ディスカッション力を上げたい留学生必見のTV番組「子供向けニュース」~クリューガー量子(ハイデルベルク市公認ガイド)

留学生活の楽しみの1つは、留学先の国の人や色々な国の学生と、文化、宗教、習慣、時事問題などについて話をすること。しかし、複雑な時事問題は単語も特別で、現地の言葉で理解したり、自分で表現することは難しいものです。

外国人と時事問題をじっくり討論できるようになりたいドイツ留学生に役立つのが、テレビ番組「子供向けニュース」です。

「子供向けニュース」とは

「子供向けニュース」は、国営放送系列のテレビ局で毎日19時50分から20時まで放送されている29年間続く長者番組です。このテレビ局は子供向け番組だけを放送しています。

「子供向けニュース」では、司会者がドイツ及び世界の最新のニュースを子供に分かりやすいように解説します。司会者は20代の大人1人。アイドルではなく、しっかりアナウンス訓練を受けた若い解説者です。テーマによっては、専門家が出演して話をします。

大人向けニュース番組との違い:言葉にも映像にも適齢がある

映画には年齢制限があります。それと同様に、言葉にも映像にも年齢に適したものがあります。

「子供向けニュース」では、今起きている問題や紛争について、子供(5歳~12歳程度)に分かりやすいように、コンピューターグラフィックで作られた画像などを使って、複雑な事象の概要を簡単に説明します。また、子供への刺激が大きすぎる紛争などの映像は流さず、分かりやすい絵で紛争の根源を説明し、実際の映像と組合わせて放送します。

そもそも、大人にとっても「どうして今、難民の問題が起こっているのか。イギリスがEU離脱を望んだのは何故か。」といったニュースの概要や原因を理解するのは難しいこと。この番組では、その道の専門家が、こういった複雑な事象を分かりやすく説明していきます。子供達は、このニュースを見ると、現在の世界情勢の全体像を大変よくつかむことが出来ます。

留学生にとっても同様です。最初から時事問題を複雑で特別な言葉で聞くよりも、分かりやすい馴染みのある言葉で聞き、見分を深めていく方が抵抗が少なく、現象の原因や概要をよく理解できるようになります。そして、その表現を目と耳で会得することによって、議論に参加する語彙力を磨くことができます。

子供達がレポーターになって時事問題を報道する

「子供向けニュース」では子供達が自らレポーターになり、メルケル首相やトップ政治家、最高裁判官などにインタビューして、子供達が子供達の為に報道するコーナーがあります。

また「自分たちの周りで起こっている問題を一緒に解決してほしい」と子供達が番組に手紙を送り、番組が問題解決を一緒に探っていくというコーナーもあります。

こういった報道形式により、子供達も政治や時事問題を身近に感じ、主体的に考え、行動していくようになります。「子供ニュース」をみると、ドイツ人の時事問題や社会問題への関わり方が見えてきます。

留学生にとって、 子どもたちのインタビューは、質問力を磨く良い教材になります。放送の次の日、語学学校へ行ったら同じように友だちや先生に質問してみてはいかがでしょうか。新たな会話が始まります。

大人が子供に本当に伝えたいことを伝える

前記事「犠牲者氏名を報道しないドイツのニュース」でお伝えした通り、「子供ニュース」では、大人が子供に本当に伝えたいことを伝えます。

2015年、航空会社ジャーマンウィングスの飛行機が墜落し、多くの方が亡くなりました。副操縦士が故意に墜落させた可能性が高いこと、精神病を患っていたことを会社に報告せずに勤務していたこと、また、研修旅行中の多くの高校生が搭乗していたことなどが社会の大きな関心を集め、日ごとに過剰な報道が行われるようになりました。

そんな中で、「子供向けニュース」では番組冒頭に、視聴者である子供に向かって司会者が以下のように話をしました。

「この事故に関して、様々な報道が行われています。私達は今日、どんな放送をするか、どこまで放送するかということをスタッフ全員で考えました。メディアは報道の自由があり、それは保証されなくてはいけません。しかし、亡くなった方やご遺族のプライベート、尊厳を傷つけることは禁止されています。よって、これまでも多くの生徒が亡くなった学校の様子を遠くから映すことはありましたが、我々は直接、関係者や生徒にインタビューすることはしません。」

「子供向けニュース番組」を見てみよう

いかがだったでしょうか。

ドイツの「子供向けニュース」をみると、あなたの周りのドイツ人が子供の頃からどのように社会問題に触れ、考え、接してきたことがよく分かるようになります。また、ドイツではメディアは娯楽だけでなく、大人が子供に本当に伝えたいことを伝達する手段の一つであることが分かります。

そして、何よりも、現地の言葉で時事問題を根本から理解し、あなた自身の考えを表現する大きな助けになることでしょう。シンプルな表現、平易な語彙でも、建設的な議論に参加できることを発見すれば自信につながり、これからのドイツ語会話が楽しくなります。

留学生活の大きな醍醐味は、現地の人や様々な国の学生との交流です。現地の言葉で今のニュースに触れ見分を深め、たくさん話をして、充実した留学生活を送ってください。

文:クリューガー量子(ハイデルベルク市公認ガイド)
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