ケント大学(University of Kent)は、イギリス南東部のケント州にある国立大学です。キャンパスは2つあり、1つはケント州のカンタベリーに、もう1つはメドウェイという歴史と自然が美しい街にあります。
イギリス国内ランキングでは50位以内に選ばれたトップクラスの大学で、特に人文科学や社会科学は高く評価されています。これまでに、幅広い分野で活躍する日本人やノーベル賞受賞者を輩出してきました。
本記事では、ケント大学への留学に興味のある人へ向けて偏差値やランキング、学部、学費、寮などについて解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
『留学プレス』留学生記者/小島なお(イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター) テーマ:イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
ケント大学の基本情報
設立年 | 1965年 |
形態 | 国立 |
難易度 | ★★★☆☆ |
合格率 | 89.8%(2022年) |
学生数 | 約19,000人 |
留学生数 | 全体の約27% |
人気の学部 | 人文科学・社会科学 |
学費例(年間) 費用検索はこちら Tuition Fees | 学部課程:£18,600 大学院課程:£22,700 |
ケント大学の場所
ケント大学のキャンパスは、イギリス・ケント州のカンタベリーと、メドウェイにあります。
メインキャンパスのあるカンタベリーは世界遺産のカンタベリー大聖堂がある場所です。中世の時代には巡礼者が多く訪れた歴史ある街です。古い家々の間を流れる小川や庭園なども見どころで、自然も多い場所です。
キャンパスは街の中心部から北上して徒歩で約20分の場所にあります。緑地内に建ち、すぐ隣は国立自然保護区なので、勉強に疲れたら自然散策でリフレッシュできますよ。
もうひとつのキャンパスがあるメドウェイは、ロチェスター、チャタム、ギリンガム、レイナム、ストルードという5つの町が合併してできた市です。カンタベリーと同じく、自然豊かで中世の歴史が感じられる場所です。
キャンパスの場所は、海へと続くメドウェイ川にほど近く、もともとは海軍基地でした。新しいモダン建築を取り入れたキャンパスの建物は受賞歴もあります。
また、隣接するグリニッジ大学、カンタベリー・クライスト・チャーチ大学とはパートナーシップを結んでいます。
カンタベリーからロンドンまでは電車で約1時間で、メドウェイはその間に位置します。
また、フランス・パリにはケント大学芸術文化学部の大学院センターがあります。
建築、美術史、映画、クリエイティブ・ライティングなどの修士コースを提供しています。
起業に役立つプログラム
ケント大学では起業家教育プログラム「ザ・ビジネス・スタートアップ・ジャーニー」が受けられます。
どのコースの学生も参加できる15週間の課外プログラムで、カンタベリーとメドウェイ2つのキャンパスに専用の施設があります。
リーダーシップ、コミュニケーション、プレゼンテーションスキルなど起業に不可欠なスキルの向上を目指します。そのほか、実践をイメージした他の学生との共同ワークも行われます。
気軽にアドバイスを受けられる環境も整っており、市場調査や分析、マーケティングなどのセッションが平日毎日利用できます。
いずれ起業したいという夢がある人は注目したいプログラムですね。
ケント大学の寮
ケント大学には設備の整った大学寮がいくつもあります。
カンタベリー・キャンパスの寮からは、ほとんどのキャンパス施設に徒歩でアクセスできます。
メドウェイ・キャンパスの寮はキャンパスから少し離れた埠頭エリアにあり、キャンパスまでは無料のシャトルバスが出ています。
光熱費やWi-Fi、スポーツメンバーシップなどが寮の費用に含まれ、タイプによって食事や専用バス・トイレのあり/なしなど選べます。家具や勉強机などは最初から用意されていますので、一から揃える必要はありません。
寮生活のメリットは、なんと言ってもたくさんの学生と深く交流が持てること。勉強が大変でも、近くに仲間がいれば心強いですね。
著名な卒業生
ケント大学は各界で活躍する日本人や、ノーベル賞受賞者などを生んできました。
以下に著名な卒業生の一部をご紹介します。
池上重輔 | 日本の経営学者、早稲田大学教授。 |
上杉勇司 | 日本の国際政治学者、沖縄平和協力センター副理事長。 |
御厨邦雄 | 元財務官僚、世界税関機構事務総局長。 |
石黒一雄 | イギリスの小説家、脚本家。イギリス最高の文学賞、ブッカー賞、ノーベル文学賞受賞。 |
エリー・ゴールディング | イギリス王室の婚礼イベントで曲を披露した経歴を持つ女性シンガーソングライター。 |
アブドゥルラザク・グルナ | タンザニア生まれのイギリスの小説家で評論家。 ノーベル文学賞受賞者。 |
デイム・キャロリン・ジュリア・マッコール | イギリスの航空会社、イージージェットの最高責任者を務めた人物。 |
