リバプール大学（University of Liverpool）は、イギリス北西部のリバプールにある大学です。
リバプールは世界的ロックバンド、ザ・ビートルズゆかりの地です。そのため毎年多くの音楽ファンや観光客が訪れています。
リバプール大学は、教育の質が高く評価されており、世界大学ランキングでは200位以内、イギリス国内では30位以内のトップ圏に入っています。
名門研究型大学が加盟する「ラッセル・グループ」や、イギリスの産業都市にある複数の大学から成る「赤レンガ大学群」のメンバーでもあります。
世界唯一のサッカー産業MBAコースや、ひとつの学位で2つの科目が学べる複合学位など、ほかと違った特色があります。
本記事は、リバプール大学への留学に興味がある人に向けた大学留学ガイドです。難易度や偏差値、学部、学費、入学条件まで詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
『留学プレス』留学生記者／小島なお（イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター） テーマ：イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
リバプール大学の基本情報
| 設立年 | 1881年 |
| 形態 | 国立 |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 合格率 | 69.2%（2022年） |
| 学生数 | 約22,000人 |
| 留学生数 | 約7,700人 |
| 人気の学部 | 建築学 工学 歯学 獣医学 MBA スポーツ 心理学 |
| 学費例（年間） 費用検索はこちら Subjects – Courses – University of Liverpool | 学部課程 23,200ポンド 大学院課程 30,000ポンド |
リバプール大学の場所
リバプール大学のメインキャンパスはイングランド北西部、リバプールの中心部にあります。獣医学キャンパスはメインキャンパスから離れたネストンという町にあります。車で30分ほどの距離で、緑豊かなところです。
また、中国の蘇州市の工業園区にはイギリス国外キャンパスがあります。
リバプールはイギリス屈指の港町で、船舶の拠点として栄えた歴史があります。ロック・バンド、ザ・ビートルズの出身地として世界的に有名なので、ビートルズにまつわるスポットがたくさんあります。
イングランドのプレミアリーグ所属のサッカークラブ、リバプールFCの本拠地でもあります。熱狂的なサッカーファンが多く訪れる街でもあります。
数々の歴史的建造物や美術館も見どころです。
2つの名門大学群「ラッセル・グループ」と「赤レンガ大学群」のメンバー
イギリスには名門大学で構成される大学グループがいくつかあります。そのうちリバプール大学は2つの大学グループのメンバーです。
まずひとつ目は「ラッセル・グループ」です。
イギリスの研究型大学24校で構成され、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンなど研究に強い名門大学がメンバーとして名を連ねています。
もうひとつは「赤レンガ大学群」です。
19世紀から20世紀初頭にかけてイギリスの産業都市に設立された、主に赤いレンガ造りの校舎を特徴とする大学のグループです。
マンチェスター大学、リーズ大学、ニューカッスル大学など6校から成り、メンバー校は古くから伝統的に工学や科学、技術などの分野に強みがあります。
最高レベルと評価された教育水準
リバプール大学は、イギリスの学生局が運営する「学部課程における評価ランク（TEF 2023）」で最高評価の金賞を獲得しました。
TEFでは学生の修了率や進級率、指導内容やサポートなどが判断基準となり、教育の質や学生の優越性をもとにランク付けされています。
リバプール大学が金賞を獲得した最大の理由は、学生の声が大学の戦略や活動に反映されていることでした。
ひとつの学位で2専攻を学べる複合学位
リバプール大学には、ひとつのコースのなかで2専攻を学べるユニークなカリキュラムがあります。
以下の3パターンから組み合わせを選択できます。
【ジョイント（50/50）】
150以上の専攻コンビネーションから選べます。
▼組み合わせ例
・法学＋ビジネス
・歴史＋音楽
・政治＋映画学 など
【メジャー/マイナー（75/25）】
