イタリアでは、学生でも挑戦できるオペラ出演のためのオーディションが数多く開催されています。
年間通して様々な都市でのオーディションの募集を見つけることができるため気軽に参加できるのですが、残念ながら中には企画団体の資金繰りの手段として実体のないオーディションが行われていることもあります。
この記事では、イタリアで上手に良質のオーディションを探すために、申込前に注意したいこと、確認しておくべきことなどをご紹介します。
▲フィレンツェのドゥオモ
1. 募集要項をしっかり読み込む
申し込みをする前に、募集要項をしっかり熟読して、オーガナイズの良し悪しを見極めましょう。
具体的な企画者の名前、予定されている公演会場、公演日時などが明記されていない場合は注意が必要です。とりあえずオーディションは開催して大人数から受験料を集めたけれど、結局予定していた企画はとん挫した、なんてケースもイタリアでは珍しくありません。
オーディション参加費の額も良い判断材料になります。イタリアでのオペラ・オーディションでは、会場費用や伴奏者への謝礼などの諸経費を補うために、参加者に受験料が求められます。相場は30ユーロから50ユーロなので、それより高い場合は一度疑問を持ってみてください。
2. 企画団体の過去の実績を調べる
募集要項を読み込んで疑問点がなければ、次はそのオーディションを企画している団体の過去の実績を調べましょう。団体名が新しく発足したものだったとしても、代表者や関係者の名前から、どんな人物がどのような意図で計画している企画なのかがわかるはずです。
企画団体のホームページなどで講評や写真を探せば、過去の公演の会場の規模、出演者の顔触れ、舞台衣装や装置などのレベルがわかります。
イタリア人を優先的に採用するのはどこの団体でも多かれ少なかれ見られる傾向ですが、過去の出演者の中にアジア系の歌手の名前がひとつもない場合は、日本人がオーディションを受けに行っても採用される可能性は極めて低いと言えます。
▲ロヴィーゴの歌劇場
3. 応募前に聞いておきたいこと
充分な情報が募集要項やインターネットから得られない場合は、応募前に主催者に直接コンタクトをとり、疑問点を明らかにすることをおすすめします。
報酬の具体額は要綱には記載されていないことが多いので、直接質問しましょう。採用された場合の本番までの稽古期間などもはっきりさせておく必要があります。
見逃しがちなのは、開催地の近隣住民が優先的に採用されることが多いという点です。キャストの交通費や宿泊費が節約できるので、予算の少ない企画では特にこの傾向が強くなります。遠方からオーディションを受けに行く場合、そのような不利・有利になる条件の有無を質問してから参加を決めましょう。
歌唱力だけで決まるわけではないオペラのオーディション。それぞれの企画と団体にそれぞれの事情があり、審査基準が変わってきます。
体力と気力を大いに消耗するオーディションだからこそ、結果に結びつきやすいものに絞って受けていきたいものです。そのためにも事前にしっかりリサーチして、信用できる企画を見つけるひと手間を習慣にするのが良さそうです。