アメリカ大学の仕組みとは?日本の大学との違いや授業のとり方、何年で卒業できるかなど教育システムを詳しく解説!

世界で一番、大学留学生の数が多いアメリカ。アメリカの大学全体の5.5%は留学生です。100万人以上の留学生が世界各国から集まっています。

英語で授業を受け、多様な国の学生たちと一緒にディスカッションをし、テストや論文を提出するのは決して簡単なことではありません。

しかしこの記事を読んでいるあなたは、決して楽をしようなどとは思っていないと思います。アメリカで学ぶことで、自由で活発な議論ができるようになったり、世界のいろんな国に友人ができたり、卒業後は世界を舞台にキャリアを選べるようになる、そんな未来を実現したいと思っているのではないでしょうか。

このページではアメリカ留学をスムーズに実現に導くために、大学の仕組みをわかりやすく解説していきます。

  • アメリカの教育制度
  • アメリカの大学の種類
  • 授業の進み方
  • 受験の仕方

これらを中心にご紹介するほか、アメリカの学期、何年でどんな学位が取得できるか、アメリカ教育が重視するリベラルアーツとは何を学ぶのか、 専攻・副専攻・コンセントレーションの違い、留学生は働けるのか、といったことにも触れていきます。

最後まで読めば、アメリカの大学に入学し、卒業するまでに必要なことが立体的にみえてくるでしょう。ぜひ参考にしてくださいね!

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アメリカの教育制度はどのような構造?

アメリカの学生は、6歳から18歳までの間が義務教育です。州によって多少異なっていたり、私立校が独自のカリキュラムを敷いていることもありますが、比較的一般的な構造は次のようになっています。

小学校
(Primary, Elementary School)
5年生まで
(6年まである場合も)
中学校
(Middle school、Junior high school)
6年生から8年生まで
(7~8年生だけの場合も)
高校
(Secondary School、High School、College)
9年生から12年生まで。
大学進学を目的とした進学予備校と、就職を目指すキャリア校に分かれます。

進学の年数は違いますが、トータルで見るとおおむね、日本の高校卒業までの期間と同じですね。そのため、日本で高校を卒業していれば、アメリカの大学を受験する資格が得られます

アメリカの大学の種類は?

イェール大学

「カレッジ・ユニバーシティ・インスティテュート」の3つの呼び方

日本語では大学のことはすべて「大学」と呼んでいます。しかしアメリカでは大学であっても「カレッジ」「ユニバーシティ」「インスティテュート」などの名称にわかれます。

どの名称を使うかは大学それぞれの自由ですが、ざっくりした傾向としては次のような特徴にわかれます。

ユニバーシティ
(University)
総合四年制大学。
比較的規模が大きい私立大学や、ほとんどの州立大学がユニバーシティという名称を使います。
カレッジ
(College)
多くのリベラルアーツカレッジが「カレッジ」という名称を使います。

リベラルアーツカレッジとは「幅広く高い教養」を備えた人を育成する大学のことで、多角的な視点で研究やキャリアを磨いていけるようなカリキュラムを持つ米国特有の大学です。

(リベラルアーツの中身についてはこのページ後半でも触れていきます。)

ほとんどのリベラルアーツカレッジは私立大学です。
インスティテュート
(Institute)
理系/技術系大学の多くや一部の芸術大学がインスティテュートという名称を使います。

・Massachusettes Institute of Technology(MIT):マサチューセッツ工科大学
・Fashion Institute of Technology(FIT):ファッション工科大学

などがその代表例です。

州立大学と私立大学

アメリカの大学は運営形態によって州立大学か私立大学かにわかれます。アメリカには国立大学がなく、公立大学はすべて州立大学です。

イメージ的に「州立大学=学費が安い」「私立大学=学費が高い」と思ってしまいがちですが、近年の傾向を見ると必ずしもそうではありません。

州立大学は州内住民の学費と州外から来る学生(留学生もこれにあたる)の学費は違う設定になっています。州立大学は地域の教育水準をあげて地域経済と社会に貢献する役割を担っているため、州内住民には安く学費を設定しているのです。

その結果、州外学生である留学生は、私立大学とあまり変わらない学費設定になっていることも少なくありません。

一方で、私立大学の学費はかなり高い学校から奨学金をふんだんに授与する大学までさまざまです。キリスト教系大学の一部にはかなり低額の学費設定をしている学校もあります。

