Entrance, Camberwell Art College|Image from Flickr
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(Camberwell College of Arts、略称:キャンバーウェル)は、イギリス・ロンドン南東部にキャンパスを構える小規模な芸術大学です。ロンドン芸術大学の加盟校で、100年以上の歴史を持ちます。
アートギャラリーやスタジオが多い個性的なエリアに位置し、キャンパス周辺エリアの芸術活動の中心的な役割も果たしてきました。卒業生からは多数の世界的アーティストも生まれています。
本記事では、キャンバーウェルの難易度やランキング、学費、学部、入学方法、ファウンデーションコースなどをご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
『留学プレス』留学生記者/小島なお(イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター) テーマ:イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの基本情報
設立年 | 1898年 |
形態 | 国立 |
難易度 | ★★★★☆ |
合格率 | N/A |
学生数 | 約2200人 |
留学生数 | N/A |
学費例(年間) 費用検索はこちら | 学部課程:£25,970 大学院課程:£29,330 |
場所
キャンバーウェルのキャンパスはロンドン南東部のキャンバーウェル地区に位置します。キャンバーウェル近辺にはアートギャラリーやスタジオが点在し、芸術を学ぶには申し分のない立地です。
キャンパスのすぐ横には現代美術で有名なサウスロンドンギャラリーもあります。アーティストたちがこのエリアを気に入って移り住み、個人経営のお店も多く年々クリエイティブな場所として注目を浴びています。
Peckham Pelican, Peckham, SE15, A bar down near the Camberwell College of Arts.
また、ペッカム、バーモンジー、ブリックストンなどトレンド感と活気のある場所にも気軽にアクセスできます。
キャンパスを出てすぐ、大通りのバス停からロンドン各地を繋ぐバスに手軽に乗る事ができ、中心部まではバスで40分ほどです。
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツはロンドン芸術大学の加盟校
キャンバーウェルはロンドン芸術大学の加盟校です。ロンドン芸術大学はヨーロッパで最も規模の大きな芸術大学のひとつで、世界的にも有名です。
ロンドン芸術大学はキャンバーウェルの他に以下の5つの大学で構成されています。
- セントラル・セント・マーチンズ
- チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ
- ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション
- ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション
- ウィンブルドン芸術大学
地域との密接なつながり
キャンバーウェルはこれまでに公共ギャラリーの設立や様々な地域プロジェクトに関わってきました。
ロンドン南東部にある多数のスタジオやギャラリーは、キャンバーウェルの学生や卒業生の制作場所や展示会場として使用されています。
キャンバーウェルの活動によりこの地区を訪れる人も多く、ロンドンのアートシーンを牽引する場として知られるようになりました。
技術を磨けるワークスペース
キャンバーウェルには学生が集中して技術の向上に打ち込める施設が整っています。イギリス最大級規模を誇る版画センターをはじめ、それぞれの施設には専用の材料や機材が備えられています。
▼施設の例
- 版画(デジタル印刷、スクリーン印刷、活版印刷など)
- デジタルメディア(イラストレーターやフォトショップなど)
- 3Dスタジオ(陶磁器、金属、プラスチック、木材)
- 写真撮影/印刷(撮影スアジオ、モノクロフィルム処理室、35mmモノクロ樹脂暗室、カラープリント用暗室)
わからない事があっても専門スタッフからサポートを受けられるため、気軽に使用できます。
就労体験と留学のチャンスも
コースによってはインターンシップや海外留学の機会が与えられます。
ロンドン市内のギャラリーや博物館と共同プロジェクトに取り組んだり、卒業論文の代わりとして有名企業で経験を積む事も可能です。
キャンバーウェルは国際的視野を持つ人材を育成するため、イギリス国外の多数の教育機関と提携しています。なかにはフランス、アメリカ、スペイン、イタリアなどでも学べるチャンスが与えられるコースもあります。
著名な卒業生
キャンバーウェルはこれまでに世界で活躍する多数のアーティストを生んできました。以下に卒業生の一部を紹介します。
ハワード・ホジキン | イギリスの画家でターナー賞受賞者。 |
ジリアン・カーネギー | イギリスのアーティスト。2005年ターナー賞最終選考にノミネート。 |
デイヴ・エルシー | イギリスのメイクアップ・アーティスト。メイクアップ部門でアカデミー賞受賞歴あり。映画スター・ウォーズ、ゴーストライダー、エイリアン3などの特殊メイクを担当。 |
ニーシャ・クロスランド | イギリスのテキスタイルデザイナー。イギリスブランドやインテリア製品にデザインが起用され、日本の百貨店でも取り扱われる。 |
ジョセフ・ライト | イギリス人の映画監督。高慢と偏見、暗黒の刻などの作品で知られ、英国アカデミー賞受賞歴あり。 |
フローレンス・レオンティン・メアリー・ウェルチ | イギリスのバンド、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのヴォーカリスト。 |
