障害者と健常者が共同生活する「キャンプヒル共同体」での海外ボランティアとは?

Photo from Flickr Robert Gray

今日は、数ある海外ボランティアの中の一つ「キャンプヒル共同体」の事をお伝えします。

キャンプヒル共同体とは障害者と健常者が共同生活する施設のこと。

1940年、小児科医のカール・ケーニッヒ医師が、教育者・哲学者であるルドルフ・シュタイナーの理論に基づいて、「ハンディキャンプを持つ人のためのコミュニティーを作ろう」と、障害者と健常者が共同生活している「キャンプヒル共同体」を設立しました。

現在は、21か国、119か所の地域まで広がっています。

施設内に有機農場や有機畜産等があり、オーガニック生活を送っています。禁酒、禁煙、薬物禁止です。能動的に脳と体が一体となって成長することが良いと考えているので、テレビや電子レンジをおいていない事に驚かれる方もいるでしょう。

ここには1年から5年までの期間、世界中からボランティアが集まってきています。筆者もニューヨークで1年3か月に渡り、ボランティアを経験してきました。

本記事では、キャンプヒル共同体でのボランティアの概要とその一日をお届けします。

海外ボランティアをもっと知ろう!

年齢別に分かれている共同体

小学生から高校生まで、18歳から35歳まで、36歳以上と年齢別に共同体が存在しています。それぞれの成長過程に応じて学校や働けるワークショップがあり、年代別のリズムに合った生活をしています。

ボランティアの種類

短期ボランティア

1年間、18歳以上でコミュニケーション能力に優れ、思いやりや忍耐があり、学び、意欲のある方が対象でバックグラウンドチェックに合格できればボランティアとして参加できます。

主な仕事は、食事作り、掃除、感情的なサポート、障害者達とのお出かけ、農業や木工やベーカリー等のワークショップでの仕事などで、状況に応じて割り当てられます。

長期ボランティア

3年から5年間、ハウスリーダーとして、ボランティアや知的障害のある住居者と健康と調和のとれた家庭生活を作ります。全体を見渡し、精神的、社会的、身体的にサポートする責任があります。

子供がいる場合は、シュタイナースクールへ通学が可能です。

ハウスリーダーとしてのトレーニングや救急救命処置、応急処置、内服薬提供の講座を受けます。

高卒及び19歳以上でTOEFL等を提出し英語力が認められた場合は、学生として滞在しボランティアとしての仕事もしつつキャンプヒル内の講義を受け人智学の学位を取得することができます。

ボランティアの1日

ボランティアの1日は、たいてい朝6:30の起床に始まります。筆者が過ごしていた1日をタイムテーブルにしてご紹介いたしましょう。

6:30起床
7:15朝食
8:00静かな時間(読書、瞑想、休憩、振り返り)
9:00朝の仕事
12:30昼食
13:15休憩
14:30午後の仕事
17:15ミーティングやアクティビティ
18:30夕食
19:30アクティビティ

※季節やイベントで変わることもあります。

休日とお小遣い

完全にフリーな休日は週末に1日。一緒に住んでいるボランティアと相談して決めます。

月に一度お小遣いがあります。筆者はアメリカドルで150ドルが支給されていました。

さらに、半年以上滞在したボランティアには、3週間の休暇と休暇給付金があります。筆者が滞在したときは800ドルの休暇給付金が支給されました。

休暇の過ごし方は人によって様々です。友達数名で3週間丸ごと馬小屋のある宿泊施設に滞在し、毎日乗馬を楽しむ人、お金を出し合って中古のキャデラックを購入し、西海岸までドライブ旅行して帰ってくる人、1人でアメリカの国内を旅行する人、ダイビングの免許を取りにメキシコに行く人、母国に帰省する人。

筆者は、3週間の休暇を1週間ずつ3回に分けてとりました。ボランティアの友達とお金を出し合い、アメリカ東部を南北にバス旅行したり、レンタカーでカナダ旅行したり、アメリカ西海岸の観光地をレンタカーで旅行したりしました。

費用

基本的に必要なのは、ビザやパスポートの手続き費用と渡航費のみ。食事と住居は提供されます。決められた月数以上滞在する場合医療保障も受けられます。

必要な衣服や得意な楽器を持って行っくことができます。

お互いを尊重しあいながら生活することを学ぶ

オーガニック生活と聞くと、スローライフをイメージするかもしれません。しかし、意外と毎日がめまぐるしく、一生懸命喜びながら生活しています。

いろんな人がいて、お互いを尊重しあいながら生活していくこと。それが難しく悩む事もある現代社会です。

キャンプヒルにはいろんな人がいますが、身体的にも精神的にも、必要な時には立ち止まり、また動き出し、そのサイクルが好循環していることを実感できるように思います。

人を想い、想われ、社会を想い、人間らしく生きる魅力があるボランティアでした。

海外ボランティア
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