ドイツには数多くの劇場やオペラハウスがあります。そのほとんどが市立、州立などのいわゆる国公立です。それらの劇場と強い結びつきがあるのが、ドイツ国立の舞台芸術家のためのエージェントであるZ.A.V(Zentrale Auslands und Fachvermittlung-Künstlervermittlung)です。
Z.A.V.には舞台芸術に関する幅広いジャンルの部門があり、オペラ歌手、ダンサー、役者、オーケストラメンバー、伴奏ピアニスト、指揮者などが登録しています。
この記事では、ドイツで舞台芸術に携わる仕事を探す際に強い味方になってくれるZ.A.V.について詳しく解説します。
▼トリーア市ポロモーション・ホールでのコンサート
Z.A.V.の管轄
Z.A.V.はドイツ国内に7つの支社を有しており、それぞれが管轄する地域に住む人材と、その地域の劇場に関する業務を担当しています。支社があるのは以下の7都市です。
・ベルリ
・ハンブルク
・ハノーファー
・ケルン
・ライプツィヒ
・ミュンヘン
・シュトゥットゥガルト
支社があるのはドイツ国内だけですが、オーストリアやスイスのドイツ語圏の劇場での仕事の斡旋も行っています。
暗黙の了解になっている応募資格
Z.A.V.では比較的頻繁にオーディションが開催されています。各支社が次回以降のオーディション日程を公表している場合もありますが、基本的には応募書類を送って、オーディションの日時を提示されるのを待ちます。通常1~2か月後の日程を指定されます。
居住地から遠い支社に応募をしても「管轄の○○支社の方にご応募ください。」と返事が来ます。複数の支社に応募をするよりも、居住地から一番近い支社を選んで応募する方が効率的です。いずれにせよオーディションに合格すれば、全支社が連動してオーディション情報をシェアしてくれます。受験した支社の管轄での仕事しか探せない、ということにはなりません。
私立のエージェントとは違い、応募を無視されることはまずありません。しかし、暗黙の応募資格が存在するので、諸条件をクリアしていないとオーディションを受けることができません。
暗黙のルールとは
・ドイツ、オーストリア、スイスのいずれかの国に居住地があること
・ドイツ語で問い合わせメールや提出書類を作成できること
・ある程度のコミュニケーションをドイツ語で取れること
以上の3つです。
オーディション対策
Z.A.V. は、ドイツ語圏で生活していくために仕事を探す人の手助けをするエージェントです。そのため、ある程度のドイツ語が話せないと才能のある人でも相手にされません。語学力に自信のない人は、オーディションでの簡単な質疑応答を想定して、会話の練習を積むのが効果的です。
オーディションの内容は支社によって異なります。演奏家のオーディションに関しては、課題曲を設けている支社もあります。事前にしっかり確認しましょう。
▼トリーア市立劇場
Z.A.V.は、ドイツ語圏では最も大きく、力のあるエージェントです。インターネットでは見つけられない求人情報もたくさん扱っています。舞台芸術家がドイツ語圏で就職活動をする際には、大きな助けになるはずです。また、就職後にも悩み相談のための時間を設けてくれたりと、ケアを続けてくれます。
しっかりと下準備をして、万全の態勢でオーディションに臨みましょう。
Z.A.V.公式ホームページ
http://zav.arbeitsagentur.de/nn_459290/kv/Home/Homepage.html__nnn=true