今回はコロナ禍において海外へ留学するメリットとデメリットについてお伝えします。
「コロナ禍での留学は厳しい」と言われていることは確かです。単純に海外へ行くことへの不安に加え、感染のリスクや都市封鎖(ロックダウン)、国境閉鎖の可能性等がゼロではない中の留学は、留学する本人にとっても送り出す家族にとっても海外渡航を決断する上で大きな課題となるでしょう。
未だ先が見えない中での海外渡航・留学に価値はあるのか?コロナ禍での留学にメリットはあるのか?という質問に答えていきます。
現役留学生の立場から、オンライン授業に対する率直な印象と今後の可能性、マスク着用が語学力向上にもたらす影響、ソーシャルディスタンスがもたらした学校生活の変化などを考察します。
加えて、渡航前の留学生の持つ疑問と実際に留学した場合に想定される留学生活を、筆者が通うカナダの高校での現状をベースにお伝えします。
やってみたい留学を好きなだけ選んで
オンライン授業の可能性
オンライン授業~メリット
オンライン授業の持つ最大の魅力は
- オンライン授業を受けつつ自分のペースで勉強や課題が進められること
- 自由時間が増えること
- -20℃の極寒の中、学校に行かなくていいこと(カナダの場合)
だと思います。
直接的な人との交流の時間が減る一方で、オンライン授業に切り替わってしまっても「せっかく留学にきたのに…」と悲観する必要はありません。確かに、思い描いていた留学生活とはかけ離れてしまうかもしれませんが、機会を作ろうと思えばオンライン授業でも英語の勉強は十分にできます。
家での時間はホストファミリーと話したり、友達とメッセージ上でコミュニケーションをとったりすることも一つの英語勉強法です。
学校と家との移動時間が無くなることでできた自由時間を使って映画やドラマで英語を勉強することもできます。
オンライン授業~デメリット
私が感じるオンライン授業のデメリットとは
- 授業中の発言の難しさ
- 授業時間以外に学校の友達と過ごす時間がなくなること
- 先生と生徒の間に少なからず距離感が生まれること
です。
オンライン授業の場合、教科にもよりますが基本的に先生が一方的に生徒に対して講義をする形になります。多くの先生が生徒の発言の場を設けようとしてくれますが対面授業のような雰囲気とは変わって、一気に発言がしにくくなりますよね。
通常のカナダの高校留学で体験できる学校生活とは異なってしまうところが残念ですが、現地の授業を実際に受けることでReading、Listening、Writingの英語力の上達のみを考えるならば十分に英語を上達させるチャンスがある環境だと言えます。
2020年を騒がせたコロナの流行から、もうすぐ1年が経ちます。世界各地で都市のロックダウンや学校閉鎖が繰り返されてきました。
実際に現在も対面授業(in-person/face-to-face class)でなくオンライン授業(online/zoom class)が行われている地域もあります。せっかく渡航できても外に出られずオンライン授業に逆戻り…という可能性は頭に入れておくべきかもしれません。
マスクの着用による英会話の難しさ
マスク着用しての英会話~メリット
今となってはどこへ行くのにもマスクをするのが当たり前になりました。日本を含めアジア圏では比較的、日常的にマスクをする人も多いですが、その他の地域ではマスクをする習慣がないために「着用義務」として違反した場合は罰金などの制度を設け、感染の拡大を防いでいます。
マスクがあると顔の半分が隠れてしまい、コミュニケーションの妨げになるのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、カナダの高校が再開した9月からの短期間で、私自身はリスニング力・スピーキング力が伸びたことを実感しています。
今学期が始まって以来毎日、友達や先生とマスクを通しての会話のみで生活してきました。
英語を話す際の口の動きや形、顔の表情のヒントがない中、完全に英語を「音」だけで聞いてきたことで、マスクを通さない通常の声(ホストファミリーとの家での会話・映画やドラマ)がより、はっきり聞こえるようになったこと、そして自分自身が話す際もマスクで口が見えないため人に伝えるために、よりはっきり正しく発音することを知らずのうちに意識するようになっていました。
