メキシコ政府は当初、新型コロナウイルスのピークは5月10日頃になるだろうと予想していました。しかし、現在(5月21日時点)も日に日に一日の感染者は増え続けています。
ところが何と、この状況でカンクン観光局は海外からの観光客の受け入れを6月1日から開始することを宣言。
現在のメキシコの新型コロナ感染者数は56,594人、5月20日の新規感染者数は2,248人です。あまりに無謀な決定をくだしたメキシコから現状をお伝えします。
各自治体で独自の対策や処罰を設ける
新型コロナウイルスに対して、メキシコでは各自治体で独自の対策をとっています。また、措置や罰則も各州で異なります。
例えば、メキシコ市では外出自粛期間中に外出をしても罰せられることはありません。
一方で、北部のチワワ市では、集会などを行った場合は1万ペソ以下の罰金が科せられます。
市民への援助も自治体で異なり、著者の住むキンタナ・ロー州、プラヤ・デル・カルメンでは4月中旬に食料が配布されました。
食料の内容は、米・豆・パスタ・粉ミルク・石鹸・油・砂糖・塩・ビスケット・トイレットペーパーなどです。生きるための最低限の食料ではありますが、日々の生活に困っている市民にとっては有り難い支援になりました。
カンクンでは6月1日に海外旅行者受け入れ再開!
5月上旬、まだメキシコの新型コロナウイルス感染者数がピークに達する兆しさえも見えない状況の中で、カンクン観光局はリビエラ・マヤ(カンクン~トゥルムまでの観光ゾーン)の15のホテルが6月1日に営業再開する予定でいることを発表しました。
それらのホテルは、すでに海外からの予約を受け付けていて再開の準備を進めているということです。これはメキシコのもう1つの人気ビーチリゾート、ロス・カボスが海外からの観光客受け入れを同日に開始すると発表したことによる決断のようです。
すでに、サウスウエストなどのアメリカの航空会社はカンクンへのフライトを再開する予定でいると発表しています。
その後、州政府からまた新たな発表が。5月20日キンタナ・ロー州政府は「6月1日のホテル再開」を否定し「6月10日までの再開」になることを宣言しました。
6月中ホテル再開に市民の声は?
カンクンやプラヤ・デル・カルメンの市民からは、6月中のホテル再開に対して喜びの声があがっています。
とはいえ、いまだに感染者数が多いアメリカからの観光客受け入れに不安を感じていることは確かです。
けれども一方で、彼らの多くは経済的に厳しい状況で、一日でも早く仕事に戻らないと生きていけないのも現実なのです。営業を再開するホテルは、観光客にも従業員にもホテル内で感染者が出ないような措置を設けると宣言しています。
筆者の家族にはホテル勤務者がいますが、彼女の場合は7月1日からの仕事復帰が決定しています。リスクを背負いながらのホテル再開、数か月後にメキシコはどのような状況になっているのでしょうか?
プラヤ・デル・カルメンに「外出禁止令」が出た
6月1日のホテル営業再開ニュースが報道されたあと、プラヤ・デル・カルメンに5月7日からの「外出禁止令」が出てしまいました。夜7時から朝5時までは外出禁止で自動車で出かける際は2人以上の乗車は禁止という内容でした。
これは、6月からのホテル再開に向けて感染拡大をなるべく防ぐための対策だと思われます。のちにこの「外出禁止令」は正式に政府が発表したものではなく、外出しても罰せられないことがわかりました。
感染者数が低い州ではすでに経済活動再開
メキシコ全土で言うと、5月18日から感染者が低い州ではすでに経済活動を再開しています。その他の州に関しても、6月からの再開に向けて5月末までに準備をしている段階だということです。
6月にカンクンやロス・カボスでの観光業が再開してから、メキシコはどのような状況になるのでしょうか。かなり大胆で無謀とも言える決断ではありますが、国や州の経済的打撃を考えるとやむを得ないのかなと思います。
6月から新型コロナウイルスの感染状況が悪化、または長期化しないことを願うばかりです。