日本の夏の定番アルコールドリンクといえば?
冷え冷えの酎ハイやビールは欠かせないですよね。イギリスはというと、ビールはもちろんのこと、冷えたワインやシャンパン、そしてカクテルが人気です。
カクテルの中でも、夏の定番は『ピムス(Pimm’s)』!イギリス人なら誰もが知っている、紅茶に並ぶ代表的なドリンクです。
ピムスはフルーツや野菜を感じられるさわやかテイストもさることながら、夏バテ防止にもピッタリなところも魅力です。『食欲不振の解消』『疲労回復』『冷却作用』など、カクテルでありながらヘルシーで罪悪感なしなのが嬉しいポイントです。
そんなこともあってか、イギリスではウィンブルドン選手権やロイヤルアスコットといった大イベントでは人気ドリンクとなっています。
私ははじめてイギリスでピムスをトライしてからすっかりピムスの虜になり、毎年夏はピムスで乾杯します。ピムスを飲むとやっと、「ああ、イギリスに夏が来た!」と思えるのです。
こちらの記事では、イギリス在住の筆者が本場のピムスの作り方とその魅力をお伝えいたします。
フルーツやミントを使ったおとなのカクテル。夏バテにいい理由は?

ピムスと聞いても、どんなものか想像がつかない方も多いですよね?
ピムスとはアルコールリキュールのことで、アルコール度数は焼酎と同じくらいの25%。リキュールにはハーブやフルーツエキスなどが含まれています。そのまま飲むものではなく、何か他の飲料と割って飲むことを前提として作られたものです。
現にイギリスでピムスをオーダーしても、リキュールだけがオンザロックなどで出てくるわけではありません。一般的には炭酸水とフルーツ、キュウリ、ミントなどをミックスした、ピムスカップというカクテルとして提供されます。色はきれいなオレンジ色をしており、鮮やかでとってもおしゃれなカクテルなんですよ。
ピムスのリキュールには6種類あり、一番人気はジンがベースのPimm’s No.1です。他5種類のピムスはベースが異なります。
・Pimm’s No.2 スコッチ・ウィスキー
・Pimm’s No.3 ブランデー
・Pimm’s No.4 ラム
・Pimm’s No.5 ライ・ウィスキー
・Pimm’s No.6 ウォッカ
紅茶に並ぶアイコニックなドリンク
イギリスを代表する飲み物といえば紅茶。しかし、ピムスも立派な国民的ドリンクです。
イギリスの空港では、必ずといっていいほどピムスのボトルが免税店で売られています。ボトルデザインはユニオンジャックのものも。そしてピムスはロイヤルワラントこと英国王室御用達ブランドであり、まさにイギリスを代表するドリンクなのです。
甘くてほんのり苦い、けどさっぱり
アルコール度数25%と聞くと、すごく強そうなイメージですよね。しかし、私がはじめてピムスを飲んだ時の感想は「すごく飲みやすい!」。
まず、甘くてフルーティー。そしてちょっぴり苦味があるのですが、甘すぎるものが苦手な私にはちょうどいい。そのほんのりとした苦味でさっぱり感が増します。
フルーツはオレンジやイチゴの甘酸っぱさ、ミントで爽やかさがプラスされ、そしてキュウリが入ることでさらにすっきりさっぱりした味を楽しめる、夏にピッタリな美味しいカクテルです。
食欲増進や疲労回復などの嬉しい効能
暑い夏にピムスがピッタリな理由は、カクテルに使われる炭酸水、フルーツ、ミントやキュウリにあります。
まず炭酸水は、シュワッと感が夏にピッタリな飲み物ですね。炭酸水を飲むことで腸を刺激し、夏バテによる食欲不振を予防できると言われています。
フルーツの中でもオレンジやイチゴが入ることで、ビタミン補給で疲労回復効果が期待でき、ミントは言わずと知れた清涼感があり、においが香るだけでスーッとしますね。
そしてキュウリ。キュウリは夏の料理にも良く使われますね。それは、キュウリには冷却作用があり、火照った体をクールダウンしてくれるからなのです。
よって食欲不振を改善し、疲労回復と清涼感が得られ、そして冷却作用のある食材が入ることで、ピムスを飲んで夏バテ予防が期待できます。
とはいえアルコールの飲みすぎは不調を招きます。ほどほどに適量を楽しみましょう。
イギリスの一大イベントならピムスが定番
これほどまでに国民に定着している理由は、ピムスが夏の風物詩であるイギリスの一大イベントで振る舞われていることにあり、主に以下のイベントが挙げられます。
ウィンブルドン選手権
(毎年6月から行われる世界的なテニスの大会。世界4大大会のひとつで全英オープンとも呼ばれる。)
チェルシーフラワーショー
(王立園芸協会RHS主催の園芸イベント。5月にロンドンのチェルシー地区で行われ、世界中から園芸ファンが訪れる。)
ロイヤルアスコット
(6月にアスコット競馬場で行われるイギリス王室主催の競馬イベント。)
ヘンリーロイヤルレガッタ
(田舎町ヘンリー・オン・テムズで行われる1839年から続くボート競技の大会。)
どれも昔から続くイギリスの伝統的なイベントです。そして春~初夏に行われるイベントのため、そこで振る舞われるピムス=夏のドリンクとして国民に愛されてきました。
【レシピ】ピムスを使ったカクテルの作り方

