留学カウンセラーになるための5つのポイント~星野達彦(国際教育事業コンサルタント)

今まで「留学カウンセラーの魅力」「留学カウンセラーのお仕事」を2回にわたってご紹介してきました。このシリーズ最終回の今回では、留学カウンセラーになるために何が必要かということを書きたいと思います。
 

そもそも留学カウンセラーの需要はどうなっているのか?

留学カウンセラーになるポイントの前に、留学カウンセラーというキャリアの日本国内における需要がどうなっているかについてまず説明します。
 
日本政府が「トビタテ!留学Japan」などのキャンペーンを通して、積極的に日本人学生の留学推進を行っています(※「トビタテ!留学Japan」=2014年からスタートした官民協働で取り組む海外留学支援制度。)。その政府の目標では2020年までに日本人留学生の数を倍増することになっています。つまり現在の大学生6万人、高校生3万人の日本人留学生数を、それぞれ倍増の大学生12万人、高校生6万人にすることを目標として掲げているのです。
 
そのために奨学金の件数を大幅に増やしたり、国内高校や大学に働きかけ生徒や学生の留学を促したりしています。でも学生は勝手に留学するわけではなく、そこには留学カウンセラーの存在が必要になります。そのような背景の中、今後ますます留学カウンセラーの需要が高まるといっていいでしょう。
 

留学カウンセラーになるための5つのポイント

1.やはりあったほうがいい留学経験
私の29年の留学業界の経験の中で、全く留学経験がないのにもかかわらず、立派に留学カウンセラーとして活躍している方が数人おられます。ただそれぞれ、相当の努力をしてきた例外的な方たちです。
 
留学カウンセラーは留学先の教育機関の情報を知るだけではなく、留学前の留学希望者の不安感、疑問、留学中に経験するトラブルや悩み事などに関しても的確にアドバイスをしなくてはなりません。留学体験があれば、それらはすべて自分が通ってきた道なので、実体験を生かし相談者の視点に立った、ビビットなアドバイスができます。
 
また実体験があると、たとえ違う国の違う学校に関して情報に接しても、イメージがしやすく頭に入りやすいというメリットがあります。留学体験者ということであると、何よりも相談者からの納得感や信頼感を得やすいといえるでしょう。
 
2.英語力は高ければ高いほど良い
語学力、特に英語力は高ければ高いほど良いです。おびただしい数の海外の教育機関等の情報をタイムリーに迅速に把握する、留学先機関と入学申請などでやり取りをしたり、問い合わせをしたりするには一定以上の英語力は必要になります。
 
一部のワーキング・ホリデーや語学留学だけを扱う留学エージェントなどでは、さほど英語力がなくても留学カウンセラーになれる場合もありますが、自分の活躍できる仕事の範囲を狭めてしまいますし、採用をしてくれる機関の選択肢も少なくなってしまいます。逆に英語力が高いと業務範囲や就職先機関の選択肢も広がります。
 
3.もっと大切なのは日本語でのコミュニケーション能力
日本で働くということであれば、基本的には日本人相談者への留学カウンセリングになりますから、その意味では日本語でのコミュニケーションの能力の高さが求められます。相談者の理解力に合わせた、わかりやすく、納得性の高いコミュニケーションができないといけません。
 
相談者は生徒、学生、先生、社会人、保護者、シニアなど様々ですし、個人ではなく複数の人向けにセミナーをすることもあります。現状はスムーズにできなくても、それぞれに対して、きちんとポイントを押さえた話ができるようになるポテンシャルを持っていないといけません。
 
また、日本語でのコミュニケーション能力が高い人は、留学カウンセラーに求められる英語でのコミュニケーション能力が概して高いといえます。
 
留学カウンセラーになるために
 
4.資格や留学に関しての知識はどうか?
留学カウンセラーの仕事に相性のいい資格は様々あります。
 
まず、一般社団法人JAOS海外留学協議会認定の留学カウンセラー資格(後で詳しく紹介します)、キャリアコンサルタントの資格、コーチングの資格、旅行業関連の資格、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)などが挙げられます。
 
留学カウンセラーの資格を取れるぐらいの留学知識があれば申し分ないですが、多くの機関が採用後に研修をしてくれるので、学ぶ意欲をもっている人なら大丈夫です。資格にしても知識にしても、最初からあるのがベターですが、採用時点でMUSTではない場合が殆どです。
 
5.一番大切なのは留学カウンセラーとしてあたりまえのものです
これは私が留学カウンセラーを目指す人に必ず話すことですが、留学カウンセラーというキャリアを目指すなら
 
– 「留学がその留学希望者にとって素晴らしい経験になるということを心から信じることができる」こと、そして
– 「その素晴らしい留学経験を自分がプロデュースすることを真の自分の喜びと感じられる」こと、
 
この2点が留学カウンセラーに求められる最も大切なことだと信じています。
 
逆に、この気持ちがなくては、前述した留学経験、語学力、日本語コミュニケーション能力、資格や知識があってもいい留学カウンセラーにはなれないし、自分の一生のキャリアにもすることができないでしょう。また採用側の機関もそのような人を採用することはないでしょう。
 
冒頭で書いたように、今後ますます需要が高まる留学カウンセラー。そして以前書いたように職業としても非常に魅力がありやりがいのある留学カウンセラーというキャリアを目指してみてはいかがでしょうか?
 
最後に一般社団法人JAOS海外留学協議会の認定留学カウンセラー資格の情報を参考のために載せておきます。
 
JAOS 認定留学カウンセラーの資格制度は、留学を志す人たちが安心し、信頼して相談することができる環境作りの一環として、2007年3月、留学カウンセラーの一定水準以上の質を保証することを目的に、JAOSがスタートした資格制度のことです。
 
現在アルク社が資格取得のための教材(テキストとDVD)を販売しています。この教材の開発には私も関わっていて、教材の執筆やDVDの監修なども行っています。
 
テキストでは留学の基礎知識、留学カウンセラーとして実務上に必要な知識、各国の教育制度、留学関連法規などが学べます。付属のDVDでは高校生、大学生、社会人向けの留学相談のモデルケース5本を収録しています。関心のある方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
 
>>(第1回)村上龍氏も取り上げた注目のキャリア「留学カウンセラー」人気の5つの理由。
>>(第2回)意外と知られていない「留学カウンセラー」のお仕事とは?
 
 
文中で紹介された教材:
「INITIATIVE FOR PROFESSIONALSシリーズ JAOS認定留学カウンセラーコース」
  
文:星野達彦(国際教育事業コンサルタント)
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