学費は留学を実現するためのとても重要なポイントです。とはいえ、単に安いか高いかだけでなく、その大学が持つ理念や授業形態、卒業後のキャリアなどをしっかり調べることが大切です。

州立大学と私立大学の違いについて詳しく知りたい人には「アメリカの公立大学は国立ではなく州立か市立!州立大学と私立大学の違いも解説。」の記事が参考になります。ぜひチェックしてくださいね。

技術系大学や芸術系大学

大学のなかには航空学校のような技術系大学や、アート・ファッション・音楽などを専門とする芸術系大学などもあります。

コミュニティ・カレッジってどんな大学?

コミュニティ・カレッジとは、州立の「短期大学」のことです。そのほとんどが2年制で、卒業すると準学士号の学位を取得できます。(※学位についてはこのページ後半でも触れていきます。)

1,200万人以上の学生が在籍し、そのうち10万人以上が留学生です。

コミュニティ・カレッジには

  • 卒業してすぐに仕事に就くための「キャリア・カリキュラム」
  • 四年制大学の3年次に編入するための「編入カリキュラム」

の2つの役割があります。

日本では短期大学から四年制大学へ編入する学生の数はまだまだ多くありません。けれど、アメリカではコミュニティ・カレッジから四年制大学への編入はかなり一般的です。

コミュニティカレッジは学費も安いうえに入学難易度も低めに設定されているので、たくさんの留学生が編入制度を活用しているのです。

コミュニティカレッジに入るには?難易度や入学条件、留学までの流れや費用まで徹底解説!」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください!

アメリカの学期は「2学期、3学期、4学期」の3種類

アメリカ大学の仕組みとは?日本の大学との違いや授業のとり方、何年で卒業できるかなど教育システムを詳しく解説!

アメリカの教育制度では、学年は通常8月か9月に始まります。大学によって2学期(Semester)、3学期(Trimester)、4学期(Quarter)制に分かれます。また、大学や専攻によって違いはありますが、8月/9月以外の時期から入学することもできます。

何年でどんな学位が取得できるの?

日本で大学を卒業すると「〇〇大学〇〇学部を卒業しました!」と言うのが一般的ですよね。

しかし、アメリカやヨーロッパでは「〇〇大学で〇〇(=学位名)をとりました!」と言うほうが一般的です。名刺に学位を書く人も少なくありません。

今後、あなたが海外企業へ就職するときや、大学院に進学して研究に進むときに、学位がとても重要になります。アメリカの大学でとれる学位について覚えていきましょう!

コミュニティ・カレッジで取れる学位

コミュニティ・カレッジでは次のような学位がとれます。

  • 半年程度のコース=Certificate(サティフィケイト、修了証)
  • 1年~1年半程度のコース=Associate Diploma または Diploma(ディプロマ)
  • 2年間の課程=Associate Degree(準学士号)。日本の短期大学や専門学校卒業と同じ学位です。

大学学部課程(Undergraduate)で取れる学位

四年制大学を卒業すると学士号(Bachelors Degree)が授与されます。どんな専攻を修めたかによって「理学士号(Bachelor of Science=BSc)」「文学士号(Bachelor of Arts=BA)」といった具合に使い分けされます。

大学院(Postgraduate)で取れる学位

大学院へは学士号を取得した学生のみが進学できます。修士号(Master’s Degree)と博士号(Doctorate Degree)の2つの選択肢があります。

修士課程の期間はほとんどが2年間です。課程の最終学期には、論文かプロジェクトの完成が必要です。

博士課程の期間は専攻内容によって違いがあります。

大学学部+修士の「5年間プログラム」

高校を卒業してから大学院で修士課程を終えるまでには、最短でも「大学4年間」+「大学院2年間」の計6年が必要なのが一般的です。

ところがこれをトータル5年間で修了できるプログラムが増えています。いったん大学を卒業してから別の大学院に出願し直すのではなく、最初に出願した大学とからそのまま同じ大学院(または提携の大学院)で学部から修士までまとめて学ぶというプログラムです。

やりたい専攻分野で修士号まで取りたいと思っている人や「どうせ学ぶなら大学院まで最短で学びたい」という人、学費を1年分セーブしたい人などはチェックしておきたいプログラムですね!

