英国の語学学校『ケルティック・イングリッシュ・アカデミー』CEOのドハティー祥子さんから「これから帰国する留学生の皆さんの参考になれば」と、2021年3月14日に日本に一時帰国した際の詳細レポートが届きました。
臨場感を伝えるため、編集部では体裁のみ整え、届いたレターをほぼそのまま掲載いたします。
突然ですが、日曜日に日本へ一時帰国のため羽田空港へ到着しました。(水際対策強化国の)イギリスからの帰国だったため、今(2021年3月16日)は両国のアパホテルにて検疫隔離中です。
これから帰国される学生さんの参考になるかなとも思い、検疫隔離の体験の詳細を書いてみましたので、ご参考になれば嬉しいです。
(編集部注)
2021年3月17日現在、イギリスから日本への入国に際しては以下の手続きが必要です。 厚生労働省(水際対策の抜本的強化に関するQ&A) |
・出国前72時間以内の検査証明書の提出 ・誓約書の提出 ・スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用 ・質問票の提出 ・検疫所の確保する宿泊施設等で入国後3日間の待機。3日目(場合によっては6日目)に検査を実施。 ・14日間の待機期間(自主隔離) |
到着からチェックインまでの所要時間はおよそ6時間半
羽田には15時過ぎに到着しました。到着後の検査・結果待ち・ホテル移動のバス待ちで空港を出られるまでには4時間半かかりました。
3月2日より水際強化措置で、アイルランド、イスラエル、英国、ブラジル(アマゾナス州)及び南アフリカ共和国 に加え、多数のヨーロッパの国々を含む 13 の国・地域が「新型コロナウイルス変異株流行国・地域」に指定されたため、検疫所が確保する宿泊施設に宿泊しなければならない人たちの数が大幅に増えたようで…
ホテル到着からも順番にチェックインということで1時間待ち、結局部屋には21時半までチェックインすることが出来ませんでした。
誓約書、確認書…など記入書類は多数
私たち以外に同時間に到着した乗客のほとんどが1人での帰国者、家族を連れて帰国した日本人でした。
イギリス出発前にオンラインで入国後の滞在先の申請をしなければならないということでしたが、厚労省のシステムがダウンしており、ヒースロー空港内での登録ができませんでした。そのため、結局日本に到着してからの申請となりました。
滞在先のオンライン申請書、誓約書(自己隔離や健康状況の報告をする等の誓約)、自己隔離場所の確認書などを記載。どれもほぼ同じような内容の書類やオンライン・フォームです。家族連れでも一人一人記入しなければならないので、私の場合は(家族4人分)同じ作業を4回しました。
PCR検査→移動→チェックインまで
その後、3日間の検疫隔離施設に行く人たちは緑色のタグカードを身につけるように言われました。
空港内で、同じ内容のようなことを何度も役所の方に聞かれるチェックインポイントを通ります。唾液を使ったPCR検査を受け、検査結果が出た人からバスで隔離施設への移動という流れでした。
検査結果が出た後、入国審査→荷物取り→検疫→移動バスへ乗るまでは、数人の乗客のグループにつき、1名の係官の方が付き添って誘導して下さいました。
写真は取れないと書いてあったので、取りませんでしたが、正直、この一連の流れに関わられる係官の方の人数の多さに大変驚きました。(係官の方達からクラスターが起きてしまいそうなほど、大変な数でした。)
ホテルチェックインの際には、食べ物のアレルギーなどの確認などがあります。部屋へ係員の方付き添いでの移動、入室です。
部屋外は外出絶対禁止。家族同士でも厳格な対応。
部屋に入室した後は原則外に出ることは絶対禁止です。
私の場合、大人1人+子供3人で帰国したのですが、家族用の部屋がなかったため、2部屋に分かれて滞在することになりました。しかし子供は1歳半・9歳・11歳とまだ幼い。
隣同士の部屋の移動は最小限に抑えつつOKとしてもらえるように交渉しましたが、この交渉はかなり粘らなければOKして下さいませんでした。
12歳未満の子では滞在中の健康状態を随時報告できないこと、安全面、子供の様子見をするという観点、そして私たち4人は同じ世帯から来ているから感染リスクは同じという理由は理解して下さいました。
しかし、検疫隔離マニュアルに部屋の行き来ができないと書いてあるため、それに反することをすることがダメという理由で頑なにダメとおっしゃっているという印象でした。
