作家の村上龍氏が書いた中学生向けの職業図鑑「13歳のハローワーク」という本をご存知ですか?120万部を超えるベストセラーのこの職業図鑑の中で、留学カウンセラーという職業は「留学コーディネーター」として紹介されています。今回はなぜ留学カウンセラーという仕事が留学経験者の中で人気が高いのかについて書いてみたいと思います。
留学帰国者の約50%が留学カウンセラーという仕事に興味あり
私が以前勤めていた留学サポート会社では、留学帰国者にアンケートを取っていました。現地の学校や留学生活の様子など様々なことをお聞きしていましたが、帰国後のキャリア関連の質問の一つとして「留学カウンセラーの仕事に興味がありますか?」という質問を入れていました。実はこの質問を入れたのは、将来の自社の採用候補の留学カウンセラーを見つけるためだったのですが、300人近くのアンケートを集計してみると、なんと48%もの人が留学カウンセラーという仕事に興味があるとのことでした。
留学カウンセラーが人気の5つの理由
私は「日本における留学カウンセラーというキャリアの確立と留学カウンセラーの育成」を自分のライフワークの一つにしています。2008年には「こうすればなれる留学カウンセラー」(リーダーズノート社刊)を上梓し、翌年の2009年には日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)を設立しました。そのような中、多くの留学カウンセラーから聞いた「なぜ留学カウンセラーになったか?」の答えをまとめると、以下の5つの理由にまとめられます。
1.自分のLife Changing Experienceを語りたい
人は素晴らしい体験をすると、その体験を多くの方に知ってもらいたいと思う欲求を持ちます。自分が体験した留学というLife Changing Experience(人生を変えるような経験)を語り、勧める職業として留学カウンセラーは最適といえるでしょう。
2.自分の留学経験を仕事に活かせる
現在、過去に自分の学んだことや経験したことが本当に活きる仕事に就いている人はどのぐらいいるでしょうか?留学カウンセラーという仕事は留学中に学んだことや、語学力だけでなく、自分の留学経験そのものが毎日の仕事に役立ちます。
3.世界と繋がる仕事
一度海外で生活した経験があると、国内だけで生活していた時より飛躍的に視野が広がります。特に日本のような島国でほぼモノカルチャーな国で育ってきた人は、人生観が変わってしまうよう方も少なくありません。この様な体験して視野が広がった留学経験者は帰国後も、世界と繋がる仕事をしたいと思うのは自然なことでしょう。
4.留学商品やサービス自体に興味がある
毎年大学生の人気企業ランキングの上位には大手旅行代理店が上位にランクインします。大学生にとって旅行という商品、旅行業という事業に興味があるのでしょう。同様に留学経験者の多くは、自分が体験した以外の様々な国の様々な留学プログラムに興味を持ちます。そして中にはその商品の開発、販売などにも興味を持つ人もいるのです。
5.人の成長を支援する仕事がしたい
多くの留学経験者は留学という体験を通じて自分が大きく成長したという実感を持っています。そして留学は人生の分岐点になると確信しています。留学カウンセラーは人の人生の分岐点をプロデュースする仕事ともいえるでしょう。留学を通じて人の成長をサポートする仕事に就きたいという理由で留学カウンセラーになった方は多くいます。
現在、日本はグローバル人材育成の一環として、国を挙げて日本人留学生を増やそうとしています。政府はもとより大学や高校も、今後ますます進む日本のグローバル化社会に対応できる、グローバル人材育成の推進エンジンとして、留学を促進しているのです。そのような中、その現場の推進役を担う留学カウンセラーという職業は今後ますます注目をされていくでしょう。
次回は、そんな注目の留学カウンセラーの仕事とはどのようなものなのかを具体的に紹介したいと思います。
>>(第2回)意外と知られていない「留学カウンセラー」のお仕事とは?
▼文中で参照された本
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文:星野達彦(国際教育事業コンサルタント)
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