イギリス小学校の英語学習にみる、日本の幼児英語教育へのヒント(2)~ディビス奈緒子(英国在住ライター/留学生生活サポートワーカー)

イギリスの学校は9月から新学期が始まります。前回の『イギリス小学校の英語学習にみる、日本の幼児英語教育へのヒント(1) 』でお伝えしたとおり、イギリスの学校教育は5歳からReception(就学準備クラス)が始まり、6歳から小学校一年生にあたるYear1が始まります。
 
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日本に比べると早い時期から小学校に通い始めるイギリス。Receptionでは、森に探検に出かけたり、家ではなかなか出来ないようなダイナミックな遊びを通して友だちと沢山の経験をする事を学ぶのが主で、「文字を覚える・書く」という事はその次になります。もちろん、Year1に上がる少し前からアルファベットを覚えたり、フォニックス学習(アルファベット一文字ずつに結びついた発音)の準備を始めます。
 
Reception卒業時には「アルファベットが書ける事」「数字を1~20まで数えることが出来る事」「フォニックスが身についている事」が学習カリキュラムの標準レベルとされており、Year1に進級するとReceptionで得たことをベースにした授業が始まります。
 

イギリスの学校には教科書もなく筆記用具も不要

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小学校に通いだしたからといって突然机に向かって一日中勉強をし始めるわけではありません。Year1のクラスには教科書はなく教科書の代わりに先生が作ったプリントで勉強をします。また筆記用具は学校が用意しますので持っていく必要はありません。
 
文字を書いたり何かを皆で作ったりする際は大きな机を使いますが、先生が本を読む時は皆カーペットに直に座って先生の話を聞きます。朝のHRの際も、朝とランチの間のスナックタイム(果物とミルク)や帰りのHRもやはりカーペットに座ります。
 
朝の時間は勉強時間でPhonicsを身につけ、単語の綴りを勉強したりし、1週間毎に少しずつレベルアップしていきます。
 
Receptionにはなかった宿題も発生します。この宿題は強制ではなく先生に提出しなくても大丈夫なのですが、もし勉強をしていかないと金曜日に単語テストで困ってしまいます。本読みの宿題もあり、やはりこれも強制ではなく、しなかったからと言って先生に怒られる事はありませんが、やはり授業に影響していきます。なので、親がしっかり協力をしなければいけません。
 

学校カリキュラムの一環で、1週間に10個の単語の綴りを覚える

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この時点で子供たちはフォニックス学習によってかなり単語を読む事ができますが、綴りがどうしてもフォニックス寄りになっています。例えばCakeをKakeだったり、SnakeをSnaikと綴ってしまいます。音は合っていますが、CとKの使い分けなどを少しずつ矯正していくのです。
 
新学期が始まった9月時点では先生は特に矯正をせず、子供達に好きな様に文書を書かせていきます。そして、まず話の内容を理解し、そして自分の言葉で文章にさせていきます。10月からは文章作成とともに単語の綴りを覚え、文章の中の間違った、特によく間違う単語やその子の癖を先生が判断して丁寧に直していきます。
 
実はフォニックス学習をしていると、5、6歳児の段階で知らない単語をフォニックス風に綴る事が出来るのです。Super MarketをSoopar Marcetとフォニックス綴りで書く事ができます。これはフォニックスを知っていればなんとなく大人も読めます。日本人でも、もしこのフォニックスの音のルールを覚えると、本を読んで読めない単語が読めたり、綴りが分からなくなった時にとても役に立ち、また日本人の苦手な発音も訂正されます。
 
学校のカリキュラムや学校生活から子供達が得ていることを見ていく中で、イギリスの教育への理解が深まり、学ぶべき点が出てきました。多国籍の子供達にとって、義務教育が早く始まるメリットがあるような気がします。
 
文:ディビス奈緒子(英国在住ライター/留学生生活サポートワーカー)
 
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