決してマスクをつけたままでの英会話の練習を推奨するわけではありません。しかし「マスクのせいで英語は聞き取れないし、自分が話しても聞き取ってもらえない…」と落ち込むのではなく、限られた条件の下でも英会話は慣れが大切です。あきらめずに積み重ねることが英会話上達へ近づきます。
マスク着用しての英会話~デメリット
皆さんがこれから行く留学先も地域によっては公共の場でのマスクの着用が義務付けられていることもあるでしょう。マスクが足りなくならないようできるだけ多めに持参するか、洗って繰り返し使用できるタイプのマスクの持参が必須です。
学校の対面授業の場合は教師も生徒も基本的にマスクの着用が必須です。先生の講義もマスクを通してになります。
先述したとおり、発音や耳のトレーニングになる一方、最初の内は特に、留学生にとってはコミュニケーションが困難だと感じるでしょう。
ソーシャルディスタンスが生み出す他人との距離
ソーシャルディスタンス~メリット
感染拡大防止のソーシャルディスタンスによって、
- 教室内の机の間隔をあけて並べ、生徒同士の距離を確保する
- 生徒同士が向かいあって話すことのないようグループディスカッションは避ける
といったように、現在は学校の授業形式も少し変わっています。
とはいえ、カナダの高校には選択科目(ダンス・音楽・アート・体育・料理等)というものがあり、机に座ってただ話を聞くのではなく、実際に体を動かして何かをするクラスも積極的に履修することができます。
学校が始まって以来のこの数か月、ウイルスと共存しながらの学校生活・新しい日常生活の中で友達との付き合い方も変わってきたと感じます。
今までのように学校帰りにショッピングモールへ行ったり、レストランにご飯を食べに行くことはなるべく避けるようにしています。その代わり、仲のいい友達とお互いの家で会うことで、外にご飯を食べに行くよりも感染のリスクが減り、仲の良い友達とお互いをより深く知り合える良い機会になっています。
学校のイベント・パーティ等が全くない中、週末は家で友達と勉強したり、テイクアウトを利用してご飯を食べ、外を歩いたり、と少人数かつ屋外やプライベートな空間で過ごすことが多くなりました。
ソーシャルディスタンス~デメリット
他人との接触がない中、クラス内での友達作りは正直簡単ではありません。
アカデミックなクラス(英語・社会・数学・理科等)では前述したような対策によって新しい友達を作る環境は限られてしまいます。特に留学生はダンス・音楽・アート・体育・料理等の選択科目の存在を頭に入れつつ時間割を組む工夫をするのがおすすめです。
留学へ行く心構え
結論、冒頭であげた通り、今の時期に海外渡航することには様々なリスクが伴います。メリットとデメリットを比較したうえでやっぱり留学はやめるべきだと判断することも一つの選択肢です。
しかし同時に「留学」とは単に語学の勉強をするためだけに海外へ行くのではないのだと、留学生活を送っている中で気づくはずです。
オンライン授業や映画・ドラマを観て英語を勉強することは日本からでもできる、のは確かです。しかし本当の留学の価値とは、実際に現地に住むことで知る苦労やその過程で得る経験にあります。
留学がしたくても渡航ができない、学校の受け入れが不可、ビザが下りない…等、留学生本人の希望ではどうにもならない現状もあります。まだ渡航ができない場合は、常に最新の情報を確認し学校の受け入れ状態や留学先へ渡航が可能になり次第留学に行けるよう、事前の準備をすることも一つです。
もしあなたにこの先留学をするチャンスがあるのならば、そのチャンスを逃さないで欲しいと思います。この記事を読んでくれた方が留学に対して不安を持つのではなく、これからの留学の可能性に目を向けて準備をしたり、実現させるためにリサーチをしたり、人に話を聞いたり、留学に前向きになってくれたらうれしいです。
Adventure is worthwhile. (冒険は価値あるものだ。)