日本とカナダの大学では入試方法が異なります。日本では偏差値で大学の難易度が予測できますが、カナダには偏差値というシステム自体がありません。
しかし、カナダの大学に正規留学したい人にとって、難易度は絶対に知っておきたいものです。自分の学力で合格圏内の大学はどこか、何校に出願をしたらいいのか、滑り止めはどこにしたらいいのか、などを決めるのに、偏差値に代わる目安が必要です。
この記事では、カナダの大学に正規留学をしたい人のためにカナダの入試制度と偏差値(難易度)目安について解説します。州によって異なる教育システムや他の国にはないカナダ独自の大学であるユニバーシティカレッジ、四年制大学に有利な編入などについても触れていきます。
さらに、カナダの大学で合格を勝ち取りたい人のための勉強計画についてもお伝えします。当日の点数で足切りされてしまう日本の大学入試と違って、カナダの大学入試ルートはひとつではありません。長期的にしっかり計画し、自分に合った方法で対策をたてれば合格がぐっと近づきます。
ぜひ参考にして、志望大学への合格を手に入れてください!
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偏差値の代わりとなる目安
日本の大学入試は一発勝負の試験結果で、点数が出ます。その点数を元に偏差値が決められ、ある程度の合格率を割り出すことができます。
一方、カナダの大学入試は試験の点数では合否を決めていません。偏差値の代わりに「大学ランキング」「内申点(GPA)」「競争倍率」「英語力」「SAT/ACTなどの共通テスト」が難易度の目安となります。
大学ランキング
まず最初に目安にしたいのが大学ランキングです。特に有名なのがTimes Higher Education(THE)とQuacquarelli Symonds(QS)が毎年発表している「世界大学ランキング」です。ランキングは大学の研究成果や学生満足度、多様性、施設などさまざまな指標を元に決められています。
参考までに最近の大学ランキング(カナダ国内トップ10)をご紹介します。
QS 2024 | THE 2024 | |
1位 | トロント大学 | トロント大学 |
2位 | マギル大学 | ブリティッシュコロンビア大学 |
3位 | ブリティッシュコロンビア大学 | マギル大学 |
4位 | アルバータ大学 | マクマスター大学 |
5位 | ウォータールー大学 | アルバータ大学 |
6位 | ウェスタン大学 | モントリオール大学 |
7位 | モントリオール大学 | ウォータールー大学 |
8位 | カルガリー大学 | オタワ大学 |
9位 | マクマスター大学 | カルガリー大学 ウェスタン大学 (同率9位) |
10位 | オタワ大学 |
別の視点からみたランキング(社会の評判、学生の満足度、科目別)などについては「カナダ大学ランキング|学生や社会の評判、科目別など5種類のランキングをご紹介」でも詳しくご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
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内申点(GPA)
最終学歴の成績である内申点=GPA(Grade Point Average)は、合格率を測る重要な目安です。カナダ大学入試でもっとも重視されているのが最終学歴のGPAといっても過言ではないでしょう。
自分のGPAを知りたい人はWES(World Education Services)のツールで換算することができます。大学ではそれぞれのGPA換算式を持っているため、必ずしもWESの結果と完全に一致するとは限りませんが、わかりやすい目安になるでしょう。
最近ではトップ大学の多くは公式サイトでGPAの最低基準や合格者の平均GPAを公表しています。自分のGPAで志望大学に入れる可能性があるのかどうか、ぜひ参考にしてみてください。
倍率(合格率)
合格率も目安のひとつとなる指標です。特にランキング上位校の多くは公式サイトで合格率を公表しています。
合格率は学部によって異なります。また、公表されている合格率は多くの場合、カナダ学生も入ったパーセンテージとなっています。
語学力(英語またはフランス語)
留学生の出願には語学力スコアの提出が必要です。英語で授業を行う大学であればTOEFL(r)やIELTS、フランス語で授業を行う大学であればTEF、TCF、DELF、DALFなどを提出します。
本来、語学力スコアは大学の授業についていける最低限の語学力を証明するためのものです。しかし、当然ながらレベルの高い大学になればなるほど学生の論文やディスカッションの質も高く、おのずと高い語学力も必要となります。
そんな事情もあってか、レベルの高い大学では規定の語学力スコアを高めに設定する傾向にあります。
SAT/ACTなどの共通テスト
SATとACTは北米の高校生が受験する共通テストの一種です。大学進学の能力を測る標準テストで主にアメリカ合衆国で使われます。
アメリカと国境を接するカナダの学生はアメリカの大学に進学する人も多いため、カナダでもSATやACTが指標として使われることがあります。
カナダの大学は、留学生にはSATやACTの提出が義務付けていない大学がほとんどです。また、カナダ学生に対しても必ずしもSAT/ACT提出を求めていなかったり、GPAが低い場合のみ提出条件となるケースもあります。
もし、自分の志望大学が国内学生へのSAT/ACT提出を義務付けている場合、大学が公表している合格者の平均SAT/ACTスコアを見ることで、その大学の難易度を測ることができます。
カナダの大学に入学するには?合格に向けた7つのヒント
何よりもGPAにこだわろう
カナダの大学入試でもっとも重要視されるのはGPAです。カナダでの大学正規留学を目指すなら、高校で良い成績をとっておくことが大切です。たとえば、カナダランキング1位のトロント大学では、公式サイトで「直近2年間の成績」を重要視すると公表しています。
なかには、志望の専攻と関係の深い科目での成績を重視する大学もあります。たとえば理系学部では数学や科学の成績が重視されるケースもあります。
語学力スコアは足切りライン
語学力スコアはカナダの大学入試においてはGPAほど大きな比重は占めません。しかし、きわめて高いスコアを持っている人に有利な点を与える大学もあります。また、足切りラインとなったときに、参考にされるケースもあります。
語学テストは受験すればするほどコツをつかんでいけるうえ、あらかじめ対策も立てられます。何度も受験することで高スコアの獲得につながります。
小論文提出で挽回
GPAであまり良くない人の場合、エッセイ(小論文)での挽回を試みてみてもいいでしょう。
エッセイ提出が必要な大学入試は多くありませんが、大学院入試ではエッセイを求められることが多くなります。実際に、GPAが低かった人がエッセイで逆転合格を勝ち取った例はいくらでもあります。GPAに自信がない人は、エッセイ提出が必要な大学や学部も検討してみてください。
ほとんどのエッセイは「Statement of Purpose」と呼ばれ、その大学への希望動機を述べます。定型的な書き方がありますので、専門家に指導をしてもらいながら作成するか、専門指導書にしたがって作成することを強くおすすめします。
どんなに熱い想いを持っていたとしても、情熱とやる気だけではエッセイは低評価となります。自己流で書くことは避けてください。
ときどき「英会話学校の先生や英語ネイティブの友人にみてもらっているので大丈夫です」という人がいます。英語ネイティブはイコール大学進学のプロではありません。本気で合格を狙うのなら、専門家に指導を仰ぐのが必須です。
GPAも語学力もない人は?編入で合格を狙おう!
