ランカスター大学(Lancaster University)は、イギリス・イングランド北西部ランカスターにキャンパスを持つ大学です。
イギリス伝統のカレッジ制の大学で、学生は9つのいずれかのカレッジの中で生活しながら学びます。
大学ランキングではイギリストップ10に選ばれ、国際的にも名が通っています。強い分野は経営マネージメントや言語学などがあります。
また、イギリスでは数少ない自由度の高いフレキシブルな学習システムがあります。手厚い学習サポートにより学生の満足度は高く、大手企業からも注目されています。
本記事は、ランカスター大学への留学に興味がある人に向けた大学留学ガイドです。偏差値や難易度、ランキング、学部、出願要件まで詳しくお伝えします。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
『留学プレス』留学生記者/小島なお(イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター) テーマ:イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
ランカスター大学の基本情報
設立年 | 1964年 |
形態 | 国立 |
難易度 | ★★★☆☆ |
合格率 | 84.7% |
学生数 | 16,403人 |
留学生数 | 5,151人 |
人気の学部 | MBA 言語学 コミュニケーション・メディア 演劇・ダンス・映画 アート・デザイン 生物医学 |
学費例(年間) 費用検索はこちら Study at Lancaster | 学部課程 24,475ポンド 大学院課程 31,500ポンド |
ランカスター大学の場所
ランカスター大学は、イギリス北西部ランカスター郊外にあります。約5km離れた自然豊かな地域です。
ランカスターは、ランカスター城など歴史スポットのある落ち着いた街です。一方でショッピングや食事、パブなどを楽しめる賑やさもあります。
イギリス各地の観光地へもアクセスばつぐん!ピーターラビットの故郷の湖水地方、海沿いの街モアカム、古都ヨークなどに行きやすい場所にあります。
大きな都市ではリバプールやマンチェスターが近く、どちらも車で約1時間の距離にあります。ロンドンまでは大学直通のバスを利用し、約7時間でアクセスできます。
ランカスター大学はイギリス伝統「カレッジ制」の大学
ランカスター大学へ留学すると、イギリスの伝統的な大学システム「カレッジ制」の環境で学生生活を送ることができます。
カレッジ制とはひとつの大学の中に複数のカレッジを置くシステムのこと。オックスフォード大学やケンブリッジ大学もカレッジ制の大学です。
「大学」が講義や試験を行い学位を与える場所であるのに対し、「カレッジ」は学生にとって生活と勉強の場です。カレッジには学生寮、学習スペース、バーやキッチンのほか、ゲーム室など娯楽施設もあります。
ランカスター大学には9つのカレッジがあり、大学のことを「9つのカレッジが合わさったひとつの家」と呼んでいます。
友人たちとカレッジで生活を共にし、刺激し合い助け合い、時には一緒に思いっきり羽を伸ばしたり。ここで生まれる結束力は、卒業後の人生に大いに役立ちますす。
授業の枠を超えてかけがえのない仲間と貴重な時間を過ごす、それがカレッジ・システムの最大の醍醐味です。
1年目に3専攻を学ぶ!幅広く柔軟性の高い学位プログラム
ランカスター大学の学部課程では、1年次に最大3専攻を学べるチャンスがあります。
このようなシステムはイギリス国内の大学の中では珍しいスタイル。主専攻とほかの副専攻を同時進行で学べるシステムです。
ランカスター大学では主専攻以外の分野も広く学ぶことで将来の進路選びに役立つと考えています。また、他大学の同じ専攻の学生との差別化にもなり、就職に有利になることも目指しています。
ただし、副専攻は必須ではありません。もし狭く深く学びたいのであればとらなくても大丈夫。あくまで軸になる専攻プラスアルファで学びたい人におすすめです。
学生の満足度が高い
イギリス全国学生調査では、ランカスター大学の学習支援が手厚いことと、勉強したいと思ったときに気軽に施設を使える体制でイギリストップクラスと評価されました。
学生全体の約90%が学業サポートに満足し、図書館や各科目の教材、ITサービスなどを利用しやすいと回答しています。
「言語学」で世界ランキング10位!
