語学の専門家を目指すにはどうすればいいんだろう?
言語ってどんな仕組みになっているんだろう?
通訳者や翻訳者になるには?
AI音声認識や翻訳アプリに携わるには?
マニアックな言語を学ぶには?
不思議な魅力を持つ「言語」の世界。
言語の様々な謎について深く知り、その知識を「教育やグローバル社会の発展、少数言語の保護や文化の発展、よりよい語学の学び方などのために役立てるような仕事をしてみたい」と思っている人は、言語学という学部に興味を持っているのではないでしょうか?
言語学部は英語では「Linguistics」と呼ばれる専攻分野で、言語のあらゆる構造や性質、言語の進化、習得、応用などを勉強する学部です。
この記事では、海外大学で学べる言語学について解説していきます。言語学の大学ランキングとともに、語学力や入学条件、卒業後のキャリアについてもお届けします。
ぜひ学部選び・進学先選びの参考にしてくださいね!
言語学とは?

言語学の基本分野
言語学は、人間の言語を科学的に分析する学問です。言語そのものを理解するための基本として、音声学(音の生成と認識)、形態論(単語の構造)、統語論(文の構造)、意味論(文や単語の意味)などの基本分野を学びます。
これらの基礎分野が、言語学の出発点となり、さらに応用分野に発展していきます。
言語学の応用分野
言語学にはさまざまな応用分野があります。
応用言語学では、言語を使って社会現象や人間の心を研究します。社会言語学は、言語と社会の関係、心理言語学は、言語と認知の関連を探る分野です。
また、計算言語学では、コンピューターを使って言語を処理する技術が学べ、AIや自然言語処理の分野で重要な役割を果たします。
言語学は、実社会での活用が期待される学問領域でもあるのですね!
言語学の重要性
グローバル化が進む現代社会では、言語の多様性がますます重要視されています。多言語を理解し、文化を超えたコミュニケーションを支えるために、言語学の知識が役立ちます。
言語と文化は密接に関わっています。言語を研究することは、国の歴史や人の発展、根付く文化を理解することにつながります。
また、言語学はテクノロジーの進化に伴い、AIや翻訳ツール、音声認識技術などの発展に大きく貢献しています。
このように、言語学の重要性は時代とともに拡大していると言っていいでしょう。
言語学に必要な語学力
英語力の基準
海外の大学で言語学を学ぶには、研究対象とする言語の能力のほか、多くの場合高い英語力が求められます。
英語圏の大学ではTOEFLやIELTSのスコアが入学条件として設定されており、特にリーディングやライティングのスキルが重視されます。
そのほか、普段の大学の授業や研究では論文の読解やプレゼンテーションなどにも語学力が必要となります。
複数の語学力は必要?
言語学の研究では、英語以外の言語を理解することも大変有利です。しかし、大学入学前から多言語を習得しておく必要はありません。学部での授業をとっていくなかで、自分の興味の対象となる言語を見つけていくこともできます。
フィールドワークで現地の言語を学びながら調査を行うこともあります。多言語を扱う研究や、社会言語学、言語教育などにおいて、他言語の知識が必要とされる場合があります。
言語学の授業内容と学びの特徴

基礎科目:音声学・文法論・意味論
一般的には言語学のカリキュラムは、音声学、文法論、意味論など、言語の基本構造を理解するための基礎科目から始まります。
音声学では、言語音の発音や音声の変化、文法論では言語の規則性、意味論では言葉の意味を探求します。
これらの基礎をしっかりと学ぶことで、言語の全体像を把握することができます。
応用科目:社会言語学・心理言語学・計算言語学など
言語学の応用分野では、社会言語学、心理言語学、計算言語学などを学びます。
社会言語学では、言語と社会の関係性を探り、言語がどのように社会階層や文化によって影響を受けるかを研究します。
心理言語学は、言語が人間の心や認知にどのように作用するかを分析する分野です。
計算言語学では、自然言語処理や音声認識など、テクノロジーと密接に関わる言語の側面を学びます。
これらの応用分野では実社会や技術分野での応用を目指しており、将来的に広いキャリアにつながっていきます。
フィールドワークや研究の機会
多くの海外大学では、フィールドワークや研究プロジェクトがカリキュラムに含まれています。理論だけでなく実践を通じて言語学を学ぶ機会があります。
特に、少数言語や絶滅危機にある言語の研究では、現地でのフィールドワークが非常に重要です。学生は、現地で言語調査を行い、データを集めて分析することで、言語学の実践的なスキルを磨くことができます。
また、独自の研究プロジェクトを進めることで、大学院進学や研究職への道を開くこともできます。
言語学部を卒業した後のキャリア
言語学とは、学ぶ課程で言語学そのものの知識だけでなく、さまざまな能力を磨ける学部です。
たとえば、論理的思考や批判的思考、調査力、探求心、コミュニケーション力、文書作成力、プレゼンテーション力が高いレベルで養われます。他の学部との連携も多くあるため、ひとつの考え方にとらわれない多角的な視点とクリエイティブな創造力も磨かれていきます。
そのため、言語学を学んだ人の卒業後のキャリアは広い範囲の業界/職種で発揮することができます。なかでも近年、言語学の知識はテクノロジー分野での活躍に広がっています。
▼キャリアの例
外国語教師/教育者
研究者
マーケティング
広報
言語療法士
編集者
翻訳者
通訳者
国際機関/政府機関
AIや音声認識システムの開発
検索エンジンの研究開発
翻訳ソフトなどの研究
言語学者/研究職 etc.
言語学部のQ&A