ここではピムスのカクテルを自分で作って楽しむ方法を紹介いたします。日本でもピムスのリキュールは購入可能なので、クラシックなイギリス流の作り方をマスターして、日本にいながらでも美味しく本場のピムスを楽しみましょう!
【材料 3-4人分】
・200ml ピムス(Pimm’s No.1)
・600ml レモネード
・オレンジ、イチゴ、キュウリのスライス、ミント
・氷
【作り方】
(1)ジャグやボウルなど大きな器に半分ほどの量の氷を入れます。
(2)フルーツとキュウリ、ミントを入れ、ピムスを加える。
(3)(2)にレモネードを入れてよく混ぜ、ハイボールグラスに注ぐ。
(4)できあがり!
飲み方はアレンジ次第。スパークリングワインやジンジャーエールも。

一般的には、大きめのジャグで作ったピムスをグラスに注いで飲みますが、もちろんグラス一杯分のみを作ることも可能です。その際はお好きなピムスの分量で濃さを調節すると良いでしょう。
お酒の弱い方はピムスをほんの少量にしてみたり、レモネードの代わりにジンジャーエールでスパイシーにしてみたり、ソーダウォーターやトニックウォーターで甘さ控えめにしてみたり。入れるフルーツも他の柑橘系のもので試してみても美味しいですよ。
他のアルコールとミックスする飲み方もあり、イギリスではピムスにシャンパンやスパークリングワインを加えるピムス・ロワイヤルも人気です。
リキュールの種類ではPimm’s No.1が一番人気ではありますが、ジンが苦手な方は他のバージョンを試してみて下さいね。
ピムスの歴史

ピムス開発者はその名もJames Pimm(ジェームス・ピム)。
日本では江戸時代後期にあたる1840年代、ケント州出身の彼はロンドンでオイスター・バーを営んでいました。そこで健康に良いとされるジンベースのリキュールに、ハーブなどを混ぜて作ったピムスナンバーワンカップというカクテルを客に提供し、人気に火が付きます。
後に後継者がピムの作るカクテルを一般家庭でも人々が楽しめるようにと製造開始したもの、ピムスナンバーワンカップのリキュールが販売開始となりました。
1840年代から今も変わらないピムスの味、その作り方は世界でたった6人しか知らないそうです。
ピムスで日本の夏に彩を

イギリスの夏を象徴するドリンク・ピムス。その魅力はフルーティーでさっぱりとした味、そして夏バテからくる疲労や食欲不振を改善して体のクールダウンが期待できることですね。
色鮮やかで、飲んでいてハッピーな気分になれることもメリットです。ジャグにたくさん用意して、わいわい大人数でのバーベキューやパーティーに大活躍。フルーツいっぱいでおしゃれな見た目は、写真映えすることで盛り上げ役となってくれます。
おもてなしに活躍する一味違ったサマードリンク・ピムスでイギリスの味を楽しみながら、日本の夏をクールダウンして乗り切りましょう!