ヒラ・テキンドル | トルコの演劇、短編映画監督。 |
ロイズ・ポイヤジス | ギリシャ系キプロスの起業家、金融業者。 |
ケント大学の学部
ケント大学には6つの部門があり、そこから各学部に分かれています。
芸術・人文科学 | 建築計画 芸術 文化言語学 英語 歴史学 古典・考古学研究 哲学 宗教学 中世・近世研究 |
法律・社会・社会正義の研究 | 法学 社会政策 社会学 社会調査 ジャーナリズム 保健サービス研究 個人福祉サービス研究 |
自然科学 | 生物科学 化学 法医学 物理学・天文学 スポーツ・運動科学 |
人間・社会科学 | 経済学 心理学 神経科学 政治学 国際関係学 人類学 自然保護 人文地理学 環境学 |
ビジネス | 経営学 |
コンピューター・工学・数理科学 | コンピューティング 工学 数学 統計学 数理科学 |
ケント大学の難易度

日本とイギリスの大学制度の違いと偏差値
イギリスと日本の入学制度は少し異なります。日本では試験による偏差値方式ですが、イギリスでは書類選考がメインです。
また、義務教育制度が異なることから、日本の高校を卒業した学生は一部をのぞいて大学入学前に「大学準備コース(ファウンデーションコース)」を受講します。
ファウンデーションコースでの成績も考慮されて、大学に正式に入学を認められます。
詳しくは「イギリスの大学の仕組みとは?何年で卒業できるの?日本と大学教育制度を比較」も参考にしてください。
ランキング
世界大学ランキング
イギリス国内ランキング
合格率
イギリスの総合出願機関、UCASが2022年に発表したケント大学の合格率は、89.8%と比較的高めでした。
ケント大学に留学するには?
大学準備コース
日本とイギリスでは教育制度が違います。日本の高等学校を卒業してすぐにイギリスの大学に進学する場合は、まず「ファウンデーションコース」と呼ばれる大学準備コースを受講するのが一般的です。
ファウンデーションコースの期間は約1年間です。その後3年の学部課程へと進み、計4年で卒業が可能です。
「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。 特に、日本と異なる教育制度を持つイギリ[…]
ケント大学のファウンデーションコースに出願するには、高等学校での最終成績が5段階中3.5、もしくは10段階中7以上、英語力のスコアはIELTS総合5.0、全項目で5.0以上が必要です。
大学(学部課程)へ直接入学する場合
ケント大学の学部課程へ直接入学する場合は日本の大学で1年次を修了しているか、専門学校を卒業している必要があります。そこでの成績が70%以上、もしくはGPAのスコア3.0/4.0以上が求められます。
また、ケント大学では優秀な成績を持つ学生に対しては2年次への入学を受け入れています。
準学士号、職業学士号、専門職学位、専門士号の成績が非常に優れており、進学予定の学部課程コースの1年次で習うことと同じ内容を学んでいる必要があります。それぞれのケースによって異なるため、詳しくは大学のコースページで確認してみてください。
Japan – Countries – University of Kent
English language requirements – Undergraduate courses – University of Kent
大学院課程
ケント大学の大学院課程に進学するには、学士号を取得していることが条件です。コースによって求められる成績は変わります。
(例)
イギリスの学位レベル2:1(アッパーセカンド)相当の成績を求めているコース
↓
最終成績のGPAが3.2/4.0、B+もしくは70%以上
イギリスの学位レベル2:2(ローワーセカンド)相当の成績を求めているコース
↓
最終成績のGPAが3.0/4.0、Bもしくは70%以上
英語力のスコアはIELTS総合6.5、リーディングとライティングで6.0以上、スピーキングとリスニングで5.5以上が必要です。コースによってはこれよりも高いスコアを求めていますので、各コースごとに確認してみましょう。
Japan – Countries – University of Kent
English language requirements – Postgraduate courses – University of Kent
ケント大学でキャリアの成功への土台を作ろう
ケント大学には幅広いカリキュラムやプログラムに加え、充実したサポートがあります。
寮生活では、一緒に暮らすように大学生活をともにする学生たちと刺激し合い、自分を高めていけるでしょう。
キャンパスは自然豊かでのんびりとしている反面、ロンドンやイギリスの都市部へアクセスしやすい好立地にあります。ランキング上位校でありながら合格率が比較的高めなので、挑戦しやすいのも魅力的です。
イギリス大学留学に興味のある方はぜひ、ケント大学への留学を目指してみてください!