ジェンダー学を学べる海外の大学|女性学との違いや卒業後の職業/キャリア、ランキングなどを解説

ジェンダー学(Gender Studies)は、社会の多様性と平等を促進するための重要な学問です。権力や不平等についての理解を深め、LGBTQ+の権利やインターセクショナリティの研究も進み、ますます広がりを見せています。

日本人留学生の間でも、海外の大学で学ぶジェンダー学への関心が高まっています。

この記事では海外の大学で学ぶジェンダー学、卒業後の職業やキャリア、さらにジェンダー学と女性学の違いなどについて解説します。ぜひ、学部選びの参考に役立ててくださいね!

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ジェンダー学とは

ジェンダー学は、性の分類や、性が社会・文化・政治・イデオロギーな側面で抱える課題について考える学問です。ジェンダーとセクシュアリティが人種、宗教、国籍、経済的地位、階級、年齢などとどのように交差していくのか、どのような道徳的問題が想定されるのかなどを探求します。

ジェンダー学には男性学、女性学、クィア・スタディーズが含まれます。ドメスティック・バイオレンスのような社会問題や性差別、ハラスメントの原因や問題に対する解決策についても研究していきます。

ジェンダー学で学ぶテーマ

ジェンダー学で学ぶクラスは多岐にわたります。

ジェンダー理論、セクシュアリティ、フェミニズム、LGBTQ+の権利、交差性、暴力とジェンダー、メディアとジェンダーなど、さまざまな課題がテーマとなっています。

これらのテーマを通じて、ジェンダーに関連する社会問題の解決策を模索し、実際の社会変革に結びつける方法を学びます。

ここでは、ひとつの例としてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のジェンダー学専攻で紹介している学部概要から一部抜粋してご紹介します。

私たちの教授陣は、時代や文化の違いにおけるジェンダーの役割を理解するために、幅広い研究をしています。

私たちのコア・コースでは、自由と解放、社会運動、男性性、仕事と余暇、社会正義の政治、交差性、植民地と性的暴力、視覚文化と市民性など、さまざまなトピックを通して、ジェンダーと身体、ジェンダーと権力、ジェンダーと知識の概念を扱っています。

次の問いに興味を持ち、その答えを知りたいと思うなら、この専攻はあなたにぴったりです。

・ジェンダーはセックスとは違うのか?
・ジェンダーの不平等は男女間の生物学的差異に基づくのか?
・男性学はフェミニストに何を教えるのか?
・性的指向は遺伝なのか、個人の選択なのか、両方なのか、それともどちらでもないのか?
・トランスジェンダーの意味は何か、それはインターセックスと同じか?
・権力はどのように行使され、再生産されるのか?
・交差性とは何か?
・大衆文化は身体の自己イメージにどのような影響を与えるのか?
・男性の身体の神話と現実とは?
・身体の表象は時代とともにどのように変化するのか?
・文化的他者性の認識においてジェンダーはどのような役割を果たすのか?
・ジェンダーによる暴力のさまざまな形態とは?
・医療、科学、技術においてジェンダーはどのような役割を果たすのか?
About – UCLA Gender Studies

海外大学でのジェンダー学教育の特徴

海外の大学でのジェンダー学教育は、理論と実践の両輪で行われます。

多くの大学ではジェンダー関連のNGOや国際機関との連携があり、インターンシップで実務経験を積む機会があります。また、グローバルな視点からのアプローチが重視され、多文化社会におけるジェンダー問題を深く理解することができます。

また、ジェンダー研究を他の学位とダブルメジャーで組み合わせる人も少なくありません。政治学、社会学、生物学、医学、健康科学、法学、国際関係学、人材開発学、教育学などジェンダーにおける課題をどの分野で活かしたいかを考えて検討してみるのもよいでしょう。

ジェンダー学と女性学の違い

女性学は1960年代後半に始まり、ジェンダー学は女性学から生まれたという歴史があります。

女性学が基本的に女性に焦点を当てるのに対し、ジェンダー学は女性学、男性学、クィア研究に焦点が当たっています。

ジェンダー学では、性別、性差別、ジェンダーに関連する社会や文化の構造全般を学びます。男性、女性、ノンバイナリー、トランスジェンダーなど、すべてのジェンダーに関する研究を含め、広い視点から社会問題を探求します。一方、女性学は女性の経験や歴史、文化的影響を中心に研究する分野です。

ただし、ジェンダー学と女性学をあえて分けず「Gender & Women’s Studies」として開講している大学もあります。

大学と大学院で学べることの違い

大学のジェンダー学プログラムでは、ジェンダー理論やフェミニズムの歴史、LGBTQ+研究、メディアにおけるジェンダー表象など、広いテーマを学びます。

大学院では、より専門的なテーマに焦点を当て、フィールドワークや独自の研究プロジェクトを通じて実践的な経験を積むことができます。

ジェンダー学で伸ばせるスキル

ジェンダー学では、クリティカルシンキングや文化的理解、多様性に対する感受性が重要です。将来ジェンダーに関わる職業につかない人でも、こういったスキルが磨かれることでイノベーションや政策提言に役立つ人材として成長していくことができます。

ジェンダー学卒業後のキャリア

ジェンダー学で学んだ経験は、多岐にわたるキャリアに応用できます。

例えば、教育機関、研究機関、NGOや国際機関でのジェンダー平等推進セクション、政策立案、メディアやマーケティング分野、企業のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)担当者などもあります。

