イギリスの大学の仕組みとは?何年で卒業できるの?日本とイギリスの大学教育制度を比較。

イギリスの大学は日本とは異なる教育制度を持っています。日本人留学生がイギリスの大学に留学するにはこの違いを知り、自分のケースに当てはめて留学計画をたてることが重要です。

この記事では日本人留学生がイギリスの大学に留学する場合のルートと注意点について詳しくご紹介します。

海外大学に興味が湧いたら

イギリスの大学の仕組み

最初に知っておきたいのが、イギリスの大学は「3年制」だということです。

日本の大学は1~2年次に「一般教養課程」を、3~4年次に「専門課程」を行います。一方、イギリスでは一般教養課程を高校時代に終わらせてしまうため、大学課程では3年間すべてが「専門課程」です。

この違いを図で見てみましょう。

日本人留学生には図にある赤い箇所が「空白の1年」となります。この空白をなんらかの形で埋めてから、イギリスの大学へ進学することになります。

また、この図からもわかるように、大学院での修士課程にも違いがあります。日本の修士課程は2年間である一方、イギリスは一部の例外を除いて1年間で修士号が取れます。

4つの大学進学ルートとそれぞれのメリット/デメリット

まずは大学進学から解説していきます。イギリス大学進学には、主に以下4つのルートがあります。

通っている学校や現在の成績によって最適なルートがありますので、自分に適したルートを選んでください。

大学経由ルート

高校卒業後、いったん大学に入学するルートです。日本の大学、または日本と教育制度が同じ北米の大学へ進学して一般教養課程を修了すれば、イギリスの大学1年生に出願できます。

このルートのメリットは、日本の大学に通いながら英語力をつけたり資金を貯めたりできることです。日本の大学に入ってみたけれど、留学に進路変更したくなった人にも向いています。

デメリットは大学の卒業が他ルートよりも1年遅れることです。高校卒業から大学卒業までにかかる年数は最短5年です。

最も一般的なルート:ファウンデーションコース

「空白の1年」を埋めるのにもっとも一般的なのがファウンデーションコースを経由するルートです。

ファウンデーションコースとは日本のようにイギリスと教育制度が異なる留学生用に作られた大学進学準備コースです。英語力を上げながら、一般教養課程にあたる科目の基礎を受講します。

イギリスの大学に入った後で授業にスムーズについていけるように、ノートの取り方やレポートの提出方法、ディスカッションやスピーチなどのトレーニングもしています。

多くのファウンデーションコースは提携している大学があります。そのため、ファウンデーションコースでの成績次第で、提携大学への進学が決まります

ファウンデーションコースのメリットは、日本の大学卒業と同じ4年間で卒業できること、そして、カリキュラムが留学生用にカスタマイズされているということです。イギリスに渡っていきなり大学に入るのはかなりハードルの高いことですが、ファウンデーションコースでしっかり1年間準備をしてから大学1年に入学することで、大学生活をスムーズにスタートすることができます。

デメリットはほぼありません。あえて言えば、レベルの高い大学と提携しているファウンデーションコースの場合、高校の成績が優秀でないと入学できない場合があることです。

最速ルート:インターナショナルイヤーワン

インターナショナルイヤーワンとは、高校の成績が極めて高く、英語力も高い高校生のために作られた1年のコースです。修了後は大学2年次に編入できます。

日本とイギリスの「空白の1年」を1年で埋めるのではなく、「一般教養課程+専門課程の1年次」を、1年以内に急ピッチで学びます。

優秀な学生やポテンシャルの高い学生にはどんどんチャンスを与えるという画期的な制度です。

メリットは、なんといっても高校卒業から大学卒業までの年数が「3年間」で済むことです。留学期間が短いぶん留学費用も節約できます。イギリスの学費は世界的に見ても高い水準にあるため、約1年の留学費用が削減できるのは魅力的だと言えます。

デメリットは、この制度を採用している大学が限られているということです。今のところ、優秀な留学生を優先的に獲得したい中堅レベルの大学がインターナショナルイヤーワンを採用する傾向にあり、高ランキング大学の多くはインターナショナルイヤーワンを採用していません。

