日本でも人気が高まっている南アフリカ産ワイン。17世紀、ヨーロッパからの入植者がその栽培技術を伝えたことから発展してきた南アフリカワインは、その50%近くがヨーロッパへ輸出され、愛されています。
本記事では、私がケープタウン留学中に訪れた南アフリカの美しいワイナリーと、ワイン生産にまつわる入植の歴史についてご紹介します。
オランダが色濃く残るケープタウン
まずは、南アフリカの南西側にあるケープタウンと、オランダとのかかわりについてお話しましょう。海と山に囲まれた豊かな街・ケープタウンでは、街の様々な場所で建国の歴史に出逢います。
17世紀、オランダ東インド会社が、東インド諸島間へ行く途中の補給基地としてケープタウンを建設しました。南アフリカで初めてのヨーロッパ植民地であることから「マザー・シティ」とも呼ばれ、ヨーロッパからの入植者が増えると共に大都市へと発展しました。
▼ケープタウン駅周辺と市庁舎
街中には植民地時代に築かれたヨーロッパ風の建造物が数多く残っており、観光地となっています。
▼オランダのケープ植民地総督の居城として17世紀に建築された五角形の城塞
▼聖ジョージ大聖堂
入植者によって開かれた大農園
入植者のオランダ系白人はどのようにして農園を築いたのでしょうか。
彼らの多くは元々、貧しい農民であり、新しい土地を求めて南アフリカの地に移住しました。そして、勤勉に努力しながら、現地のアフリカ人を奴隷として大農園経営を行うようになりました。ケープタウン港では、農園で作られる新鮮な野菜を補給するためにオランダ船が立ち寄ることから、賑わいをみせていたそうです。
現在、大農園は南アフリカ産の植物や樹木が繁る公園となり、「カンパニーズ・ガーデンズ」と名前を変えて市民の憩いの場になっています。
▼南アフリカの植物
白亜のワイナリー・ゼーフェンヴァクト(Zevenwacht)
ケープタウンの東側はワインランドと呼ばれるワインの生産地。植民地時代にオランダから持ち込まれたブドウの苗木が始まりであり、世界でも有数の生産量を誇っています。
ワインランドに一歩足を踏み入れると、その風景や建物はまるでフランスの田舎にいるよう。美しい白い壁のワイナリーや、草原を走る馬を見るとアフリカにいることを忘れてしまいます。
▼ステレンボッシュ郊外にあるワイナリーZevenwacht
南アフリカのワインが美味しい理由は、海からの涼しい風や、太陽がさんさんと輝く地中海性気候、ブドウの栽培に適した古い土壌があるためです。
▼ワインの保管庫
ワインの試飲やチーズを試食することができるワイナリーもあります。ここで作られたワインのほとんどがヨーロッパへ輸出され、南アフリカの現地人の口には入らないそうです。
▼数種類のチーズ試食もできる
また、お酒が飲めない人も美しい景観や建物を見て楽しむことができます。ワイナリーごとに建物も異なり、内観も素敵。
▼ワイナリーの横にあるチェス駒のオブジェ
この地の美味しいワインは、広大で芳醇な大地と、ヨーロッパから持ち込まれた技術、白人と黒人が関わりながら発展させてきた4世紀に渡る歴史によるもの。南アフリカワインを傾けるとき、オランダの入植地時代を思い浮かべてみるのも味わい深いですね。
文:新すみな(ライター)
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