そのほか、ドメスティック・バイオレンス・シェルターなど女性を支援する擁護団体や慈善団体、またはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーを支援する同様の団体でも学位経験を活かせるでしょう。

医学や弁護士、ソーシャルワーカー、セラピスト、芸術という道もあります。

ただし、ジェンダー学を専攻したからといって、ジェンダーに関連した職業に就かなければならないというわけではありません。ジェンダー学ではクリティカルシンキングや多様性理解を磨くことができ、様々な業界でこのスキルを活かすことができるでしょう。

しかも、今やどんなビジネスにおいても、ジェンダーと人種問題への理解は不可欠です。この傾向は今後さらに重要になっていくことが予想されるため、ジェンダー学を学ぶことは強い武器となるはずです。

ジェンダー学を学べる国やランキングの高い大学

アメリカ:ジェンダー研究の最前線

アメリカには、ジェンダー学の研究が進んでいる大学が多くあります。世界的にもジェンダー研究を牽引する大学が多くあり、教授陣、研究のチャンスともに多くあります。LGBTQ+研究や人権問題に関するプログラムも充実しています。

ランキングの高い大学の例:ニューヨーク大学、UCバークレー、UCサンタバーバラ、スタンフォード大学、UCLA、テキサス大学オースティン校、マサチューセッツ大学アマースト校、シカゴ大学、ラトガーズ大学、他

Best Sex and Gender Programs in America

イギリス:学部課程から深く追求

イギリスの大学は、ジェンダー学における長い歴史と伝統を持っています。ジェンダー理論の発展に大きく貢献してきた大学が多く、学問的な研究だけでなく、政策提言や社会運動に携わる機会も豊富にあります。

ランキングの高い大学の例:UCL、オックスフォード大学、マンチェスター大学、ケンブリッジ大学、リーズ大学、LSE、エジンバラ大学、キングスカレッジ、サセックス大学、シェフィールド大学、他

100 Best universities for Gender Studies in the United Kingdom

カナダ:多様性を重視した教育

カナダの大学は多様性を重視した教育が特徴です。インターセクショナリティ(交差性)に関する研究も盛んに行われています。カナダは移民が多く、多文化社会におけるジェンダー問題を学ぶ上で理想的な環境でもあります。

ランキングの高い大学の例:トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学、ヨーク大学、アルバータ大学、マギル大学、マクマスター大学、他

Gender Studies in Canada: 62 Best universities Ranked 2024

それ以外の国の大学

アメリカ、イギリス、カナダ以外でもジェンダー学で評価の高い大学が世界中にあります。

たとえば、メルボルン大学(オーストラリア)、シドニー大学(オーストラリア)、モナッシュ大学(オーストラリア)、エレブルー大学(スウェーデン)、アムステルダム大学(オランダ)、ユトレヒト大学(オランダ)、オークランド大学(ニュージーランド)、ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)なども評価の高い大学です。

ランキングの指標には様々なものがあるため、ここで挙げた大学以外にも優れた大学がたくさんあります。学べる内容はもちろん、学校の環境、規模、学費、気候などいろんな側面から大学選びを検討してみましょう。

ジェンダー学留学のQ&A

Q1. ジェンダー学と女性学、どちらを選ぶべきですか?

ジェンダー学は広範な視点から性別に関する問題を扱い、女性学は特に女性の経験や権利に焦点を当てます。両方を網羅する大学もあります。

どの大学でもジェンダー学は学部を横断して多彩な科目を学ぶ傾向にありますので、最終的にはご自身の興味の深さに応じて選ぶのが良いでしょう。

Q2. ジェンダー学を学ぶのにどの程度の語学力が必要ですか?  

大学によって異なりますが、一般的にはIELTS 6.5以上、またはTOEFL iBT90点以上が求められます。実習や研究、レポート、プロジェクトなどが多く行われますので、総合的な語学力は入学後も磨いていくことが推奨されます。

Q3. ジェンダー学は日本の大学ではなく留学して学ぶほうがいいのですか?  

日本の大学でもジェンダー学を学ぶことができますし、海外留学だから良いというわけではありません。ただし将来、国際機関やグローバル企業、国際NGOやメディアなどでのキャリアも想定しているのであれば、海外大学で学ぶほうがメリットが大きいでしょう。

また、海外ではジェンダー研究に対する社会や実業界からの注目度が高いということもあり、大学でのインターンシップや実践カリキュラムへの重きがおかれているという面もあります。著名企業や政府/公的機関もインターン受け入れなどに対して積極的なため、実践での経験を多く積みたい方にも留学が向いています。

ジェンダー学留学についてもっと知ろう!

ジェンダー学は、社会の多様性と平等を促進するための重要な学問です。海外の大学でジェンダー学を学ぶことで国際的な視点と高度な専門知識を得ることができ、グローバルに活躍できる専門キャリアを築けるほか、多様な業界で活躍できる能力を磨くことができます。

目標だけでなく、予算やキャリアプランにも合わせて留学先を選ぶことが大切です。

「いろんな大学/大学院を比較したい」
「実際にかかる費用を計算したい」
「合格の可能性を知りたい」

そんな方には、詳しいパンフレットや資料もお届けしています。まずはじっくり読みながら自分に照らし合わせながら留学を検討してみましょう!

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