リベラルアーツって何を学ぶの?

アメリカ大学の仕組みとは?日本の大学との違いや授業のとり方、何年で卒業できるかなど教育システムを詳しく解説!

アメリカの大学では、歴史、文学、外国語、数学、社会科学、自然科学、美術など、自分の専攻分野とは一見異なるような科目を履修することがあります。これが、アメリカの大学教育で重要視されている「リベラルアーツ(一般教養」です。

リベラルアーツカレッジだけでなく、ユニバーシティでも最初の2年間はリベラルアーツ的なカリキュラムを敷いている大学がたくさんあります。

なぜアメリカではリベラルアーツが重要視されているのでしょう?その答えは「幅広く学ぶことで、学び方そのものを学べる」からです。

一見関連がないもののなかに、探している答えが隠れていることがあります。また、違う分野の考え方を知ることで、新しいひらめきに出会うこともあります。

アメリカの大学教育では、卒業後に仕事や研究に就いたときにリベラルアーツが役立つと考えています。どんなに難しいミッションを与えられたときでも、こういった「思考のプロセス」や「解決へのアプローチ」を知っていれば柔軟に取り組むことができるからです。

「釣った魚を与えるよりも、魚の釣り方を教える」という考え方と似ていますね。

リベラルアーツ教育はクリティカルシンキング(批判的思考)、ロジカルシンキング(論理的思考)、コミュニケーション能力などの重要な基礎と考えられているのです。

アメリカでの授業の仕組みは?

アメリカ大学の仕組みとは?日本の大学との違いや授業のとり方、何年で卒業できるかなど教育システムを詳しく解説!

大学によって違う「クラス人数」

アメリカの大学では3~400人の大教室クラスと10~30人程度の中規模クラス、そして4~5人の少人数のクラスの組み合わせで授業が行われます。大学の方針や規模によってこの割合は異なりますので、自分の性格や英語力と合わせて大学選びをしてみるのもいいですね。

たとえば、学生数が5万人規模の大きな州立大学では、最初の2年間は比較的大人数のクラスが多めになります。一方、学生数が少ないリベラルアーツカレッジや規模の小さい州立・私立大学では、少人数制のクラスも多めです。

大学は平均の学生と教員の比率を公式サイトに掲載することが義務付けられていますので、チェックしてみるのもいいですね!

教えてくれる先生は?

授業は教授が担当するほか、ティーチング・アシスタントという大学院生がクラスを担当することもあります。履修科目を選ぶときはアカデミックアドバイザーに相談することができます。

学生は学期の初日に「シラバス」を受け取ります。シラバスにはテストや論文の要件をはじめ、教科書や必要文献などが書かれています。そのほか、提出物やテスト、グループプロジェクト、出席、ディスカッションなどが成績の何パーセントに相当するかも記載されています。

専攻・副専攻・コンセントレーションの違いは?

専攻(Majors)は、その分野で卒業の学位を得るためのコースです。副専攻(Minors)とは、専攻科目のほかに重点的に取り組む分野のことです。通常、専攻科目の半分の数の授業が必要です。 

コンセントレーション(Concentrations)という言葉が出てくることもあります。コンセントレーション(=集中)は、専攻科目の中でより具体的な研究領域を探求するための科目です。

留学生は働けるの?

F-1ビザ(アメリカの語学学校や大学に留学する際に必要な学生ビザのこと)で留学している人は、キャンパス内での仕事に限り、週20時間まで(授業期間中)、または週40時間まで(休暇期間中)働くことが可能です。留学生活が落ち着いて、もしやってみたいと思ったら大学で働いてみるのもよいでしょう。もちろん、学業に差し支えない範囲で検討してみてくださいね。

そのほか、自分のプログラムに関連したインターンシップも多くの専攻で行われます。

また、学位を取得した留学生は、専攻によって1年から3年、関連分野で有給で働くことができます。この制度を「オプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)」と呼びます。留学生の20%以上がOPTを利用し、OPTを利用する学生の数は年々増加しています。

アメリカの大学入試の仕組みは?

では最後に、アメリカの大学入試について知っていきましょう!