部屋の外には警備員の方が24時間待機していらっしゃり、かなり厳しい目を光らせていらっしゃいます。
食事についての注意点
ホテル内では下記のような案内放送が日本語と英語で何度も流れます。
6:30 | 滞在3日目の方向けに、コロナ検査のキットを部屋の外に置くので、7時までに唾液の摂取をして下さい |
7:00 | これから検査キットの回収をします |
7:15 | これから朝食を部屋の外に配り始めますが、次の案内が出るまで、絶対外に出ないで下さい |
8:00 – 8:30 | 食事の配布が終わったため、マスクをして部屋のドアノブにかけてあるお弁当を取って下さい |
11:00 | 次の日に退所予定の人たちは、バスの時間を選べる書類を13時までに部屋のドアにマグネットで付けて、提出して下さい |
11:30 | 昼食配布開始の放送 |
12:00 – 13:30 | 昼食を取って良いです |
17:30 | 夕食配布開始の放送 |
18:00 – 20:00 | 夕食を取って良いです |
食事は朝食7:30頃、昼食12:00頃、夕食18:00頃と事前にチェックインの際に知らされていました。とはいえ、滞在者数の数が多いからか、かなり食事を取って良い時間に幅があります。昨日の晩は2時間以上遅れました。
毎回の食事はお弁当です。
写真を2枚お送りしますね。
朝食と夕食分です。
私はグルテン・フリー、娘はベジタリアンです。食事のリクエストはチェックイン時に聞いてくれましたが、実際の食事はリクエストしたものではなく、全く同じ食事が提供されています。
この点に関しては、事前にインターネットで調べていて、イギリスから大量に食料を持ってきていたため私たちは大丈夫でしたが、もし特別な食事が必要な方はご自分で準備されることを強くお勧めします。
アパホテルですので、普通のビジネスホテルのように基本的な洗面用具、ケトルはありますが、レンジ等はないです。
赤ちゃん用の離乳食も提供して下さいます。また食事は全て冷たいので、インスタント・スープやカップ麺なども持参されると良いかもしれません。野菜やフルーツは少ないです。
全て日本政府が費用を負担してくれているため、贅沢は言えません。(編集部注:その後のメールでも、隔離滞在の費用は全て税金を使った政府負担なので、あまり贅沢な事は言えない、帰国する者として自分の面倒はある程度自分でしっかり責任を持つことも大切だと感じています、と書かれていました。)
検温
隔離施設滞在中は、毎朝検温をします。オンラインで体温と健康状態の報告(多分これは3日間の隔離期間のみ)、そしてライン・またはEmailでも同じような内容の健康状態の報告(こちらは入国後14日間)をしなければなりません。
Wifi状況
ホテル部屋内でのインターネットは、私が滞在している両国のアパホテルはWiFiがとても良いです。中にはとてもWiFiが弱いホテルもあるそうです。
持ち込み可能かどうかしっかり確認
日本入国の際の検疫が厳しくなっており、検疫探知犬が何匹かいました。
食料が大量に入ったスーツケースの一つの内容を確認されました。私の場合、持ってきてはいけない物は持ってきていなかったため大丈夫でしたが、細かくチェックされました。
いったん羽田空港へ戻る
滞在ホテルに直接お迎えに来てもらうことはダメと言われており、全員羽田空港に戻ることになるそうです。
私たちは明日が退所予定日です。朝7時までに検査キットの提出をして、14:30のバスで羽田空港へ戻るという希望を出しましたが、これも移動バスが大変混雑している関係で、最大2時間ほど遅れる可能性があるそうです。
空港からは公共交通機関が使えないので、家族のお迎え・コロナ専用のタクシー会社・レンタカーの手配などが必要です。2時間以上も到着が遅れる可能性があるので、タクシーの事前予約が大変難しいと感じました。
イギリスから日本への入国
以上、ドハティー祥子さんからの日本入国レポートをご紹介しました。
滞在先では「検疫所宿泊施設滞在のしおり」というものを貰えるそうです。しおりには、かなり詳細に何ができて何ができないのか(差し入れの貰い方・洗濯の仕方なども含まれています)が記載されているとのこと。
日々状況が変化するなか、食事や健康など、自分でできる対策の必要性と柔軟に対応していくことが求められているようです。これから帰国する留学生の方、とりわけ水際対策強化中の国から帰国される方はぜひ参考にしてください。