イタリア音楽留学中の練習環境。家で音は出せる?~金子倫子(在ドイツ・メッゾソプラノ)

音楽を勉強している学生さんにとって、しばしば悩みの種となるのが練習場所の確保ではないでしょうか。日本の音楽大学周辺などには防音アパートもありますが、イタリアでは状況が異なります。

この記事では、イタリアに音楽留学に行きたいと思っている学生さんや音楽家のための予備知識として、イタリアでの音出し事情を解説します。

▼モノポリ旧市街

音楽院での練習室事情

イタリアの音楽院などに留学する場合は、音楽院のレッスン室を使って練習することができます。日本の大学とは違って「練習室」というものはイタリアの国公立の音楽院ではまず存在しません。レッスンが行われている時間以外に、空いている部屋を使わせてもらうことになります。

そのため、レッスンが行われている日中はほとんど部屋が取れません。始業前の早朝か夕方以降に空き室を探すのが通常になります。どの音楽院でも学生の数に対して部屋の数がとても少ないため、ウェイティング・リストに名前を書いて長時間待たなければいけないことも多くなります。

家での音出し

イタリアでは普通のアパート内で音出しをすることも一般的です。各都市の旧市街などの大部分を占める古い建物は通常、とても壁が厚く、防音対策を施していなくても近隣住民に大きな迷惑をかけなくてすむ場合が多いのです。

アパートシェアをしている場合には同居人の理解と協力が不可欠ですが、基本的には音楽の練習は容認してもらえます。

とはいえ、もちろん常識として早朝や、夜間は避けましょう。昼寝をする風習のあるイタリア人も多いので、昼下がりも避けた方が無難です。午後は16時以降をめどにすると良いでしょう。

その他の選択肢

イタリアでも郊外には近代建築の建物が多くあります。近代建築の壁は薄く、隣人との間で騒音トラブルも起こりやすくなります。

滞在先の部屋にそのような問題がある場合、第3の選択肢として近くの教会を当たってみましょう。イタリアには大小様々な数多くの教会があります。もちろん観光名所になっているような教会では無理かもしれませんが、近所の小さな教会であれば、音楽を勉強している学生に部屋を貸し出してくれる可能性は充分にあります。

定期的にコンサートを催しているような教会では、ピアノが設置されている場合もあります。自宅で音出しができない場合は、そのような教会の牧師さんに事情を説明してお願いをしてみましょう。この場合、料金は発生しなくとも、心ばかりのお礼をすることは大切です。

▼コマッキオ中心部

イタリア人は人との繋がりを大切にする人種です。ご近所さんとの付き合いや、町の教会との繋がりは日本よりもずっと温かいものです。周囲に一言断りを入れたり、小さな気配りをすることで協力を得ることができ、意外と簡単に毎日の音出しができるようになりますよ。

文:金子倫子(在ドイツ・メッゾソプラノ)
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