前回お届けした「イギリス・パブめぐり《楽しみ方編》」ではパブ初心者でもパブを楽しめる基本情報をお届けしました。さっそくパブへでかけた方もいるのでは?
さて、2回目の今日は「これを知っているとパブ通」と言われるようなパブのディープなお話をお届けします。
ロンドン人とビール
フランスがワインならイギリスはエールビールと言われるぐらい、イギリスではみんなエールビールが好きです。日本人は始めはビール、それから焼酎や日本酒・・・と変えていきますが、ロンドン人は同じ銘柄のビールをずっと飲んでいます。
ロンドン人とビールは切っても切れない関係。その昔は、エリザベス女王も朝から1リットルのビールを飲んでいたと言われています。また病気になった場合、病院でもエールを1リットル飲ませて治療に当てていたとも言われています。
また、沢山の醸造所があり、地酒も数多くあります。かつては個人でも作っていました。
パブはビジネスのミーティングの場としても利用され、ロンドンで働く人はたまにお昼からお酒を飲みながら仕事を行っています。
パブではエンターテイメントとして、テレビで衛生放送を流しています。サッカーやラグビーなどスポーツが好きなロンドン人はパブに集まり、テレビに映るゲームに興じます。意気投合する人が一緒にお酒を飲んで楽しむパブリックハウス(社交場)になっているのです。
また、他のイベントとして、ロックナイト、カラオケナイト、ミュージックナイトなどが催されることも。
割り勘はしない!
バーに行く時は大勢で行かず、1人か2人で行き注文します。支払う時はお札で払っても差し支えありませんが、クレジットカードかデヴィッドカードで払うのが普通です。なお、パブではバーカウンターで支払いをすることは、前回お伝えしたとおりです。
日本では割り勘での支払いをする方もいますが、イギリスでは基本的に、割り勘方式での支払いはやりません。
ラウンド(round)と言って全員分の飲み物を払って次のラウンド(round)はまた別の人が払います。暗黙の了解として知られており、飲む際は楽しくおごりおごられ、飲むのです。
率先して次のラウンドを払いに行くのが英国紳士的のたしなみ。次にグラスが空いてきたら「何が欲しい?(What would you like to drink ?= ワット ウッジュー ライクトゥー ドリンク)」と聞いてみるといいでしょう。みんな喜ぶかもしれません。
パブで日本人が気をつけたいこと
イギリス国内ではどこの店の中も禁煙が法律で決まっており例外はありません。喫煙する際は店の外。出入りは自由なので心配はいりません。
ただし、自分のポケットの中身や荷物、ビールを置いて席を離れることは大変危険なので気をつけてください。
飲み物にはドラッグまたは睡眠薬を入れられる可能性もあるのです。
イギリスは比較的にヨーロッパの中では治安は比較的いい方ですが、常に気をつけるに越したことはありません。すごく酔っ払って寝ていたら、警備の人からお家に帰りなさいと催促されます。そのパブがあまり心地よくないと思ったら、出て他のパブに行った方が無難です。
パブの歴史
パブ(Pub)とはpublic house(公共の家)の略です。パブが誕生したのは150年前だと言われています。
エールの歴史はさらに古く、古代ローマ時代まで遡ります。ローマ人がイギリスを支配し、まだ道路が舗装されていない時代に、宿舎が旅行者や巡礼者に酒を提供したのが始まりでした。、宿泊場(イン)の食事場(タヴァン)でアルコールを提供するところがエールハウスと名付けられ、現在もその名前が残っているパブもあります。
昔は水の代わりに安全な飲み物として飲んでいたと言われ、子供も飲んでいたそうです。
産業革命後、商業が盛んになってくると馬車の駅の中継として発展。現在の形になりました。労働者の憩いの場、賭けごとや社交場の役割として栄えました。
長い歴史の中、イギリスでは階級社会が出来上がって、パブでも中流階級と労働者階級とが別れていた時代もありました。
中流階級は主にサルーンバー(saloon bar)と呼ばれる広めの空間に集いました。サルーンバーは床が絨毯になっており、食事できる様にテーブルと椅子が設置されています。スーツを着て仕事帰りにお酒を飲みラグビーを好みました。
一方、労働者階級はパブリック・バー(public bar)に集います。仕事帰りの労働者階級が入店するとは床が汚れるため、木の床が多いです。ほぼ立ち飲みで、サッカーを好み、昼間からお酒を飲む習慣がありました。
また、どのパブも長い歴史があります。噂では、幽霊が出てくるパブもあるのだとか。
番外編 家でゆっくり飲みたい人
パブはもちろん楽しいけど、家でゆっくり映画でも見ながら飲みたい方もいることでしょう。
そんな方は、スーパーや小売店でお酒を買うことになります。イギリスは多国籍国家ですから、お店では世界中のお酒を飲むことができます。アメリカ、インド、オランダ、フランス、アイルランド、ポーランドベルギー、ドイツ、韓国のほか、まれに南米ペルーのビールを売っている場合もあります。
スーパーにも階級社会が存在しています。ターゲットとしている消費者層がスーパーごとに違います。同じ商品でも値段が全然違います。比較的安く買えるのはテスコ(Tesco)やセインズベリー(Sainsbury)などです。
以上、2回にわたってお届けした「イギリス・パブめぐり」、楽しんでいただけたでしょうか?パブで飲むよりスーパーのビールで飲んだ方が安く済みます。それでもロンドンに来たなら是非ともパブで会話や雰囲気を楽しんでもらいたいものです。気軽にパブへ乾杯に行ってみてください。
文:狩峰秀典(ロンドン在住ライター)
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