ランカスター大学は言語学に強く、最新のランキング(QS大学ランキング科目別2023年版)では世界トップ10に選ばれました。
コーパス言語学の研究は、クイーンズ・アニバーサリー賞(イギリスの高等教育でとても栄誉のある賞)も授与されています。
言語学・英語学科は、言語と社会や精神的な関わりなどに注目し、問題の解決に取り組んでいます。
これまで、失読症の研究や犯罪防止、健康コミュニケーションや言語能力の向上、オンライン虐待からの保護など社会に役立つ活動をしてきました。
言語学部の規模はイギリス国内でも最大級です。施設には音声学研究室や知覚・学習研究室、脳波研究室などがあり、最先端の言語学研究を進めています。
MBAは英国内10位の高い評価
ランカスター大学マネージメントスクールは、3つの由緒あるビジネススクール機関から国際的な認定を受けている数少ないビジネススクールで、MBA(経営学修士)の分野でも上位にランクインしています。
2022年にイギリスのファイナンシャル・タイムズ紙が発表したビジネス・スクールランキングでは、イギリス国内10位、ヨーロッパ内で54位でした。カテゴリー別ランキングにおいて企業戦略教育では世界トップ、コストパフォーマンスでは世界2位、平均給与上昇率はイギリス国内トップに評価されています。
ランカスター大学のMBAコースは、少人数制のクラスとケーススタディを盛り込んだプログラムが特徴的です。コースでは実践で求められる洞察力、ビジネス課題に向き合う能力の向上を目指していきます。
学生はコンサルタントとして様々な企業を定期的に訪問したり、実際にクライアントと企業課題に関わる機会があります。
MBAのネットワークは幅広く、学生や卒業生、起業家や中小企業から大企業の関係者まで幅広く交流を深められます。
MBAコースへの出願要件は、学士号(4年制以上)で75%またはB+、3.0/4.0の成績、卒業後3年以上の管理職レベルの職務経験が必要です。英語力はIELTS総合6.5、各項目で6.0以上が求められます。そのほか推薦状や自己PR文、面接で選考が行われます。
企業が最も注目する大学のひとつ
ランカスター大学は、2023年の新卒市場で企業から最も注目される大学としてイギリス国内トップ25以内に選ばれました。
アマゾン、アップル、グーグル、バンク・オブ・イングランド、HSBCなど大企業がこの調査に参加しています。
著名な卒業生
ランカスター大学は、各界で活躍する著名な人物を輩出してきました。
以下に卒業生の一部をご紹介します。
ナヘド・タヘル | サウジアラビアの実業家、ガルフ・ワン・インベストメント・バンクのCEO。 |
マーク・イアン・プライス | イギリスの実業家。フェアトレードUK会長、貴族院議員、ジョン・ルイス・パートナーシップ常務取締役や通商投資担当国務大臣を務めた人物。 |
ロバート・フィスク | イギリスの作家、ジャーナリスト。国際特派員として紛争地帯を取材し、アルカイダ最高指導者、オサマ・ビンラディンにインタビューした数少ない人物。国内外で多数のジャーナリスト賞を受賞。 |
ランヴィール・シン | イギリスのジャーナリスト、テレビ司会者。グッドモーニングブリテンのニュースリーダー兼副司会者。 |
アンドリュー・ミラー | イギリス・ブリストル生まれの小説家。処女作「Ingenious Pain」で3つの文学賞を受賞。 |
ライナー・ヘルシュ | イギリスの指揮者、俳優、作家、コメディアン。クラシック音楽とコメディで知られ、30ヶ国以上でツアーを行った経歴を持つ。 |
アラン・キャンベル卿 | イギリス労働党の政治家で国会議員。労働党主席幹事を務める。 |
ルーシー・エリザベス・ロジャース | イギリスの発明家、作家、エンジニア。イギリスのテレビBBC Twoの番組、ロボットウォーズで審査員を務めた。 |
ランカスター大学の学部
The Ruskin Library, Lancaster University
ランカスター大学には次の4つの学部があります。
芸術社会科学部 | 教育研究 英文学・クリエイティブライティング 歴史 現代芸術研究(建築、美術、デザイン、映画、演劇) 言語・文化(中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語) 法学(犯罪学、法律) 言語学・英語 政治/哲学/宗教 社会学 |
健康医学部 | 生物医学・生命科学 健康研究 ランカスター・メディカル・スクール |