森順子 | 金属加工彫刻で知られる日本人アーティスト。大英博物館、ホノルル美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館などに作品が展示される。 |
マルコムA.モーリー | イギリス系アメリカ人の画家。ターナー賞受賞者。 |
キャサリン・アン・グットマン | イギリスのアーティスト。チャールズ国王と共に王立製図学校を設立。 |
ロジャー・キース・シド・バレット | ロックバンド、ピンクフロイドのフロントマン、ソングライター。 |
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの学部
学部課程
- グラフィックデザイン
- イラストレーション
- インテリア/空間デザイン
- ファインアート:コンピューテショナルアート
- ファインアート:ドローウィング
- ファインアート:ペインティング
- ファインアート:写真
- ファインアート:彫刻
大学院課程
- デザイン/制作
- ファインアート
- グローバルな共同デザイン実践
- グラフィックデザイン・コミュニケーション
- イラストレーション
- インテリア/空間デザイン
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キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツの難易度
日本とイギリスの大学制度の違いと偏差値
イギリスと日本の大学入試制度は少し異なります。日本では試験による偏差値方式ですが、イギリスでは書類選考がメインです。
また、義務教育制度が異なっていることから、日本の高校を卒業した学生は一部をのぞいて大学入試前に「大学準備コース(ファウンデーションコース)」を受講します。
ファウンデーションコースの成績も考慮されて、大学に正式な入学を認められます。
詳しくは「イギリスの大学の仕組みとは?何年で卒業できるの?日本とイギリスの大学教育制度を比較」も参考にしてください。
ランキング
キャンバーウェル単独では一般的な大学ランキングに参加していません。しかし、キャンバーウェルを含むロンドン芸術大学はQS世界大学ランキング2022年版のアート・デザイン部門で2位に選ばれています。
University of the Arts London : Rankings
合格率
キャンバーウェルの合格率は発表されていませんが、ロンドン芸術大学全体の合格率は25%ほどです。
キャンバーウェルは世界トップクラスの芸術大学のメンバーであることから人気が高く、世界各地から芸術的才能のある学生が集まります。難易度は決して低くありません。
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツに留学するには?
ファウンデーションコース
日本とイギリスでは教育システムが違うことから、日本の高等学校を卒業してすぐにイギリスの大学に進学する場合は、まず大学準備コース(ファウンデーションコース)を受講するのが一般的です。
ファウンデーションコースの期間は約1年間です。ファウンデーションコースを受講し、優秀な成績で修了すると学部課程へ出願できます。学部課程3年間を経て、計4年で卒業が可能です。
「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。 特に、日本と異なる教育制度を持つイギリ[…]
キャンバーウェルで受講できるファウンデーションコース「ファウンデーション・ディプロマ(Foundation Diploma in Art and Design)」ではアート、コミュニケーション、デザインを学びます。コース内容にはポートフォリオ制作も含まれます。
学習タイプは「診断モード」と「スペシャリストモード」があります。
診断モードはまだどの分野に進むか決めていない人に向けたコースです。すべての分野を全体的に学び、適性を見ながら専門を絞っていきます。
スペシャリストモードはアート、コミュニケーション、デザインから細分化された専門コースのどれかを選択します。そのため、すでにどの道に進むか決まっている人におすすめです。
ファウンデーション・ディプロマを受講する学生は、版画や3D、デジタルなど専門の学習施設を利用できます。
ファウンデーション・ディプロマへの入学には、IELTS5.0、各項目で4.5以上が求められ、ポートフォリオや自己紹介文も必要です。
大学(学部課程)へ直接入学する場合
専門学校や日本で大学1〜2年までの課程を履修済の人はファウンデーションコースを経ずに直接出願する資格があります。
必要なIELTSスコアは全コースで6.0以上、各項目で5.5以上です。そのほかにポートフォリオ、自己紹介文、推薦状を提出します。
アイディアを言語化し形にして表現できる能力、セルフマネージメント能力やリサーチ能力を持った人材が求められています。
Undergraduate courses | Camberwell
大学院課程
大学院課程への出願には主に関連する学位を取得している事が条件ですが、その他の資格や経験が考慮されることもあります。全ての大学院課程コースでIELTSのスコア6.5以上、各項目で5.5以上が求められ、ポートフォリオと自己紹介文も必要です。
探究の方向性や将来性を見出す力、プレゼンテーション能力、議論のためのコミュニケーションスキルも選考の判断材料となります。
Postgraduate courses | Camberwell
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツでアート三昧の留学生活を送ろう
キャンバーウェルは学生数が少なく比較的小規模な大学です。そのため学生やスタッフとの距離感も近く、集中して制作や学習に取り組めます。
有名企業とのプロジェクトに挑戦できるチャンスもあり、のちのキャリアを見据えながら実践的にアートを学ぶ環境が与えられます。
そして、アートが盛んなエリアを拠点とすることで、コミュニティ参加型のユニークな学生生活が送れるはずです。
ぜひキャンバーウェルの留学を目指してみてくださいね。