アメリカの入試は一発テスト方式ではありません。原則として書類選考です。大学によって多少の違いがありますが、ほとんどの大学では次の書類を提出します。

入学願書

ほとんどの願書はオンラインです。一部の大学では共通窓口を介して複数の大学に一括出願できるところもあります。たとえばカリフォルニア大学バークレー校やカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などを擁するカリフォルニア大学グループでは「UC Application」というカリフォルニア大学共通窓口があります。

学業成績

アメリカのほとんどの大学では最終学歴の学業成績が審査の過程で最も重要視されます。

英語テスト

留学生はTOEFL iBTやIELTS、PTE Academic、Duolingo、iTEPなどのいずれかの英語能力テストのスコアを提出する必要があります。各大学では出願に必要な最低スコアを定めていますが、一部の大学では英語力が基準に達していなくても「大学指定の語学学校」での履修を条件に仮合格を出す「条件付き入学制度」を持っていることもあります。

条件付き入学とは?英語力が足りない留学生でも大学の合格をもらえる内定制度を活用しよう!」のページで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください!

標準テスト

かなり少なくなっていますが、一部の大学ではSATやACTといった標準テストのスコア提出を定めていることがあります。

また、修士課程への出願にはGREやGMATといったテストのスコアが願書提出に必要な場合があります。

エッセイ

エッセイ(小論文)の提出が必要な大学もあります。願書のなかにエッセイが含まれている大学もあります。

エッセイでは書くべきテーマが与えられています。「人生で何をしたいのか」といった幅広いものから「あなたに最も影響を与えた出来事は何か」といった具体的なものまでさまざまです。「8つのテーマのなかから好きなものを選んで書きなさい」という出し方をするところもあります。

推薦状

推薦状が必要な大学も一部にあります。推薦状の執筆者は大学によって指定されていることがほとんどで、たいていは高校または大学の先生や熱心に取り組んできたことの指導者などが指名されます。

アメリカの大学入試については「アメリカの大学に行くには?受験の仕組みや偏差値の考え方、留学対策を徹底解説!」のページでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください!

編入したら単位移行はできますか?

日本の大学やアメリカやカナダのコミュニティカレッジで取得した授業の単位は編入単位(transfer credits)として認められることがあります。

編入の場合は1年次に新規入学する出願手続きとは異なりますので必ず募集要項を確認してください。

出願の時期

多くの大学では入学願書の締め切り日が決まっています。世界中から出願者が殺到するトップ大学や、比較的入学が容易な大学ではおのずと出願締切日が異なってきますので、志望大学を決めたらすぐに締切日をチェックしてください。

あくまでも一般論ではありますが、秋学期への入学の場合、1月~2月を締切としている大学が多くみられます。

一部の大学では11月に早期締切(Early Admission)も設けています。また、順次入学(Rolling Admission)といって随時出願を認めている大学もあります。

早期締切では出願締切日から1ヶ月程度で合否を知ることができます。早めに志望校にチャレンジできるだけでなく、その合否結果次第でさらに別の大学へ出願するかどうかを判断できます。早期締切と通常締切では入学可能枠が変わってくるという事情もあります。

アメリカの大学の仕組みを知って留学を実現しよう!

ニューヨーク大学

アメリカの教育制度から大学の種類、授業の仕組み、受験制度、学位の種類までご紹介してきました。これで、アメリカでの大学留学のカタチがトータルで見えてきたのではないでしょうか?

冒頭でも触れたように、アメリカには100万人以上の留学生がいます。あなただけが置き去りになることは決してありません。大学には留学生サポートの部署があり、困ったときにはいつでも相談できます。

留学生の先輩たちもたくさんいて、自分たちの経験をシェアしてくれます。次に新入生が入ったら、今度はあなたが助ける番です。

アメリカにどんな大学があるのか知りたい人は「アメリカ大学一覧|日本人留学生に人気・注目の大学リスト」でさまざまな大学をご紹介していますので、参考にしてみてください。

ぜひ自分に合う形の大学を選んで、大学留学生活を存分に楽しんでくださいね!

(留学プレス編集部)

アメリカ大学の仕組みとは?日本の大学との違いや授業のとり方、何年で卒業できるかなど教育システムを詳しく解説!
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