入国条件にワクチン接種を求める国が出てきています。私が留学しているカナダも、ワクチン接種完了者に対して入国時の隔離措置が緩和がなされています。
ワクチン接種完了者が渡航する際はワクチン未接種者に比べ用意する書類等が増えるため、事前準備はやや煩雑になります。私は医療従事者であったため、医療従事者枠にてワクチン接種を行いました。
今回は、日本で2回のワクチン接種完了者としてバンクーバーへ留学している私から、ワクチン接種完了者のカナダ・バンクーバーへの留学準備についてお伝えします。
前編となるこの記事では、主に留学前の書類準備やワクチン接種証明書の手配、現地滞在先について考慮すべきことなどを取り上げます。入国手続きと入国後の生活状況については後編でお伝えします。
※編集部注:本レポートは2021年7月27日の渡航事例に基づいています。
留学の準備のタイムライン
私は2021年7月末のカナダ渡航を目標に、2021年2月頃から準備を始めました。コロナ禍ということもあり、ビザ申請からビザ許可書発給までに時間がかかる可能性を考え、余裕を持ち準備を進めました。
私は、エージェントさんに協力していただきながら準備をしました。
主な準備手順は以下の通りです。
2021年2月 | 語学学校入学申請 |
2021年4月 | 学生ビザ申請 |
2021年4月 | バイオメトリクス登録 |
2021年6月 | 航空券購入 12日、1回目ワクチン接種 |
2021年7月 | 3日、2回目ワクチン接種 渡航前PCR検査実施 ArriveCAN登録 27日、バンクーバー渡航 ワクチン接種完了者は、ワクチン接種証明書を英文翻訳された書類が入国時に必要となります。 |
ワクチン接種証明書の英文翻訳
カナダでの隔離免除の条件
カナダ政府の当時の発表によると、7月3日以降、ワクチン接種完了者の渡航に関しては隔離免除になるとのことでした。
隔離免除となるには、いくつか条件があります。
- カナダ政府が認定しているワクチンを接種している(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン等)
- ワクチン接種が、渡航日の14日前までに完了している
- ワクチン接種証明書が、公認翻訳者にて翻訳されている
ワクチン接種証明書の翻訳手配
私の場合、上記条件のうち1と2はクリアしていたのですが、3の翻訳について準備していませんでした。
またカナダ政府の発表も曖昧であり、「公認翻訳者」とはどういう方々にお願いすれば良いのか分かりませんでした。政府の発表は抽象的な表現が使われる事も多く、具体的な方針が後日発表される場合もあります。
私の渡航日は7月末であったため、規制緩和開始日の7月3日から数えると渡航日まで時間がありました。そのため、先にワクチン接種完了者で渡航される方々の入国時の状況を見てから、準備することとなりました。
自分でTwitterなどのSNSを利用し、ワクチン接種完了者で渡航出来た方を探し、情報収集を行いました。この時期、日本ではまだ一般の方のワクチン接種が開始になった直後でした。そのため、ワクチン接種完了者で渡航する方がほとんどおらず、情報を集めるのに苦戦しました。しかし、運よくワクチン接種完了者で渡航された方とコンタクトを取る事ができ、依頼された翻訳会社を教えていただくことが出来ました。
翻訳会社さんも早急に対応していただき、依頼から4日程でワクチンの英文翻訳をもらうことが出来ました。私の場合の依頼料金は13000円でした。

渡航後の隔離先
ワクチン接種完了者でも隔離は必要なの?
ワクチン接種完了者のカナダ渡航に関して、もう1点準備しなければいけない事がありました。カナダ渡航後の隔離先についてです。
「あれ?ワクチン接種者は隔離必要ないんじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
そうなんです。隔離免除です。ただし、もしもの場合に備えて隔離先は決めておくことが必須となっています。
主なもしもの場合には、次のようなケースがあります。
- 入国時PCR検査が陽性だった場合(政府の発表によると、8月9日以降はワクチン接種完了者の入国時PCRは廃止され、無作為になります)
- ワクチン接種証明書の翻訳に不備があった場合で隔離免除にならなかった 等
ワクチン接種完了者だからといって、全員隔離免除になるわけではありません。隔離が免除になるかどうかの最終判断は渡航後の入国審査時に決定します。
隔離先の手配について
私の場合、留学する学校の規定が厳しく、14日間の隔離先は学校指定の隔離先、あるいはエージェントが手配した隔離先のみ許可していました。(注※)
選択肢としては
- 学校が手配するホームステイ
- 学校が手配するホテル隔離プラン
- エージェントが用意したホームステイ
のいずれかがありました。
しかしこれらのプランは隔離必須の方々対象のプランです。隔離が免除になる可能性が高いのに、隔離可能な滞在先は高額なうえ、隔離対象の方々と同様の生活をしなければいけないという事になります。ワクチン接種完了者に対するプランはありませんでした。
そのため、私は他の学校や渡航者の方からの情報収集を行い、エージェントさんの協力のもと民泊サイトにて隔離としても利用可能な場所(誰とも接触しない一軒家)で滞在する方向で許可を得ました。
民泊サイトでは隔離先としての使用を禁止しているホストもいるため、予約する前に事前にホストに隔離先としての利用が可能か了承を得る必要があります。、隔離時の食材調達はどうするか等も予め決めておく必要があります。もしも14日間隔離となった際の事も予測し、計画を立てました。
(※学校によっては自身で手配した滞在先を認めている学校もあります。カナダでは各学校が政府に留学生受け入れ準備計画を提出し認可を得られた学校のみが留学生受け入れ可能となっており、申請した計画に規定した滞在先条件に沿う必要があるからです。)
コロナ禍では政府の発表に沿って準備をしっかり行、安心安全な留学を
2021年8月現在、カナダ政府は入国者の渡航後の隔離措置について段階的に緩和している最中です。私が渡航した時期と比べ、変更されている部分が多くあります。
カナダはワクチン接種率も高く、マスクを着けない日常を取り戻しつつあります。
渡航までの準備は大変です。今はSNSで情報収集がしやすい反面、間違った情報も多く記載されています。そのためソースのしっかりしている情報であるかどうかの判断も重要です。
下調べをしっかり行い、皆さんが実りのある留学生活を送れるように祈っています。
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