GPAが足りない人、語学力が思ったように伸びなかった人は、そのまま直で四年制大学に出願しても不合格に終わるのが目に見えています。しかし、四年制大学への直接出願ではなく、二年制大学からの編入という方法を使えば、合格が現実味を帯びてきます。
まずカナダの二年制カレッジに入学します。そこで2年間学んでから、最終志望大学の3年次に編入します。
編入には多くのメリットがあります。
- 四年制大学よりも難易度が低め
- 二年制カレッジには「編入」のためのプログラムがある
- 同じ州内の編入ならさらに有利
- 二年制カレッジでの成績が最終GPAになる
- 英語力スコアの提出が不要なケースがほとんど
- 四年制大学より学費が安い
- クラス規模が小さめで留学生には心強い
編入を使えば、高校時代にあまり成績が良くなかった人でも、カナダの名門大学合格を勝ち取れるチャンスが生まれます。カナダでは州ごとに独自の教育管轄システムを採っているため、最終志望の大学が決まっているなら同じ州内の二年制カレッジに進むのがおすすめです。
二年制カレッジには私立と公立があります。どちらも編入プログラムを持っています。二年制カレッジを選ぶ際には、志望大学への編入率が高いカレッジや、志望大学用の編入コースがあるカレッジを選ぶのが最短ルートです。
教育の質が高く、世界各国から学生が集まるカナダ。多様性を重んじていて、留学生の受け入れ体制も充実しています。 そんなカナダに特有の学校が「カレッジ」です。カナダの教育制度では高校までが義務教育ですが、高校を卒業すると一般的に四年制大[…]
ユニバーシティカレッジを活用する
カナダには「ユニバーシティカレッジ」というカナダ特有の大学があります。四年制総合大学と二年制カレッジの間のような存在です。ユニバーシティカレッジの期間は四年間で、最初の二年間をユニバーシティカレッジで過ごしてから別の志望大学3年次に編入することができます。
ユニバーシティカレッジのメリットは、編入をする気持ちがなくなったときでも学校にそのまま残り、大学卒業資格(学士号)を取得することもできることです。
「二年制カレッジを終えたときに思ったほど成績が取れていなかったらどうしよう」「行ける四年制大学がなかったらどうしよう」もしそんな不安がある人でも、ユニバーシティカレッジであればそのまま在籍し修了すれば大学卒業資格が得られます。
要注意!教育システムが違うケベック州
カナダのフランス語圏であるケベック州だけは他の州と教育システムが異なります。義務教育は高校2年までで「セジェップ(Cégep)」という2年間の教育機関を経て大学に入学します。大学は基本的に3年間です。
先述した編入ルートも不可能ではありませんが、セジェップの大学進学プログラムに通ってから進学するほうがスムーズです。この場合、セジェップ2年間+大学3年間で合計5年間となります。
なお、フランス語圏でありながら、英語で授業を行う大学とフランス語で授業を行う大学の両方があります。
語学力だけが足りないなら「条件付き入学」
語学力だけがまだ足りないけれどそれ以外の入学条件は合格ラインに達している場合、条件付き入学で仮合格を得ることができます。
入学前に大学が指定する語学学校で語学授業を受講し、その語学学校で大学が指定するレベルのクラスを修了すれば、TOEFL(r)やIELTSスコアを受けなくても正式合格をもらえます。
「条件付き入学とは?英語力が足りない留学生でも大学の合格をもらえる内定制度を活用しよう!」という記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
カナダの大学に行くには計画性が第一
カナダの大学入試は一発テストではなく書類審査です。最終学歴の成績が重視されるので、高校や編入のための二年制カレッジで高いGPAをとり、志望大学の合格を目指しましょう。
カナダの大学は個性豊かです。偏差値や難易度だけでなく、その歴史、国際性、研究内容、キャンパスの特徴なども検討して志望大学を決めていくのがおすすめです。
ぜひ自分に合う大学を見つけて、充実の大学生活を送ってください。
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