ドイツでは7月から条件付きで留学生の入国が可能になったことを「ドイツ、日本からの留学生が入国可能に」という記事で書きました。この決定を受け、筆者もホーエンハイム大学大学院への留学に向けて8月21日に日本を出発し、無事ドイツに到着しました。
ドイツへの渡航レポートは別記事でお伝えしますが、本記事ではこの渡航で必要となったPCR検査での陰性証明書取得の模様をお伝えします。
海外渡航に向けてのPCR検査は、まだ前例が少ないためにネットで検索してもなかなか情報が出ていないものです。
今後、留学を開始/再開する方々をはじめ、ビジネスや帰省で海外渡航する方が増えていくと思います。そんなとき、PCR検査の費用、実施病院の探し方、検査結果受け取りと渡航スケジュールとのバランスのとり方など、ぜひこの記事が参考になって頂けたら幸いです。
※情報は執筆時点 (9/2) までのものです。2020年10月現在、日本から出発しドバイに入国せずに経由のみで第三国に渡航するトランジット客については、同証明の携行が不要となりました。
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PCR検査の現状
PCR検査を行っている病院を探すのは難しい
以前は保健所もしくは医師の判断でしかPCR検査を受診することは出来ませんでした。しかし、現在では一部の病院がビジネス渡航者向けに検査を取り扱っています
残念ながら受診できる病院の数はとても少なく、病院によっては1ヶ月単位で予約が埋まっていることもありました。したがって陰性証明書が必要なことが分かり次第、すぐに病院を探して予約しなければなりません。
保健所では病院を紹介できない決まりになっており、各自インターネット検索で探す必要があります。筆者は「(住んでいる地域名) PCR検査」と検索し、検査を行っているクリニックをピックアップしていきました。この際、英文証明書発行の可否、検査の費用、証明書発行までにかかる日数も確認しました。
1回の検査の費用は3万円~
PCR検査は保険適用外であるため1回あたりの費用が高額です。また、病院によって3万円~6万円と費用が大きく異なりました (英文証明書の発行費を含む)。
陽性が出てしまった場合は再び検査を受けることになってしまうので、検査前3週間は特に体調や生活に注意する必要があります。
PCR検査の予約方法と注意
予約方法は直接電話する場合が多かったです。PCR検査についての各病院のページに予約の番号が記載されていますので、そこに連絡します。
最も注意すべきなのは「検査結果が得られる日数が病院ごとに異なる」ということです。検体の採取は病院で行われるものの、検査自体は外部の研究機関に委託することがほとんどです。そのため、委託先に合わせて結果が届くタイミングが異なります。
更に、病院の休診日や検査方法によっても変わるので要注意です。予約の際はこれらすべての日数を含めて、渡航日に間に合うかどうかを検討する必要があります。
この「日数」というのが大きなネックになります。
筆者の渡航に陰性証明書が必要だった理由は、陰性証明書の提出が求められるアラブ首長国連邦 (ドバイ空港) 経由でドイツへ渡航したからです。
アラブ首長国連邦の場合、日本でチェックインをするまでの96時間以内に行った検査の陰性証明書を持っていかなければいけません。(※2020年10月現在、日本から出発しドバイに入国せずに経由のみで第三国に渡航するトランジット客については、同証明の携行が不要となりました。)そのため、検査日から3日以内に結果を受け取ることができ、遅くともその翌日中に出国しなければいけない計算になります。検査実施日に合わせてフライトを変更しなければなりません。陽性だった場合は延期、キャンセルなどの手続きをする必要があります。
そして、検査方法では唾液検査のほうが低コストですが、陰性証明書は殆どの国で鼻腔検査しか認められていません。さらに入国先 (トランジット先) によっては検査をする病院が指定されていることもありますので、航空会社や現地の大使館にお問い合わせください。
検査方法と結果の受け取り
筆者が受診した病院での検査方法