主専攻75％、副専攻25％の割合で学ぶコースです。
▼組み合わせ例
・コミュニケーション・メディア＋ゲームデザイン
・犯罪学＋社会学
【言語オプション】
フランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語、スペイン語、ポルトガル語など8つの言語と専攻科目を合わせて学べるコースです。
リバプール大学のサッカー産業MBA
イングランド屈指のサッカーチーム、リバプールFC本拠地でサッカー関連の経営学を学びたい！
そんな人にはリバプール大学が提供する、世界で唯一の「サッカーに特化したMBA（経営学修士）」がおすすめです。
サッカークラブや運営組織、スポンサー企業など、サッカービジネス界で働くために必要なスキルを身につけます。
▼専攻例
・サッカー経済学と分析学
・国際サッカー産業
・リーダーシップ、マネジメントと組織
・財源管理
・戦略と組織
卒業生からは、リバプールFC、マンチェスター・シティFC、セルティックFCなどサッカー業界をはじめ、アディダスやナイキ、NBAなどのスポーツ関連の業界でも活躍する人材が多数生まれています。
出願に必要な英語力は、IELTS総合6.5、各項目で6.0以上です。英語力に加え、以下のような資格が求められます。
・最低3年以上の管理職経験
・イギリスの学士号、アッパー・セカンドレベルの学位、または英国以外の国の相当する学位を取得している
・学士号がない人は5年以上の幅広い職務経験がある
・大学院資格を取得している
・学士号はあるけれども成績／職歴で入学基準に満たない日本人学生の場合、付属のプレ・マスターズコース（修士号準備コース）の受講で入学許可される場合があります。
ノーベル賞受賞者も！著名な卒業生
リバプール大学からは、多数のノーベル賞受賞者を含む著名な人物が生まれています。
以下に卒業生の一部をご紹介します。
【ノーベル賞受賞者】
| ロナルド・ロス卿 | 1902年にマラリアの感染に関する業績によりノーベル生理学・医学賞を受賞。 |
| チャールズ・グラバー・バークラ | X線（レントゲン線）の研究で1917年にノーベル物理学賞を受賞。 |
| ジェームズ・チャドウィック卿 | 1932年に中性子を発見した功績でノーベル物理学賞受賞。 |
| チャールズ・スコット・シェリントン卿 | 神経細胞ニューロンの研究でノーベル賞生理学・医学賞受賞。 |
| ロドニー・ロバート・ポーター | 抗体の化学構造に関する研究でノーベル医学生理学賞受賞。 |
【その他の著名な卒業生】
| エドウィン・マックスウェル・フライ | イギリスのモダニズム建築家、画家、作家。 |
| ジェームズ・ロバート・B・クインシー | イギリス人事業家。ザ・コカ・コーラ・カンパニーでCOOを務めた経歴がある人物。 |
| ヘレン・リンゼイ・マーニー | スコットランド出身のミュージシャン。エレクトロニック・バンド、レディトロンのリード・ヴォーカリスト、キーボーディスト、ソングライター。 |
| ダウダ・カイラバ・ジャワラ卿 | ガンビアの政治家、初代大統領。 |
| アキ・パシンポイカ・リヒラハティ | フィンランドの元サッカー選手でサッカークラブ・HJKヘルシンキCEO、FIFAの役職を務めた人物。 |
リバプール大学の学部
Central Teaching Hub, Taken at the University of Liverpool
リバプール大学の学部は理工学部、人文社会科学部、健康・生命科学部の3つです。そこから以下の33の専攻を学べます。
| 理工学部 | 電気・電子工学 コンピュータサイエンス 環境科学 地球科学 地理学 化学 数学 航空宇宙工学 物理学 データ 機械工学 工学 |
| 人文社会科学部 | 建築学・建築計画学 コミュニケーション、映画、メディア ゲームデザイン 哲学 英語 音楽 考古学、古典学、エジプト学 歴史学 アイルランド研究 言語と文化 法学 ビジネスと経営 会計、金融、経済学 政治学 社会学・社会政策・犯罪学 心理学 |
| 健康・生命科学部 | 生物学・生物医学 歯学 健康科学 医学 獣医学 |
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リバプール大学の難易度
日本とイギリスの大学制度の違いと偏差値
イギリスと日本の大学入試制度は少し異なります。日本では試験による偏差値方式ですが、イギリスでは書類選考がメインです。
