校で良い成績をとっておくことが大切です。
なかには、志望の専攻と関係の深い科目での成績を重視する大学もあります。たとえば理系学部では数学や科学の成績が重視されるケースもあります。
なお、学部によっては別途、作品提出などが必要になる場合もあります。
英語力は足切りライン
ニュージーランドの国立総合大学では、出願に必要な英語力がもともと高めに設定されています。これをクリアすれば、既に高い英語力を証明できたと考えていいでしょう。
ニュージーランドの大学入試で最も古くから活用されているIELTSは、受験すればするほどコツをつかんでいけますし対策も立てられます。何度も受験して、良いスコアを目指しましょう。
成績も英語力もない人が合格を勝ち取るには?
高校の成績や英語力に自信がない人でも、ファウンデーションコースやポリテクニックで良い成績を修めれば挽回が可能です。まずはファウンデーションコースやポリテクニックに入学できるだけの成績と英語力を身につけ、そこで希望の大学の基準に合わせた成績をしっかり獲得していきましょう。
ニュージーランドの大学合格を勝ち取ろう!
ニュージーランドの大学入試は一発試験ではなく書類審査です。最終学歴の成績が重視されるので、高校はしっかり勉強しておきましょう。
仮に高校での成績があまり振るわなかった人でも、ポリテクニックからの編入やファウンデーションコースでギャップを埋められますのでそこで挽回してみてください。
ニュージーランド政府は総合大学の数をこれ以上増やさないとしています。限られた数の大学で高い質を保つことを目的としているからです。
偏差値や難易度だけでなく、その歴史、国際性、研究内容、キャンパスの特徴なども検討して志望大学を決めていけば、充実した楽しい留学生活が待っています。
ぜひ自分に合う大学を見つけて、充実の大学生活を送ってください!
(留学プレス編集部)