経営学部 | 会計・財務 ビジネス・経営 教育訓練開発センター 経営学 起業家精神・戦略 経営科学 マーケティング 組織/ワーク・テクノロジー |
理工学部 | 化学 コンピュータ・通信 工 ランカスター環境センター(生物科学、環境科学、地理学) 数学・統計学 自然科学 物理学 心理学 |
ランカスター大学の難易度
日本とイギリスの大学制度の違いと偏差値
イギリスと日本の入学制度は少し異なります。日本では試験による偏差値方式ですが、イギリスでは書類選考がメインです。
また、義務教育制度が異なることから、日本の高校を卒業した学生は一部をのぞいて大学入試前に「大学準備コース(ファウンデーションコース)」を受講します。
ファウンデーションコースでの成績も考慮されて、大学に正式に入学を認められます。
詳しくは「イギリスの大学の仕組みとは?何年で卒業できるの?日本と大学教育制度を比較」も参考にしてください。
ランキング
世界大学ランキング
イギリス国内ランキング
コンプリート・ユニバーシティ・ガイド 2024年 | 10位 |
ザ・ガーディアン 2024年 | 11位 |
合格率
イギリスの総合出願機関、UCASが2022年に発表したランカスター大学の合格率は84.7%でした。
ランカスター大学に留学するには?
大学準備コース
日本とイギリスでは教育制度が違います。日本の高等学校を卒業してすぐにイギリスの大学に進学する場合は、まず「ファウンデーションコース」と呼ばれる大学準備コースを受講するのが一般的です。
ファウンデーションコースの期間は約1年間です。その後3年の学部課程へと進み、計4年で卒業が可能です。
「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。 特に、日本と異なる教育制度を持つイギリ[…]
ランカスター大学が推奨するファウンデーションコースは、以下の4つの分野から選べます。
- ビジネス/経済学/会計学
- 工学/コンピューター/数学
- 生命科学
- 社会科学/人文科学
高等学校卒業証明書にて優秀な成績を収め、IELTS総合4.5、ライティングで4.5以上の英語力スコアが必要です。
大学(学部課程)へ直接入学する場合
イギリスの大学入試資格Aレベルや国際バカロレアを取得している人は、ランカスター大学の学部課程コースに直接出願できます。
英語力は多くのコースでIELTS総合6.5、各項目で5.5以上が求められます。詳しい出願要件は各コースによって異なりますので、コースページで確認してみてください。
Entry Requirements
English language requirements for undergraduate applicants – Lancaster University
大学院課程
4年以上の学士号を取得し、成績が75%もしくはB+、4.0中3.0以上証明できる人は、ランカスター大学の大学院課程に直接出願できます。英語力はコースによってIELTS総合6.5〜7.0、 各項目で5.5〜6.5以上が必要です。
そのほか追加で出願要件を求められる場合もありますので、各コースページで確認してみてください。
Postgraduate entry qualifications – Lancaster University
English language requirements for postgraduate applicants – Lancaster University
大学院課程準備コース
大学院課程に直接出願する条件に満たない場合は、プレ・マスター・コースという大学院課程準備コースの受講が近道です。
以下の3つの分野からコースを選択できます。
- ビジネス/経営学
- 科学/技術/工学/数学
- 社会科学/法学
希望コースに関連する科目で学士号を取得していることと、IELTS総合5.0、ライティングで5.0以上の英語力スコアが必要です。
ランカスター大学の留学経験を未来に繋げよう
ランカスター大学は多方面で高く評価されているトップレベルの大学です。
街の中心から離れた緑豊かなロケーションにあり、落ち着いた環境のなか学業に専念できます。イギリス北部の主要都市へのアクセスが良く、周辺を観光するのも楽しみのひとつです。
柔軟性の高い学習プログラムやカレッジ・システムなど、ランカスター大学の独自性がたくさんの学生を惹きつけています。
「ランカスター大学で暮らすように学ぶ。」
生活をともにする素晴らしい仲間と結ぶ強い絆は、卒業後も続く未来へのサポートとなるはずです!