また、義務教育制度が異なることから、日本の高校を卒業した学生は一部をのぞいて大学入学前に「大学準備コース（ファウンデーションコース）」を受講します。
ファウンデーションコースでの成績も考慮されて、大学に正式に入学を認められます。
詳しくは「イギリスの大学の仕組みとは？何年で卒業できるの？日本と大学教育制度を比較」も参考にしてください。
ランキング
世界大学ランキング
イギリス国内ランキング
| コンプリート・ユニバーシティ・ガイド 2024年 | 24位 |
| ザ・ガーディアン大学ランキング 2024年 | 36位 |
合格率
イギリスの総合出願機関UCASが2022年に発表した合格率は69.2％でした。
リバプール大学に留学するには？
大学準備コース
日本とイギリスでは教育制度が違います。
日本の高等学校を卒業してすぐにイギリスの大学に進学する場合は、まず大学準備コースを受講するのが一般的です。
ファウンデーションコースを終えたら3年の学部課程へと進み、計約4年で卒業が可能です。
リバプール大学が推奨するファウンデーションコースは、ビジネス、法律、社会科学と科学・工学の2つのコースがあります。
コース期間は最短で約4ヶ月、最長11ヶ月です。
求められる英語力スコアはコース期間によって異なりますが、IELTS総合4.0〜5.5以上、各項目で4.0〜4.5以上必要です。
高等学校卒業証明書にて2年目の平均成績が5中3以上が必要です。
大学（学部課程）へ直接入学する場合
イギリスの大学入学資格Aレベルや28点以上の国際バカロレア、SAT（アメリカの大学受験のための統一試験）を取得している人は、リバプール大学の学部課程に直接出願できます。
また、日本の大学の学部課程1年目修了後のGPAで、良好な成績を証明できる学生も出願できます。
必要な英語力はコースによってIELTS総合6.0〜7.5、各項目で5.5〜7.0です。
詳しくは各コースページで確認してみてくださいね。
Your country/region – Japan – University of Liverpool
IELTS key – University of Liverpool
大学院課程準備コース
リバプール大学では、大学院コースに直接出願できる資格を持たない人に向けて、大学院課程向け準備コースを提供しています。
コース内容は以下の3つから選べます。
・ビジネス、経済学、金融
・法学、社会科学
・理工学
求められる英語力スコアはコース期間によって異なりますが、IELTS総合4.5〜5.5以上、各項目で4.0〜5.0以上必要です。
日本の学士号の成績でGPAが2.3／4.0以上（合格点が2.0の場合）、またはGPAが1.6／4.0以上（合格点が1.0の場合）必要です。
大学院課程
リバプール大学の大学院課程に直接出願するには、日本で学士号を取得していることが条件です。
コースによって求められる成績が変わります。
イギリスの学位レベル2:1（アッパーセカンド）相当の成績を求めているコース
↓
日本の学士号でGPA3.0〜4.0もしくはグレードB
イギリスの学位レベル2:2（ローワーセカンド）相当の成績を求めているコース
↓
日本の学士号でGPA2.5〜4.0もしくはグレードC
求められる英語力スコアはコース期間によって異なりますが、IELTS総合6.5〜7.5、各項目で5.5〜7.0以上必要です。
Your country/region – Japan – University of Liverpool
Postgraduate English Language entry requirements – University of Liverpool
リバプール大学で最高峰の教育に触れ、国際感覚を養おう
活気ある港町、リバプールにキャンパスを構えるリバプール大学。音楽や芸術にサッカーと多彩なアクティビティが楽しめる場所にあります。
長い歴史を持ち、100年以上に渡ってノーベル賞受賞者など、国際的に活躍する人物を輩出してきました。
名だたる名門大学と肩を並べる強い研究力で様々な分野を牽引しています。
ユニークなカリキュラムを利用することで、特定の分野と興味のあることを掛け合わせながら学べるのもポイントです。
加えて専門分野と多言語を学ぶコースなどを設け、国際感覚を育むことの大切さを伝えています。
ぜひリバプール大学に留学して、国際的な活躍を目指してみてくださいね。