Q1. 言語学を専攻する場合、どのような言語が学べますか?
言語学を専攻する学生は、英語だけでなく、さまざまな言語に触れることができます。多くの大学では、アラビア語、スペイン語、フランス語、中国語、日本語などの主要な言語に加えて、少数言語や絶滅危機にある言語も学べます。
また、フィールドワークを通じて現地の言語を直接調査する機会もあります。
Q2. 言語学専攻では数学やプログラミングの知識が必要ですか?
言語学自体は文系学部の管轄にあることの多い学部です。ただし、計算言語学や自然言語処理(NLP)を専攻する場合は、数学やプログラミングの知識が求められます。特に統計やデータ分析、PythonやRといったプログラミング言語のスキルは、テクノロジー分野での応用に役立つでしょう。
Q3. 言語学の学位を取得することで国際的な仕事に就ける可能性はありますか?
はい、言語学の学位はグローバルなキャリアの可能性を広げます。
例えば、国際機関での言語政策に関する業務や、多言語対応が求められる企業での仕事、また国際的な研究機関での職などが考えられます。
さらに、翻訳・通訳のスキルは、国際企業や外交、政府機関での仕事にも役立ちます。
Q4. 言語学の専攻を選ぶ際、大学選びの重要な点は何ですか?
大学を選ぶ際には教授陣の専門性、コースの中身、フィールドワークや研究機会の充実度が選択要素のひとつとなります。さらに、計算言語学や社会言語学など、特定の分野に特化したプログラムが充実しているかもチェックポイントです。
ただし、大学選びはそこで長期間学ぶための環境や学費、大学規模なども大切なチェックポイントになってきます。
言語学の世界大学ランキング
言語学分野の世界大学ランキングを「QS世界大学ランキング」からトップ50をご紹介します。
QS World University Rankings for Linguistics 2024
1 | マサチューセッツ工科大学(アメリカ) |
2 | ケンブリッジ大学(イギリス) |
3 | ランカスター大学(イギリス) |
4 | オックスフォード大学(イギリス) |
5 | エディンバラ大学(イギリス) |
6 | マサチューセッツ大学アマースト校(アメリカ) |
7 | ハーバード大学(アメリカ) |
8 | スタンフォード大学(アメリカ) |
9 | シンガポール国立大学(シンガポール) |
10 | カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ) |
11 | ブリティッシュコロンビア大学(カナダ) |
12 | カリフォルニア大学ロサンゼルス校(アメリカ) |
12 | トロント大学(カナダ) |
14 | オハイオ州立大学(アメリカ) |
15 | 香港大学(香港) |
16 | ペンシルベニア大学(アメリカ) |
17 | ユニバーシティカレッジロンドン(イギリス) |
18 | マギル大学(カナダ) |
19 | モスクワ大学(ロシア) |
20 | メリーランド大学カレッジパーク校(アメリカ) |
21 | 北京大学(中国) |
22 | ハワイ大学マノア校(アメリカ) |
23 | 南洋理工大学(シンガポール) |
24 | ニューヨーク大学(アメリカ) |
24 | 東京大学(日本) |
26 | ジョージタウン大学(アメリカ) |
26 | マンチェスター大学(イギリス) |
28 | バーミンガム大学(イギリス) |
29 | アムステルダム大学(オランダ) |
30 | メルボルン大学(オーストラリア) |
31 | マッコーリー大学(オーストラリア) |
32 | シカゴ大学(アメリカ) |
33 | 香港中文大学(香港) |
33 | チューリッヒ大学(スイス) |
35 | フンボルト大学ベルリン(ドイツ) |
35 | ミシガン州立大学(アメリカ) |
37 | ルーベンカトリック大学(ベルギー) |
37 | ライデン大学(オランダ) |
39 | ラドバウド大学(オランダ) |
40 | テキサス大学オースティン校(アメリカ) |
41 | アリゾナ大学(アメリカ) |
42 | ミシガン大学アナーバー校(アメリカ) |
43 | ルムンバ大学(ロシア) |
43 | シドニー大学(オーストラリア) |
45 | カリフォルニア大学サンタバーバラ校(アメリカ) |
46 | ウィーン大学(オーストリア) |
47 | カリフォルニア大学サンディエゴ校(アメリカ) |
48 | ビクトリア大学ウェリントン(ニュージーランド) |
49 | ソウル大学(韓国) |
49 | オークランド大学(ニュージーランド) |
言語学について知ってみよう!
言語学を学ぶことで、言語の構造や機能を深く理解し、さまざまな職業に活かすことができます。
大学を選ぶ際はランキングだけでなく、予算やキャリアプランにも合わせて留学先を選ぶことが大切です。
「いろんな大学/大学院を比較したい」
「実際にかかる費用を計算したい」
「合格の可能性を知りたい」
「本当に自分がやりたいことは言語学でいいの?」
そんな方には、詳しいパンフレットや資料もお届けしています。まずは資料を読んだり、さまざまな情報を収集して、後悔のない留学選びにつなげてみてくださいね!