声楽を志す者にとって、オペラ発祥の地であるイタリアはやはり憧れの国です。イタリアでのレッスンに興味があるという人、または実際に留学を検討しているという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、国立音楽院などの学校に入学しなくても、イタリアで個人的に受けることのできるレッスンの種類やその内容、料金相場などの具体的な情報を掘り下げてお届けします。
▼ロヴェレート、ザンドナイ歌劇場
レッスンの種類
イタリアで受けることができるオペラ歌手のためのレッスンには、大きく分けて以下の2種類があります。
・声楽レッスン
こちらは通常、自身も歌手である先生のもとで、発声技術をメインに学ぶためのレッスンです。レッスン時間は1時間から1時間半ほどが主流。その内容はもちろん先生によって異なりますが、主に前半は発声練習、後半は楽曲を使用しての実戦練習になります。
・コレペティ・レッスン
こちらはピアノ伴奏者から受けるレッスンです。オペラの譜面をピアノ用に編集したものを用いて歌手の伴奏をするピアニストのことを、日本では「コレペティ」と呼びますが、イタリア語では「Maestro accompagnatore(マエストロ・アッコンパニャトーレ)」「Maestro collaboratore(マエストロ・コラボラトーレ)」などと呼びます。
コレペティのもとでのレッスン内容は主に、楽譜を正確に読み込むことと、表現方法や楽曲をどのように組み立てるかの指導になります。
レッスン両方ともに、外国人は特に厳しく発音の指導を受けることになります。
料金相場
イタリアでの声楽レッスンの相場は一回30ユーロから60ユーロほどです。現役の超有名歌手などが、特別に個人レッスンをする場合などは70ユーロ以上になることもあります。
一方コレペティ・レッスンは20ユーロから50ユーロほどと、若干料金相場が下がります。
少し特殊な例として、日本などのレッスン相場の高い国と繋がりが強い先生のレッスン料は、イタリア国内でも高い傾向にあります。1回100ユーロのレッスン料で、生徒の大半が日本人という先生も存在します。
通う頻度
通う頻度にはもちろん個人差がありますが、国立音楽院の声楽レッスンが週に2回であることからもわかるように、初心者は週に2回か、最低でも週に1回は声楽レッスンに通います。
ある程度発声技術が固まってきた学生などは、月に1度ほどのレッスンで定期的に軌道修正しながら、自分なりの発声技術を模索していきます。
プロになるとレッスンに通う頻度はさらに落ち、定期的なメンテナンスというスタンスで数か月に1度、恩師のもとを訪れる程度になる人が多くなります。
一方、コレペティ・レッスンの方は、学生のうちは声楽レッスンほどは重要ではないかもしれません。月に2度ほどでも充分でしょう。
とはいえ、コレペティ・レッスンは、プロになってからも必要不可欠なレッスンです。仕事で新しい曲や役を覚える際には、最低でも事前に2回はコレペティ・レッスンをお願いして、覚えこむ必要があります。
▼ロヴェレートの音楽教室
先生によって指導方法は実に様々で、ある程度生徒の自己判断にゆだねる先生もいれば、発声技術が固まっていないうちは生徒に自宅での自主練習を禁じ、週に2回のレッスンでのみ発声技術を学ぶように指導する先生も存在します。
全幅の信頼を寄せることのできる先生に出会うことができれば、その指示に従うのも良いですし、ある程度のレベル以降は自力で歌唱方法を確立していくことも大切です。
「習慣として通うレッスン」ではなく、一回一回が意味のあるものになるように、自分の現状をしっかりと判断し、分岐点を見極めて対応していくなど、生徒側の努力と工夫も大切です。