海外の子ども用英語ドリルが面白くて効果あり !《リーディング編》 ~キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)

2020年度の教育指導要領から小学校3年生で必修化し、5・6年生では成績がつく「教科」に変わるという英語。私の周りでも英語を習っている子ども達は多い。

我が家では意識的に英語の「読み書き」を教えている。なぜかというと、使っていれば自然に身に着く英会話に対し、読み書きというのは自然にはできるようにならないからだ。

こんな時に頼りにできるのが海外の英語教材だ。今日はここ数年、試してきたものの中でかなりの効果が表れた自宅でのリーディング学習とその教材について書こうと思う。

まずはアルファベット

とにもかくにも最初はアルファベット。これを練習させるときにA=appleなど、音と関連させて覚えさせる。

次はフォニックス

それが終わったら次はフォニックス。フォニックスとは、綴りと発音の規則性を覚えて、単語を読めるようにするものだ。短母音“e”であれば、pet、met、set、bedなど、同じ読み方の単語のみをさらう。

日本では『あいうえお』表をローマ字にして対応していることが多いようだが、その方法だと英語の読みを日本語としてとらえる癖がついてしまう。ここでフォニックスを取り入れたほうが英語として最初から理解していくことができると思う。

フォニックスでは短母音、長母音など、その時のテーマに沿った単語しか出てこないのが特徴だ。たとえば短母音の「o」を習得するのに、こんなイラストはいかがだろう。

子ども英語ドリル
(作者:Wakana Catchpole)

我が家ではこの絵本“Decodable Little Books”がお気に入り。

新しい単語の紹介

次に取り組んだのがもう1段階踏み込んだフォニックス。我が家で一通り取り組んだのが『ビスケット』というこちらの絵本だ。

▼12冊組で母音の読み方+新しい単語が学べる犬の「Biscuit」シリーズ

1巻ずつ短母音のテーマがあるのは先出の“Decodable Little Books”と同じだが、「Biscuit」シリーズでは簡単な単語の読み方も同時に学ぶことになる。「Biscuit」シリーズが12冊終わる頃には、子ども向け多読用 の絵本で1番簡単なレベルに到達できると見ていい。

いよいよ読書開始!

さて、ここからはレベル分けされた絵本のシリーズに従って『多読』をするのが理想だ。

ハーパーコリンズから出ている「I Can Read!」シリーズやランダムハウスの「Step into Reading」シリーズなら書店でも売られているし、レベル分けが明確で徐々にレベルアップしていくことが可能だ。

ただし、この時注意したいのが、子供がちゃんと内容をしっかり頭に入れているかという点。アルファベットの単語の読み方がわかっても、文字を追っているだけで内容が入っていない場合があるからだ。

そんな場合は、英語の国語のドリルみたいなものでも補習が可能。このくらいのレベルから始めると良いという例題を挙げてみよう。

子ども英語ドリル
(作者:Wakana Catchpole)

これを読んだ後、以下のような質問に答えていく。

1. Can a house walk?
2. Can an ant eat food?
3. Can an ant walk?
4. Can children eat?
5. Can a house work for food?
6. Can an ant make a new home?

上記のように、質問はイエスかノーだけ書かせるとても簡単なものなので、子供は明らかにおかしい質問文を読みながら「簡単だ~」などと笑いながら進めていくことができる。

徐々にワード数が増えていき、質問の内容もイエスかノーだけを答えさせるのではなく、選択肢から答えを選ばせるようになっていく。

一見簡単なこのような質問を読むことで、子供は、自分が読んだ物の内容を再考することができるのだ。

その後、徐々にリーディングの内容の難度をあげていき、5W1Hを使った質問へレベルアップし、イエスかノーだけで答えられないものへ移行すると良い。

例)
Which one is right? Put a check by it.

1. How was Mr. Seal different when he came back?
( ) a. He was round and heavy.
( ) b. He was very skinny.
( ) c. He was full.

2. When did Mr. Seal go to eat?
( ) a. Three days before the box opened
( ) b. when the box was on his hands
( ) c. after the box opened

(作者:Wakana Catchpole)

我が家でよく参考にしたのが、アメリカでの1年生のリーディングレベルで、「Reading Skills」というこちらのドリルだ。

この本では最終的に、一回に330~350ワードくらいを読ませるレベルに行くことになる。「Reading Skills」が終わると、子供は最初のページから見比べてずいぶんとワード数が増えていることに気づく。

「Reading Skills」と並行して、手軽に読めそうな絵本を取り入れていけたら、本に対する子どもの更なる読解力と興味を自然な形で伸ばしていけるのではないかと思う。

会話だけじゃない!英語リーディング力はすごく大事

子ども用に教育者が考えて作ったドリルはレッスン毎にステップアップし、最終的にどんなことができるようになるのか、ということが明確に示されていてよくできている。

思えば英語に限らず日本語だって、学校でひらがなを習い、書く練習をしていって初めてできるようになっているのだ。漢字などは学校にいる間は何年も習い続けることになる。

アメリカの小学校は日本に比べて1学年早く始まる。つまり今、年長さんの子は地域にもよるが、この8月か9月から新一年生ということだ。(9月1日前に6回目の誕生日を迎える子は1年生になれる。)

それに気づいた時、我が家の上の子が小学校に入った頃、英語は話せても読めない、書けないという状態で、私以上に夫が心配し始めた。私は当時、正直、英語の読み書きは中学に入ってからでも遅くはないと感じていたためあまり積極的でなかったのだが、会話同様、幼い時に身につけた能力は大人になってから身につける能力に比べて定着度が違う。

私も今でこそ日英・英日の翻訳を生業としている身だが、リーディングはネイティヴに比べたらやはりスピードで劣ってしまう。つまり、同じスピードで読もうとすると理解度が劣るということだ。そうなると少し時間をかけて読まなくてはならなくなる。やはり思春期に入ってから英語を始めたせいかな、と思うところだ。

日本人は概して英語は話せないが読めるという人が多いという。それなら英語を話せる人が家にいなくても、海外の子どものドリルを買って自宅で少しずつ英語の読み方を学ばせることは可能だ。

情報化社会ではこの先も実際に会話をする以上に読み書きを介するコミュニケーションは増えるはずで、読解力が著しく劣っていると、重要な情報を逃したり、生活に影響が出るような問題に直面したりするかもしれない。

今の子ども達が大人になる頃には、もちろん音声や動画を介してのコミュニケーションも今よりも活発になっているかもしれないが、読み書きを必要とする媒体が消えることはないと思う。素早く読んで理解する力は必ずその身を助けてくれること、間違いない。

文:キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)
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