筆者は瀬戸市の病院で受診しました。予約のタイミングで証明書の送り先のFAX番号と保険証のコピーを病院に送りました。
こちらの病院の場合午前の診察が終わったタイミングで行うので、11時頃から駐車場の車内で待機し、12時半頃に防護服を着た先生が車両まで来て検体を採取しました。その後受付で支払いを済ませたら検査完了です。
この時は運に恵まれ、検査結果が翌日の夕方に出て、夜には連絡を頂きました。さらに陰性証明書もその際に送って頂けました。これは相当なレアケースで、検査数が多い病院では更に数日が必要だと思われます。
結果は直接受け取るかFAX
残念ながら電子メールで証明書を受け取ることは原則出来ません。したがって、病院の受付かFAXで受け取ることになります。場合によってはフライトの日に発行される可能性もあるので、受け取り方は入念に検討する必要があります。
筆者も本来はフライトの日の昼頃に発行される予定でした。その場合は家族が受け取って証明書をスキャンし、そのデータをメールで受け取ってコンビニで印刷するつもりでした。
陰性証明書を提出するタイミング
▼英文PCR陰性証明書例
成田空港からエミレーツ航空で渡航する場合 (ドバイ経由フランクフルト空港着のケース)
それぞれの空港での提出するタイミングと、その際の手続きは次の通りでした。
成田空港: チェックイン
エミレーツ航空のチェックインカウンターで提出しました。その際入学許可証やNecessity of Presence (大学が発行する学生がドイツに滞在しなければならないことを示す証明書) も提出しました。
そして、今後の手続きで必要となるものを受付の方と一緒に確認しました。ドイツに向かう学生が少ないため手続きについて周知されておらず、チェックインには1時間程度かかりました。
ドバイ空港: 検疫所, 搭乗手続きの受付
トランジットの手荷物検査所の前に仮設の検疫所が設けられており、そこで陰性証明書を提出しました。確認後はゴム手袋を付けて手荷物検査に続きます。
搭乗手続きでの受付はとても厳しく、入学許可証、Necessity of Presence、陰性証明書の提出だけでなく、下宿先の契約書、Resident Cardとビザの有無、入国後の滞在場所などについて質問されました。受付の方の雰囲気が怖かったものの、いずれもドイツで入国拒否されないための対応でした。
フランクフルト空港: 入国審査
ここでも入学許可証、Necessity of Presence、陰性証明書を提出しました。留学目的であること、既に合格していること、シュトゥットガルトのホーエンハイム大学(Universität Hohenheim)で作物科学科の修士課程に進学することなど詳しい質問が多かったです。しかし、手続自体は最も短く、詰められることはありませんでした。
航空会社、空港、渡航先によって細かい手続きは異なりますが、大まかには同じだと思います。どこの国も感染症対策を厳しくしているため、少しでも怪しい渡航者は弾き出さなければならず、時には難しい質問を投げかけてくることもありますので、渡航者も真摯に応える必要があると思います。
事前の問い合わせが大切
今回はPCR検査と各空港での手続きについて解説しました。渡航に必要となる陰性証明書やNecessity of Presenceは内容に不備があって受理されない事例がありましたので、事前に空港の入国管理局などに問い合わせる必要があります。
エミレーツ航空の場合TwitterのDMやFacebookのMessageで問い合わせることが出来ます。
Twitter: https://twitter.com/Emiratessupport
Facebook: https://www.facebook.com/Emirates/
電話でも日本語で対応して頂けます。しかし、現在の状況を鑑みて文面で確実に情報を交換できる方が安心だと個人的に思いました。また、TwitterのDMでは平均して4時間程度で回答が返ってきました。
前例のない状況で情報が不足し、先行きが不安にならざるを得ません。だからこそ、インターネット上で情報をかき集め、関係する機関に積極的に問い合わせる姿勢が大切だと今回の渡航を通じて感じました。