IBルート:イギリス学生と同じ

日本でも国際バカロレア(IB)高校が増えてきました。IBがあればイギリスの学生と同じように直接大学1年次に出願することができます。

もし、将来的に海外大学進学を視野に入れているのであれば、日本での学校選びの際にIB校を選択肢に入れておいてもいいでしょう。

IBのメリットは卒業までの年数がイギリス学生と変わらないというだけでなく、IBの持つカリキュラムにもあります。IBの勉強の課程で幅広い知識と外国語教育を受けることができ、海外大学進学にあたって不安に感じることは少ないと言えます。

一方でデメリットは、学費が比較的高いことや難易度が高いことがあります。IBを取らないとイギリスの大学に進学できないわけではないため、あくまでもIBカリキュラムに魅力を感じている人がIB校進学を検討すればよいと言えます

イギリスの大学教育の目的

106校あるイギリスの大学は、大きく2種類に分かれます。1つはアカデミック校、もう1つはキャリア校です。

アカデミック校とは、学術研究を主体としたカリキュラムを組んでいる大学のことです。歴史の古い大学や規模の大きな総合大学の多くがアカデミック校です。

一方でキャリア校は、職業に直結するスキルを学ぶ大学を指します。専門学校的な意味合いも色濃くあります。多くのキャリア校は、もともと「ポリテクニック」という国立の職業訓練学校からここ20年ほどの間に大学に昇格した教育機関です。

同じ「University」という名称がついていても、中身はこのように大きく二分されています。入学難易度や学費だけで大学を選ぶのではなく、大学の性格をしっかり把握することが大切です。

イギリスの大学の学期と授業の仕組み

学期

イギリスの大学は、一部の例外を除き2学期制です。新年度は9月に始まり、2月から後期が始まります。

授業スタイル

イギリスの大学授業は以下の4つの形式の組み合わせで行われます。

レクチャー

100人以上の大教室での講義です。

セミナー

10~15人程度の小規模クラスです。指導教官のもと、学生が主体となってプレゼンテーションやディスカッションを行います。

チュートリアル

学生2~3人と指導教官による個別指導です。

レクチャー、セミナー、チュートリアルの組み合わせ割合は大学の方針や学部内容によって異なります。

成績の付け方

イギリスの大学ではおもに次の3つの方法によって成績が決まります。

・試験
・プレゼンテーション
・レポート

いずれも日本と大きく異なるのが、主体的にテーマに取り組み、発信する力があることに重点が置かれていることです。

イギリスの大学は伝統的に、学生を評価によって「振り落とす」のではなく、指導教授一体となってポテンシャルを「引き上げる」という理念があります。大教室でのレクチャーばかりで誰に質問していいかわからないということもありませんし、たとえ時間がかかったとしてもじっくり学ぶ人を見捨てるという選択肢はイギリスにはありません。

粘り強く勉強する意志のある留学生にとっては、イギリスの大学教育理念は理想的だとも言えるでしょう。

なお、イギリスの大学授業の進み方や成績について詳しく知りたい人は、留学生記者が書いたレポート「イギリスの大学授業はこう進む。現役留学生の時間割実例つきガイド」もぜひ参考にしてください。

イギリスの大学院は1年

ロンドン大学シティ校(City, University of London:略称CUL)

イギリスの修士課程の大きな特長は、以下の2つのコースから選ぶという点です。

・リサーチコース(Research Course)
・トートコース(Taught Course)

リサーチコースは自分なりの研究課題を持っている人が、教授の指導を受けながら自分なりのカリキュラムを作るプログラムです。

一方、トートコースは学部と同じように授業を受講し、レポート提出やプレゼンテーション課題などを通じて評価を受けるプログラムです。

多くの修士課程は1年で学位取得が可能です。北米や日本と比べると留学費用が1年間削減できるだけでなく、社会に早く出て就職できるというメリットもあります。

その点から近年では、なるべく早くキャリアに復帰したいという社会人の学び直しという点でも注目が高まっています。

仕組みを知れば最適なルートがわかる

イギリスの大学制度は日本の大学制度と異なる面があります。最終学歴や高校時代の成績、行きたい大学によって、入学ルートを適切に選ぶことが大切です。

また、大学院の修士課程は基本的に1年です。学費・滞在費が1年で済むことから、留学生にとっては嬉しいメリットと言えます。

大学・大学院ともに、学生を見捨てることなく卒業まで導くのがイギリス教育の考え方です。イギリスの大学の仕組みを知って、留学先選択の参考にしてください。

(留学プレス編集部)

オックスフォード大学
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