新卒の海外就職の現実とこれからの可能性 ~田村さつき(GJJ株式会社代表取締役)

「新卒の海外就職についてどう思いますか?」
 
何度この質問に回答してきただろう?って思う。
今も5年前もずっとこの先も。
 
そろそろきちんと系統立てて説明してみたくなり、今日は私なりの考察を書いてみたいと思います。
 

海外就職の新卒者実現率とは?

過去約5年間で海外就職を実現した新卒者データ(GJJ海外就職調べ)では、2010年9月~2015年5月まで、新卒でアジア就職を実現した人は9名、母数は320名。つまり、たったの3%だったことになります。
 
この数字からみてもアジア海外就職の新卒者実現率は低い。でも、実際に現場にいる私たちは、ついつい言ってしまうんですよね。「新卒のアジア海外就職実現者が増えています。」と・・・。今後このあたり、かなり注意していかなければいけないと反省中。
 
しかし、ひとつ面白い現象があります。この3%のうち、3年未満で帰国してしまった人は1名。ここが離職率の高さが問題となっている国内就職と、明らかに違う面白いところだと思っています。
 
新卒アジア海外就職実現者たちは、それぞれの環境でユニークな経験を積んでいます。国内の年功序列型大手企業ではとても経験できない世界で生きています。
 
例えば、1年目でいきなりローカル人のマネジメントを任せられたり。日本にいたら会えないようなビッグな人材と飲み会のシーンで出会ったり一緒に仕事をする機会があったり。日本だったら直接一緒に働くことはないであろうポジションの上司の元で仕事ができたり。
 
そして、なんていってもアジアバブル。
 
マーケットそのものが全く異なる環境で仕事ができること。成功体験を積むにはとても良い環境なんです。
 
こうして良いことばかり言うと「新卒の海外就職推奨者」だと思われがちですが、ここでハッキリ言わなければいけないことは、新卒に限らず純粋に「人と仕事のマッチング=相性」が1番大事だということ。それをお伝えし続けていこうと思います。
 
「アジア海外就職をしたい!」そう思う人たちが集まってきて、実現者のうち3%が新卒で、残りの97%が日本でなんらかの職務経験があったというだけのこと。
 
新卒者の海外就職実現率はまだかなり低いけど、マッチした新卒者だったらたとえ新卒であろうとも海外でユニークなキャリアを積んでいるということ。
 
国内新卒の3年未満の離職率に比べれば(まだまだ離職率に関して語るほどのデータは少なすぎると考えますが)はるかに低いということ。 
 
その事実はお伝えせねば、と思ったわけです。少し古いデータですが、2010年厚生労働省の調べによると3人に1人が3年以内に辞めるというデータもあるようですから。
 

集まれ!マレーシア 2015年5月

アジアで働くGJJ卒業生が集まってくれました。
 
「新卒の海外就職」について
 
「アジア海外就職片道切符」の時代はとっくに終わりを告げています。ここには「新しいスタイルのキャリアのロールモデル」が存在し、今後の日本を救ってくれる若者の宝庫だと思うんですよね。
 
みんな、あらたなキャリアのロールモデルをつくろうね!これぞ、2020年に消滅する仕事(職業)のかわりに登場してくる新たなキャリアのロールモデルだと思うから、私はそこを追究していきたいと考えます。
 
文:田村さつき(GJJ株式会社代表取締役)
 
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